旅立ちの朝、東京竹芝桟橋【東京から南へ1000km、小笠原弾丸旅①】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。


(小笠原海運 おがさわら丸 @東京竹芝桟橋)





2024年(令和6年)4月下旬

東京から南へ約1000km、亜熱帯の小笠原諸島・父島(東京都小笠原村)へ向かう朝。


JR東日本京浜東北線・山手線で浜松町駅へ。

浜松町駅北口改札を出て、徒歩約8分。



東京港竹芝桟橋に到着
大きなマストが立つ中央広場

竹芝客船ターミナル

この日のターミナルは朝から賑わう。

この日は概ね1週間に一度、絶海の孤島・小笠原諸島の父島へ向かう小笠原海運の大型貨客船「おがさわら丸」の出港日


竹芝客船ターミナルには、東海汽船の客船模型が数隻並ぶ。これらは全て、模型作りを趣味に持つ東海汽船一社員の手作り。

東京〜三宅島・御蔵島・八丈島航路の大型貨客船「橘丸」の模型


東京・横浜〜大島・利島・新島・式根島・神津島航路の大型貨客船「さるびあ丸」の模型。橘丸に代わり八丈島航路を代航したり、小笠原海運に貸し出され、小笠原航路を代航することもある。

かつて熱海〜大島を結んでいた半没水型双胴船の高速船「シーガル」の模型

今も活躍する高速ジェット船「セブンアイランド結」(左)と「セブンアイランド愛」(右)の模型
この他、先代(二代目)「さるびあ丸」や三代目「さるびあ丸」などの模型も展示。


朝の伊豆諸島行き高速ジェット船が続々出港した後、竹芝桟橋午前11時発・小笠原父島行きの小笠原海運「おがさわら丸」が接岸する。


小笠原海運「おがさわら丸」父島行きの乗船手続きはターミナルの8番窓口で。
この他、小笠原諸島専門の旅行会社「ナショナルランド」で乗船券を購入した乗客向けにナショナルランドの臨時受付カウンターも開設。

8番窓口でインターネット予約確認票(印刷物)を渡し、搭乗券とカードキー(個室の場合)を受け取る。小笠原海運では乗船券を「搭乗券」と呼称する。

「おがさわら丸」の個室利用客は、ターミナル窓口で個室船室のカードキーを受け取る。(カードキーは下船時に回収)


ターミナル内の「ショップ竹芝」(売店)の脇では、「おがさわら丸」出港日のみ、船弁当を販売。

駅弁ならぬ「船弁当」。片道24時間の長い船旅のため、乗船前に船弁当を買う人も多い。

船弁当「島寿司」
伊豆諸島や小笠原諸島の郷土料理。青唐辛子に漬けた白身魚が乗る。シャリには練りワサビの代わりに練り辛子を使う。


ターミナル内の売店「ショップ竹芝」には、東海汽船オリジナルグッズをいろいろ販売

1週間に約1回だけ表示される「11:00 おがさわら丸 小笠原父島」の出発便案内

竹芝客船ターミナル屋上のボードウォーク(臨港広場)

ボードウォークの向こうに「おがさわら丸」が見える。




小笠原海運の大型貨客船「おがさわら丸」
東京港(竹芝桟橋)と小笠原諸島父島(二見港)間、約1,000kmを片道24時間で結ぶ。
小笠原諸島には旅客機が発着する空港がないため、この「おがさわら丸」一隻が、東京と小笠原諸島を結ぶ唯一の交通機関になっている。

前日15時に小笠原父島から東京港に戻ってきた「おがさわら丸」。
竹芝桟橋近くの芝浦桟橋に一晩停泊し、出港日のこの日の朝、伊豆諸島行き東海汽船の高速ジェット船が出港後に竹芝桟橋に接岸。

小笠原海運は、小笠原諸島が1968年(昭和43年)アメリカから日本に返還された翌年の1969年(昭和44年)に東海汽船と日本郵船(近海郵船)の出資により設立。現在は東海汽船の連結子会社になっている。

「おがさわら丸」のファンネル


おがさわら丸は、クレーンで船首と船尾にコンテナを積む従来型の貨客船スタイル。自動車等を積載する車両甲板やランプウェイを有するカーフェリーとは異なる。このため自動車等もクレーンで吊り上げ、貨物として積み込む。

荷役作業は、竹芝桟橋桟橋ではなく、近くの芝浦桟橋で大部分行い、竹芝桟橋では僅かな作業のみ行う。


小笠原海運のコンテナ

おがさわら丸は旅客船のため、危険物などは積載できない。
したがって危険物や産業廃棄物などは、「共勝丸」(総トン数325トン、全長64.64m、本社 宮城県石巻市)という、東京〜父島・母島間を結ぶ小さな貨物船が運ぶ。共勝丸は、東京・父島間を島伝いに航行し所要は46時間程度だが気象条件によりさらに長い航海になることもあるのだそう。かつて、先代の「第二十八共勝丸」時代には、条件付きだが、9名以下の旅客営業も行っていた。




大型コンテナもある。


現在の「おがさわら丸」は三代目。2016年(平成28年)三菱重工下関造船所にて竣工、同年就航。 
総トン数11,035トン、全長150 m、全幅20.4 m、最大速力26.32ノット、航海速力23.8ノット、搭載人員939名、旅客定員892名、乗組員47名、積載能力10ftコンテナ換算73個。



コンテナには、小笠原諸島父島〜母島航路を運航する伊豆諸島開発の貨客船「ははじま丸」用の「ホエールライナー」の文字が書かれたものも。


どんより曇り空の東京港。向こうにはレインボーブリッジ。

隅田川の河口に位置する東京港竹芝桟橋

「おがさわら丸」の船尾。荷役装置である1本の支柱「デリックポスト」がある。

カーフェリーのように車両甲板がないため、船尾の係船デッキの位置が低い場所にある。


船籍は東京




東京都観光汽船(とうきょうみやこかんこうきせん)の隅田川観光用 水上バスが通り過ぎる。


向こうには数隻の消防艇


東京消防庁の大型消防救助艇「おおえど」

消防艇の放水


出港作業中の「おがさわら丸」




「おがさわら丸」は、離島航路では日本最大級の定期船

デッキは8層。このうち旅客区画は6層。



出港約1時間前の午前10時00分頃、乗船開始

整列乗船。7階(特等、特1等)の上級船室の乗客から順に船内に案内される。

この日は、ゴールデンウィーク初日ということもあり、乗客人数はほぼ満席の717名

小笠原海運の上下船用タラップ。小笠原海運のキャラクター「おがじろう」(サングラスラスをかけたザトウクジラのお父さん)のイラストが書かれている。


ファンネルマークは、小笠原海運を設立した東海汽船と日本郵船(近海郵船)のファンネルマークを折半したようなデザイン


小笠原海運設立後の東京・父島航路の歴代船は次のとおり。
●「椿丸」︰総トン数1,016トン、全長m、運行期間1972年(昭和47年)~1973年(昭和48年)、片道所要44時間、東海汽船から傭船 
●「父島丸」︰総トン数2,616トン、全長89.3m、運行期間1973年(昭和48年)~1979年(昭和54年)、所要38時間、元・関西汽船「浮島丸」 
●初代「おがさわら丸」︰総トン数3,553トン、全長110.5m、運行期間1979年(昭和54年)~1997年(平成9年)、所要28時間 
●二代目「おがさわら丸」︰ 総トン数6,700トン、全長131m、運行期間1997年(平成9年)~2016年(平成28年)、所要25.5時間 
●三代目「おがさわら丸」︰ 総トン数11,035トン、全長150m、運行期間2016年(平成28年)〜現在、所要24時間








おがさわら丸は、日本中ほぼ全域を航行できる近海資格を有する船





「おがさわら丸」は、竹芝桟橋に発着する最大の客船


操舵室

船首



船首にもコンテナを積載

おがさわら丸の船首形状は垂直ステム




船首にも荷役装置である1本の支柱「デリックポスト」がある。


「おがさわら丸」は、東京と小笠原諸島を結ぶ唯一の交通機関であり、4〜5mの高波でも出港するため、外洋が大時化のときは激しく動揺しながらの航海となることもある。





「おがさわら丸」は、カーフェリーと違い、自動車積載スペースのない貨客船のため、船体はスマート(全幅20.4 m)


東海汽船のコンテナを運ぶトラック

隅田川の河口




竹芝客船ターミナル1階の外部デッキより「おがさわら丸」を望む。



いよいよ乗船

岸壁へ。

続々と乗船客の列が続く。



港と船内を繫ぐタラップ

「おがさわら丸」の乗船口は低い位置だが、船の4デッキ(4階)になる。


下から「おがさわら丸」を見上げる。

間もなく乗船

※2024年(令和6年)4月27日(土)



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(次回へ続く)