総務省は「経済財政改革の基本方針2007について」(平成19年6月19日閣議決定)に基づき、「公立病院改革ガイドライン」を策定している。全国の公立病院では、このガイドラインに基づいて、「公立病院改革プラン」を策定し、公立病院の収支改善、赤字の解消に努めている。
今や公立病院であっても、赤字経営が許されるという時代ではないが、やはり病院は、他の企業とは二つの点で根本的に異なる。
一つは、提供するサービスに限りがあるということである。他の業種やサービスであれば、投資を増加することによって、供給を拡大することも可能であるが、医療については、専門的な知識・技能を持った人材(特に医師)の数が限られているために、いかに投資を増やしても、医療サービスの供給を増やすことはできない。
例えば、医師数を増やすために、医学部の大学入試を廃止して、誰でも希望すれば、医学生になれるようにしたとしても、医師になれる人は決して増えることはない。大学関係者の多くが、大学の学生定員を増やしても、医師は増えないと主張するのは、近年の学生の知的レベルの低さを実感しているからである。
たとえ、定員を倍にしても、留年者と中途退学者が増えるだけと言う結果になるか、何とか卒業だけはしたとしても、医師国家試験には合格できない、いわゆる国試浪人が増えるだけではないかと危惧している。
こうした状況を改善するには、大学の学生定員ではなく、教員定員を増やして、できれば学生一人に教員一人が付いて、マン・ツー・マンで指導に当たるというようなことが必要であろうが、残念ながら、今の日本に教員となれる医師はさほど多くない。これから養成するにしても、10年単位の歳月が必要になるだろう。
二つ目は、サービスを提供する側が需要を喚起できるということである。病院に来た人が病気か否かを決めるのは、医師であるし、入院が必要か、外来・通院で十分かを決めるのも医師である。形式的には、患者に選択権があったとしても、目の前の医師から「あなたは病気です。すぐに入院が必要です。」と言われれば、もともと何か不安があって、病院に来ている人は一も二もなく入院してしまうだろう。
会社の集団健診で紙に書かれた数字だけで異常を指摘されるのと、病院の診察室で医師から直接、病気だと宣告されるのとでは、やはり受け取る側にとっての重みは大きく異なる。
また、入院して行う検査や治療にしても、患者自身が適否を判断することは難しい。ましてや、適正な価格かどうか、費用対効果は妥当な水準か否かを患者が判断することはできない。患者にとっての現実的な判断基準は、苦痛があるか否か、効果があるか否かぐらいである。多少なりとも効果があって、苦痛が少ない治療であれば、いかに高額であっても、拒む患者は、まずいない。
こうした医療の持つ特殊性を無視して、病院経営に市場原理、企業理念を導入したことが全国の公立病院で医師不足を招いている大きな原因ではなかろうか。
例えば、「市立三次中央病院改革プラン」【平成21年10月 三次市】では、「経営指標に係る財務数値目標」として、以下の5項目を掲げている。
◆財務数値目標について,次のとおり目標を設定し,経営改善を推進します。
・経常収支比率:100%以上を維持します。
・職員給与費対医業収益比率:46%以下を維持します。
・材料費対医業収益比率:31%以下を維持します。
・病床利用率:94%以上を維持します。
・患者1人1日当たり入院収入:37,000 円以上を達成します。
これらの指標の内、
・経常収支比率:100%以上を維持します。
・職員給与費対医業収益比率:46%以下を維持します。
・材料費対医業収益比率:31%以下を維持します。
については、病院経営においても、まず妥当な目標と言えるだろう。
しかし、
・病床利用率:94%以上を維持します。
・患者1人1日当たり入院収入:37,000 円以上を達成します。
については、病院の経営目標として、いささか不適切ではないかと思う。
病床利用率が低いのであれば、つまり患者が少ないのであれば、入院患者数に応じて病床数を削減すべきであり、わざわざ入院患者を増やして、つまり、医師に更なる労働を強いてまで、利用率を上げる必要はない筈である。
以前の公立病院は収支など、あまり気にしていなかったので、患者が少なければ、退院を先延ばしにして、病床利用率を維持するというようなことが横行していた。その結果、「患者1人1日当たり入院収入」が低くなり、赤字の拡大と言う事態を招いていた。
しかし、現在は、公立病院についても入院期間の短縮が強く求められているので、病床利用率を高めるには新たな患者を増やすしかない。
また、「患者1人1日当たり入院収入」を高めようとすれば、一人の患者に対して、それだけ濃厚な医療が必要となり、当然、医師の負担も増す。
以前のように出来高払いではなくなったとは言え、1日当たり入院収入37,000円の患者一人を治療するのに要する医師の精神的・肉体的な負担は、1日当たり入院収入18,500円の患者二人分に相当すると言っても良い。
つまり、以前と同じ患者数であっても、「患者1人1日当たり入院収入」を高めれば、それだけ医師の負担は増し、結果的に医師不足に陥ってしまう。
公立病院の経営においては、本来、以下のように目標を設定すべきではないだろうか。
・病床利用率が94%以上となるように、入院患者数に応じて、病床数を削減します。
・患者1人1日当たり入院収入は、入院期間を最短となるように適切な医療を提供することを前提として、37,000 円以下を達成します。
全国の公立病院において、病床利用率を高めるために患者数を増やし、さらに患者一人一日当たりの医療費を高めれば、医師の負担は従来の2倍、3倍にもなる一方で、それに応じた医師数の増加ができない以上、医師不足が全国各地で深刻化するのは当然の結果であろう。
「市立三次中央病院改革プラン」
【平成21年10月 三次市】
http://www.miyoshi-central-hospital.jp/mpsdata/web/50/kaikakupuran.pdf
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揺らぐ足元:’10参院選/5止 医師不足、悲鳴上げる病院 /広島
【毎日新聞 2010年6月22日】
◇地域医療、態勢整備を
「夜間の当直の時には、やっぱり寝られません。処置室を全く離れられないこともある」。市立三次中央病院(三次市東酒屋町)の外科医、中川直哉さん(31)の当直(午後5時~翌朝8時半)は月に2、3回。ベッドと簡易な机のある宿直室で仮眠することもあるが、それも1時間ほど。翌日も通常勤務をこなす。月に約10回は緊急手術などに備え、自宅などで待機する。それ以外の日も、呼び出しに備えて携帯電話が離せない。「1回も病院に来ない日はないですね」と言う。
同病院は、三次、庄原両市からなる2次医療圏の基幹病院。09年は約1万5000人の救急患者を受け入れた。夜間や休日など時間外が9割以上を占める。患者は安芸高田市や、島根県からも受け入れている。
同病院に昨年度在籍した医師57人の時間外勤務は1カ月平均73時間。うち13人は100時間を超えた。24時間診療態勢をとる小児科は過酷で、常勤医4人が月7、8回の当直をこなす。外科は一時、当直明けの午後は休みにしたが、続かなかった。診療部長を兼ねる外科主任医長の立本直邦さん(50)は「病院経営は黒字だが、医師の疲弊をはじめ負の連鎖で、閉鎖に追い込まれる可能性もある」と漏らす。
地方が医師不足になった大きな要因は、04年に始まった臨床研修制度とされる。新人医師に救急、産科など7診療科での研修を義務化。研修先を自由に選べるため、都市部に医師が集中した。医師が流出した大学病院は、地域に派遣していた医師を引き上げた。当直や呼び出しの多い勤務医が敬遠され、開業する医師が増えたことも追い打ちをかけた。
地域偏在も深刻だ。県医療政策課によると、08年末の県内医師数は6864人。06年末と比べて124人増えた。しかし、広島市や福山市では大幅に増えたが、中山間地域や島しょ部は減少か横ばい。格差は広がった。
四方を山に囲まれた安芸太田病院(安芸太田町)。昨年9月末、派遣医師の引き上げで精神科の常勤医がいなくなった。自身も月4、5回当直に入る武沢厳院長(57)は「コンビニエンスストアのように気軽に診てあげられるのが理想だが、態勢を整えることが必要」と訴える。昨年末、町の医療の現状や課題を考えるシンポジウムを開き、住民に理解を求めた。
国は08年、医師養成数の抑制方針を転換。診療報酬は今年度、10年ぶりに引き上げられた。武沢院長は、大学病院や米国での病院勤務を経て、地域医療に携わって約25年。「国の方針転換は評価できる。ただ、医学部の定員を増やしても、効果は10年先にならないと分からない。その間に、病院のあり方を住民、行政も一緒になって考えなければ」と訴える。
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広島市立4病院:人手不足深刻 1カ月無休の医師6.8% 1日含め14%
【2009年3月7日 毎日新聞】
広島市の市立4病院で、1カ月に休日が取れない医師が正職員、嘱託合わせて全体の6・8%に当たる25人に上ることが分かった。月に1日しか休みを取らなかった医師は27人おり、合わせて14・1%にも上る。市は「人手不足や医療への熱意で休日にも出勤している医師が多い。医師数を増やしたいのだが、経営面や人材面から難しい」と頭を抱える。
6日、この問題を松坂知恒市議が市議会予算特別委員会で質問した。同市は広島市民(中区)、安佐市民(安佐北区)、舟入(中区)、総合リハビリテーションセンター(安佐南区)の4病院を運営。4病院で368人が昨年11月1日現在で在籍している。08年10月5日から11月1日までの4週間で休みが0日だったのは、広島市民14人▽安佐市民9人▽舟入2人の計25人だった。1日しか休みがなかった人も27人いた。
08年4月から09年1月では、月100時間以上の時間外勤務を行った医師は安佐市民14人▽広島市民と舟入で各1人の計16人いた。
6日の市議会で、大庭治・広島市民病院長らは「医師たちが休みがまったくない状態だったとは知らなかった。これから改善していきたい」などと答弁した。
福岡県久山町では九州大学医学部の医師らによって、およそ50年前から今日まで、連綿と疫学調査(久山町研究)が行われている。この研究からは、成人病(生活習慣病)について、様々な知見が得られている。
例えば、血液中のHDL-C(HDLコレステロール)の値が低下すると、脳梗塞が増えると言う結果が得られている。しかし、HDL-C値を上げれば、脳梗塞が減ると言う結果が得られている訳ではない。
また、肥満した人はコレステロール値が高いということは、以前から知られていたが、久山町研究により、たとえ肥満していなくても、コレステロール値が高い人は多いという結果が得られている。
さらに、コレステロール値が高いと言うだけでは、特に脳梗塞が発症しやすいということはないという結果も得られている。
つまり、肥満している人(腹囲の大きい人)が運動したり、食生活を改善したりして、少々痩せたからと言って、それだけでコレステロール値が低下したり、脳梗塞になる危険が減ったりするという訳ではないということである。
疫学研究は、ある疾患の原因を明らかにするには有効な手法ではあるが、疾患の予防法を探し出すことには、あまり役に立たない。
疾患の原因は一つとは限らないし、様々な要因が絡み合った結果として、ある疾患が成立していることが多い。
ある疾患の原因の一つを取り除いたからと言って、それで疾患が予防できるほど、人体は単純ではないし、病気は簡単なものではない。
世の中には、健康に良いと言われるもの(物)・こと(事)は沢山あるが、何ごとにつけても、眉に唾を付けて見ることが必要であろう。
「疫学調査と臨床試験 久山町研究」
【アステラス メディカルネット】
http://netpress.astellas.jp/?4_7840_1328_31_p_LginKY%3dZtywJscwjeSx5UaV66Nwrpg7msZK1gqU
例えば、血液中のHDL-C(HDLコレステロール)の値が低下すると、脳梗塞が増えると言う結果が得られている。しかし、HDL-C値を上げれば、脳梗塞が減ると言う結果が得られている訳ではない。
また、肥満した人はコレステロール値が高いということは、以前から知られていたが、久山町研究により、たとえ肥満していなくても、コレステロール値が高い人は多いという結果が得られている。
さらに、コレステロール値が高いと言うだけでは、特に脳梗塞が発症しやすいということはないという結果も得られている。
つまり、肥満している人(腹囲の大きい人)が運動したり、食生活を改善したりして、少々痩せたからと言って、それだけでコレステロール値が低下したり、脳梗塞になる危険が減ったりするという訳ではないということである。
疫学研究は、ある疾患の原因を明らかにするには有効な手法ではあるが、疾患の予防法を探し出すことには、あまり役に立たない。
疾患の原因は一つとは限らないし、様々な要因が絡み合った結果として、ある疾患が成立していることが多い。
ある疾患の原因の一つを取り除いたからと言って、それで疾患が予防できるほど、人体は単純ではないし、病気は簡単なものではない。
世の中には、健康に良いと言われるもの(物)・こと(事)は沢山あるが、何ごとにつけても、眉に唾を付けて見ることが必要であろう。
「疫学調査と臨床試験 久山町研究」
【アステラス メディカルネット】
http://netpress.astellas.jp/?4_7840_1328_31_p_LginKY%3dZtywJscwjeSx5UaV66Nwrpg7msZK1gqU
4年前、特別養護老人ホームに入居していた女性(79歳)がノロウイルスに感染して死亡したとして、施設を運営する社会福祉法人に損害賠償を求める訴訟を遺族が起こしたという。
詳しい事情は分からないが、高齢者が嘔吐や下痢などの結果として、脱水症状を来し、血液の粘張度(粘り気)が増して、脳梗塞を発症するということはあり得ないことではない。ノロウイルスの感染が死亡の間接的な原因となった可能性は否定できないだろう。
そういう意味では、女性の死亡とノロウイルス感染とは「相当の因果関係がある」とも言える。
しかし、ノロウイルスは厄介なウイルスで、適切な感染予防措置を講じていても、感染を防止することは難しい。衛生管理の怠慢があれば、感染するのは当然であるが、仮に衛生管理が万全であっても、感染を防ぐのは容易ではない。
ある施設でノロウイルスの集団感染が起こったからと言って、直ちに「施設側の感染予防措置は不十分で、衛生管理の怠慢による義務違反」とまで言えるかどうかは大いに疑問である。特に、実際に施設の衛生管理に携わる立場の人からすれば、そこまで要求されるのであれば、施設を閉鎖せざるを得ないという声も出るだろう。
特別養護老人ホームに対して、入居者の家族は月額15万円程度の利用料を支払っているのだから、施設は、料金に見合ったサービスの提供をするのは当然である。
死後、裁判を起こすような遺族がいるのであれば、介護を要する高齢の家族を特別養護老人ホームに入れたりするのではなく、家庭で家族自らが介護すべきだという意見もあるだろうが、たとえ家族が介護しない高齢者だとしても、特別養護老人ホームにおいて、高齢者をぞんざいに扱っても良いということにはならない。
特別養護老人ホームは、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものである。
また、特別養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って処遇を行うこと、さらに、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行うことが求められている。
とは言え、要介護の高齢者のケアをするのは、大変な作業である。特に介護度の高い高齢者の場合、身体的な障害だけでなく、知的・精神的な障害も加わって、なお一層、困難さを増す。あまりに高い水準を要求されても、期待に応えることは難しいだろう。
裁判の結果がどうなるかは予想も付かないし、早期に示談になるかも知れないが、特別養護老人ホームの入所者や家族にとっても、また、施設にとっても、酷な判決にならないことを期待したい。
「ノロウイルスに関するQ&A」
【厚生労働省】
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」
【平成十一年三月三十一日厚生省令第四十六号】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11F03601000046.html
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「ノロウイルス感染で死亡」 広島地裁に遺族提訴
【中国新聞 10/6/22】
安芸高田市の特別養護老人ホームで2006年、入居していた無職女性=当時(79)=が死亡したのは施設内でのノロウイルスの集団感染が原因だとして、広島県内の遺族4人が施設を運営する社会福祉法人に計約3600万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こしていたことが21日、分かった。
訴状によると、女性は06年11月末、施設で昼食後に嘔吐(おうと)するなどした。同年12月1日、脱水症状による脳梗塞(こうそく)で死亡。同4日にノロウイルスの感染と判明した。
遺族側は、女性の死亡はノロウイルス感染と「相当の因果関係がある」と主張。「施設側の感染予防措置は不十分で、衛生管理の怠慢による義務違反だ」としている。
県健康対策課によると、同施設では同年11月、この女性を含む入居者と職員計35人のノロウイルスの集団感染を確認。死亡した女性については「ノロウイルスとの因果関係は不明」としている。
詳しい事情は分からないが、高齢者が嘔吐や下痢などの結果として、脱水症状を来し、血液の粘張度(粘り気)が増して、脳梗塞を発症するということはあり得ないことではない。ノロウイルスの感染が死亡の間接的な原因となった可能性は否定できないだろう。
そういう意味では、女性の死亡とノロウイルス感染とは「相当の因果関係がある」とも言える。
しかし、ノロウイルスは厄介なウイルスで、適切な感染予防措置を講じていても、感染を防止することは難しい。衛生管理の怠慢があれば、感染するのは当然であるが、仮に衛生管理が万全であっても、感染を防ぐのは容易ではない。
ある施設でノロウイルスの集団感染が起こったからと言って、直ちに「施設側の感染予防措置は不十分で、衛生管理の怠慢による義務違反」とまで言えるかどうかは大いに疑問である。特に、実際に施設の衛生管理に携わる立場の人からすれば、そこまで要求されるのであれば、施設を閉鎖せざるを得ないという声も出るだろう。
特別養護老人ホームに対して、入居者の家族は月額15万円程度の利用料を支払っているのだから、施設は、料金に見合ったサービスの提供をするのは当然である。
死後、裁判を起こすような遺族がいるのであれば、介護を要する高齢の家族を特別養護老人ホームに入れたりするのではなく、家庭で家族自らが介護すべきだという意見もあるだろうが、たとえ家族が介護しない高齢者だとしても、特別養護老人ホームにおいて、高齢者をぞんざいに扱っても良いということにはならない。
特別養護老人ホームは、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものである。
また、特別養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って処遇を行うこと、さらに、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行うことが求められている。
とは言え、要介護の高齢者のケアをするのは、大変な作業である。特に介護度の高い高齢者の場合、身体的な障害だけでなく、知的・精神的な障害も加わって、なお一層、困難さを増す。あまりに高い水準を要求されても、期待に応えることは難しいだろう。
裁判の結果がどうなるかは予想も付かないし、早期に示談になるかも知れないが、特別養護老人ホームの入所者や家族にとっても、また、施設にとっても、酷な判決にならないことを期待したい。
「ノロウイルスに関するQ&A」
【厚生労働省】
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」
【平成十一年三月三十一日厚生省令第四十六号】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11F03601000046.html
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「ノロウイルス感染で死亡」 広島地裁に遺族提訴
【中国新聞 10/6/22】
安芸高田市の特別養護老人ホームで2006年、入居していた無職女性=当時(79)=が死亡したのは施設内でのノロウイルスの集団感染が原因だとして、広島県内の遺族4人が施設を運営する社会福祉法人に計約3600万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こしていたことが21日、分かった。
訴状によると、女性は06年11月末、施設で昼食後に嘔吐(おうと)するなどした。同年12月1日、脱水症状による脳梗塞(こうそく)で死亡。同4日にノロウイルスの感染と判明した。
遺族側は、女性の死亡はノロウイルス感染と「相当の因果関係がある」と主張。「施設側の感染予防措置は不十分で、衛生管理の怠慢による義務違反だ」としている。
県健康対策課によると、同施設では同年11月、この女性を含む入居者と職員計35人のノロウイルスの集団感染を確認。死亡した女性については「ノロウイルスとの因果関係は不明」としている。