【さよなら京急800形(前編)】品川~金沢文庫 のんびり800形各駅停車の旅 | 湘南軽便鉄道のブログ

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本ブログは鉄道・バス・船舶・航空機等について、記録も兼ねて記事掲載。

その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。


(京急蒲田駅に停車中の金沢文庫行き800形電車)

※撮影日:2019年(平成31年)3月26日(水)
※スマートフォン撮影



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2019年(令和元年)6月中旬、
かつての京急らしさ、往年の京急伝統スタイルを残す最後の形式「800形」電車が引退。

800形電車は、都営地下鉄等に乗り入れない、京浜急行電鉄(京急)の地上専用車として、1978年(昭和53年)にデビューし、1986年(昭和61年)までに132両製造。1979年(昭和54年)に京急初の、鉄道友の会「ローレル賞」を受賞。
片開き扉、前照灯1灯、アンチクライマー、大きな窓など、昭和時代の旧600形、旧1000形などの京急の名車の伝統を受け継ぎながら、
窓回りを白色にするなど、現代の京急電車のトレンドを築き上げた車両。

京急では、800形の老朽化や、ホームドアの設置を進めるため京急で現在唯一の4扉車・800形の廃車を前倒しし、823編成(リバイバル塗装車)以外の800形は、2018年度(平成30年度)中に既に引退。
800形で一番最後まで残った823編成は、2019年(令和元年)6月16日(日)に特別貸切列車「ありがとう800形」として最後の運行。この後、予備車両として数日間残り、その後正式に引退。

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引退前、在りし日の姿、
品川から金沢文庫までの乗車記録(前編)です。


京浜急行電鉄 品川(しながわ)駅(東京都港区)

朝の品川駅3番線で発車を待つ普通 浦賀行1000形電車

品川駅3番線は行き止まり式





午前9時07分 品川始発の普通 金沢文庫行きに乗車予定。この日は800形の運用。

午前9時02分、浦賀駅からやってきた800形電車が、品川駅3番線ホームに入線

午前6時44分に浦賀駅(神奈川県横須賀市)を出発し、午前9時02分に終点の品川駅に到着(641運用)

朝のラッシュ時間、途中、数多くの駅で様々な優等列車に追い抜かれるため、浦賀~品川間55.5kmの所要時間は、なんと2時間18分にもなる。


終点・品川駅で通勤・通学客を下ろした後、折り返し午前9時07分発 金沢文庫行きに(940運用)。



800形最後の一編成、リバイバル色の「823編成」(6両固定編成)。

片開きドア・前照灯1灯、角形の急行灯2灯(尾灯と兼用。普通列車以外(急行や回送列車)で運転する場合に点灯)、アンチクライマー設置という往年の京急伝統スタイルの車両として、800形は最後の形式。
1982年(昭和57年)に、両開きドアと2灯式ヘッドライトを採用した2000形電車がデビュー。これ以降の京急の新型車両は、すべて両開きドアと2灯式ヘッドライトになり、4ドアの採用は800形で終了。
車両の前面部分は赤と白、そして黒の3色がそろっているためか、鉄道ファンからは「だるま」とも呼ばれた800形。



800形は、昭和時代の京急の伝統を継承しつつ、それまでの京急の車両デザインから大きく変わり、前面部分は、車両の連結時や脱出時に使う貫通扉がない。


種別表示器(左)と、行先表示器(右)。多種多様な列車種別と行先種別があるため、表示を2つに分けた方が合理的なため、このようにしている。



この日の800形運用。この時点で、現役で活躍する800形は、リバイバル色823編成のみ残存。



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800形の列車旅
普通・金沢文庫行き、品川駅を午前9時07分発車




800形の車内へ。

車両間の連結部分

渡り板

妻面の窓

800形823-1号は、1981年(昭和56年)に川崎重工業で製造

大きな戸袋窓。下側にはブラインドを引っかける金具がある。




午前9時20分、平和島(へいわじま)駅到着
優等列車に追い抜かれるため、4分停車

菱形のパンタグラフ

車体の京急ロゴマーク

品川~横浜間は、多数の優等列車に追い抜かれ所要時間がかかるため、短区間の利用者が多い。


800形登場前の、従来の京急車両は赤をベースに白い細帯を窓の下に巻いていたが、800形は窓の周りを白く塗り、白の部分を大きく広げた初めての車両。この塗装は、のちに登場する快速特急など通過駅が多い優等列車車両の塗装として採用されることに。


800形は、その後、当時の従来車に近い白い細帯塗装に塗り替えられたが、前面塗装だけはデビュー当時と変わらず。なお、2016年(平成28年)にこの823編成は、デビュー時の塗装を復刻。



平和島駅、午前9時24分発車





車端部

大きな窓に、大きなブラインド





京急蒲田(けいきゅうかまた)駅 午前9時29分到着

スピードが早いイメージの京急でも、普通列車はのんびりと…。


3両目と4両目の車両間にだけ、貫通仕切扉が付いている。仕切り扉は両開き。
「シルバーシート」の優先席も京急で最後の存在に。



天井には扇風機

扇風機には「KHK」の文字が残る。現在、京急のロゴは「KEIKYU」を使用しているため、「KHK」のロゴは800形の扇風機でしか見ることができない。

かつての京急の特徴だった大きな片開きドア。
今では800形が、京急唯一の片開きドア車。
かつての通勤電車のドアは、片開きドアが一般的だったが、1960年代から1970年代にかけて、両開きドアが普及。しかし、京急は1970年代末期にデビューした800形まで片開きドアを採用し続けた。




菱形パンタグラフと集中冷房器

両先頭車だけは分散冷房器


のんびりした普通列車の車内

吊り革

大きなドアが閉まり、京急蒲田駅 午前9時34分発車




両先頭車は、京急車両で現在唯一の分散冷房(中間車は集中冷房)のため丸天井となっている。丸天井のため、扇風機の取り付け部分も出っ張っている。丸天井も800形引退に伴い見納めに

800形車内は、かつての京急伝統の大きな窓で、車内は明るい。

4扉車の800形車内の座席間には2枚の大きな窓。そのうち一枚は戸袋窓になっている。
座席の青いモケットも京急最後の存在に。



東京都最後の駅、六郷土手(ろくごうどて)



多摩川を渡り、東京都から神奈川県へ。

向こうに見える鉄橋は、JR東海道線と京浜東北線







京急川崎(けいきゅうかわさき)駅 午前9時40分到着

優等列車に追い抜かれるため、8分間停車

運転台後ろ



運転台の大きな前面窓




京急電鉄初の右手ワンハンドルマスコン、界磁チョッパ制御、電力回生ブレーキ等を採用



連結器の左右にはかつての京急伝統のアンチクライマーを装備
アンチクライマーは、万一追突事故発生の場合、アンチクライマー同士が緩衝し、車体乗り上げといった事態を招かないようにするため設置。1500形電車までアンチクライマーは設置されていたが、現在は保安装置が充実し衝突の危険性が殆どなくなったため、600形電車以降廃止に。







特急 三崎口行きなど数本を先に通す。



発車を待つ800形

京急川崎駅 午前9時48分発車



車両貫通路

JR川崎駅前を通り過ぎる。






生麦(なまむぎ)駅 午前9時55分到着。
通過列車(優等列車)を3本先に通すため、6分停車。




連結部分




生麦駅 午前10時01分発車





JR京浜東北線 新子安駅の横を通り過ぎる。





神奈川新町(かながわしんまち)駅 午前10時06分到着。5分間停車。

神奈川新町駅は、新町検車区(車両基地)に隣接。したがって神奈川新町駅始発や終点の運用列車もある。

いろいろな京急車両を眺めることができる神奈川新町駅ホーム


普通列車の800形は先を急がない。


乗務員室後ろの座席からは、前面展望性がよい。

神奈川新町駅 午前10時11分発車。
神奈川新町駅から上大岡駅までは、しばらく優等列車の通過待ちがなく、この普通列車が先行。


(続く)