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臨遥亭の跡で働く医系技官の独り言

心に移り行くよしなしごとをそこはかとなく書き連ねています。

 外交とは、虚々実々の駆け引きの場であり、本音と建て前が錯綜する世界である。
 北方領土(北方四島)は「日本固有の領土」であるというのが日本政府の公式見解であるが、現実には、北方領土は「外国」として扱われている。
 例えば、北方領土の一つである国後島から北海道等の日本国内へ来航した船舶については、検疫法及び植物防疫法による検疫(植物検疫)が行われている。

 このうち、植物防疫法については、「国内植物検疫」(第3章)という規定がある。
 国内の一部に存在している有害動物若しくは有害植物のまん延を防止するため、「農林水産省令で定める地域」内にある植物で、「他の地域への移動を制限する必要があるものとして農林水産省令で定めるもの」については、国内間での移動であっても植物防疫官による検査(植物検疫)が行なわれている。
 この規定を準用すれば、国後島から北海道への植物の移動について植物検疫を行うことは、「国内植物検疫」の一環であり、国後島を「外国」と認めたことにはならないと主張することは可能である。
 ただし、現時点で、北方領土は「農林水産省令で定める地域」とはされていないので、北方領土から持ち込まれる植物について、植物検疫を行うことに関する法令上の根拠規定はない。

 これに対して、検疫法については、そもそも国内検疫という概念は存在しない。
 検疫の対象となるのは、「外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶又は航空機」と「航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶又は航空機から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶又は航空機」に限定されている。
 「日本固有の領土」である北方四島は、当然、「外国」ではないから、国後島等の北方四島から来航する船舶について、検疫を行う根拠法令は全くない。それにもかかわらず、国後島等から来航する船舶について、現実には検疫が行われている。

 ロシア政府から、国後島から来航する船舶について、日本政府が検疫を行っているのは、国後島を「外国」と日本政府自身が認識し、認めているからに他ならないと主張されても致し方ないであろう。

 それでは、国後島等の北方領土から来航する船舶について、日本政府は、検疫を行うべきではないのであろうか。
 検疫など、そもそも不要かつ無用であるという立場の人からすれば、北方領土から来航する船舶に限らず、すべての検疫を廃止しても良いということになるかも知れないが、残念ながら、そう考える日本人は、あまり多くない。


「植物防疫法」
(昭和二十五年五月四日法律第百五十一号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO151.html

「国内植物検疫」
【植物防疫所】
http://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/domestic/index.html

「検疫法」
(昭和二十六年六月六日法律第二百一号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO201.html

「北方四島交流の際に根室でとられた検疫手続きに関する質問主意書」
(平成十八年五月二十五日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a164277.htm

「衆議院議員鈴木宗男君提出北方四島交流の際に根室でとられた検疫手続きに関する質問に対する答弁書」
(平成十八年六月二日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b164277.htm

「北方領土訪問に関するQ&A」
【日本国外務省】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/hoppo_qa.html
 尖閣諸島の領有権を巡って、日中間が騒がしくなっている。
 日本人の中には、中国との全面対決、戦争さえも辞さずと息巻いている血気盛んな人もいるようであるが、経済界の多数派は日中間の友好関係の継続と経済交流の進展を望んでいるらしい。
 実際、日本にとって、中国は、今や輸出入ともに最大の貿易相手国であり、中国との経済交流なくして、日本経済は立ち行かないのが現状である。
 レアアースに限らず、万が一にも、中国が対日経済制裁、日中間の貿易制限・禁止措置を取れば、中国経済に与える影響も大きいが、それ以上に日本経済に与える影響の方が甚大であろう。

 日本製品が中国市場から締め出されれば、韓国等のアジア製品や欧米製品がその穴を埋める一方で、日本市場から撤退した中国製品は、欧米やアジア・アフリカ・南米諸国に新たな市場と販路を求めて進出するということになる。
 それに対して、日本は、衣類や日用品などの生活必需品が不足する一方で、自動車等の過剰な在庫と生産設備を抱えて、物価の上昇と企業倒産・失業者の増加と言う深刻な事態を招きかねない。

 尖閣諸島を日本が領有し続けるためには、単純に力を行使するだけでなく、世界規模での戦略、外交方針が求められるであろう。
 長大な国境線と海岸線を有する中国との間で、領土問題や国境紛争を抱えている国は少なくない。尖閣諸島に関する中国の領有権の主張についても、明確な賛意を示している国は今のところ皆無である。
 日中間に領土問題は存在しないという建前に拘るのではなく、例えば、APEC首脳会議のような国際会議の場において、あえて尖閣諸島問題を取り上げて、日本の主張を国際社会にアピールするというのも一つの手ではないかと思う。

 ところで、尖閣諸島について、「日本固有の領土」という表現がよく使われているが、この「固有の領土」とはどういう意味であろうか。

 日本政府の公式見解によると、日本が領有権を主張している土地のうち、「いまだかつて一度も外国の領土となったことがない」土地を「日本固有の領土」と称しているようであるが、「北方四島」や「竹島」は現に外国政府の実効的な支配下に置かれている。
 国際法上は、領土取得の要件は、国家による当該土地の実効的な占有・統治とされており、かつて他国の領土であった土地でも、現に実効支配していれば、当該支配国の領土と認めるのが通例である。これを覆そうとすれば、今のところ、戦争(軍事的な圧力・威嚇を含む)という手段に訴えるしかないのが現実である。
 テキサスやカリフォルニアは、メキシコ固有の領土だと主張しても、米国は一切受け付けないし、北アイルランドは、アイルランド固有の領土だと言っても、英国は全く聞く耳を持たない。極東ロシアの沿海州は、古代の渤海国以来、歴史的には中国固有の領土であろうと思うが、領土的な野心の旺盛な中国も、さすがにウラジオストクやナホトカ、ハバロフスクは中国領だとまでは言っていない。

 また、沖縄は、かつて中国(清国)や米国とも外交関係を持つ「琉球王国」という独立国であったし、北海道は、旧土人と言われて、日本人(和人)とは明確に区別されていたアイヌ民族が支配する土地であった。
 沖縄や北海道を「日本固有の領土」ということには、いささかの抵抗感と羞恥心を感じる。今は、沖縄も北海道も日本の領土ではあるが、本来、沖縄は琉球民族固有の領土であり、北海道はアイヌ民族固有の領土ではなかろうか。

 「固有の領土」という表現は、国際社会・政治の世界においては、一般に、本来は自国・自民族の領土であるが、他国・他民族によって、不法に占拠されている土地と言う意味で使われることが多い。
 日本について言えば、ロシアが実効支配している「北方領土(国後島、択捉島、色丹島、歯舞諸島)」や韓国が実効支配している「竹島(独島)」などである。
 他国では、ベリーズの独立を認めず、ベリーズは自国の「固有の領土」であると主張していたグアテマラの例や、スリ・ランカの北部・東部両州はタミル人の固有の領土であると主張して、分離独立を求めていたタミル過激派の例などがある。ただし、いずれの主張も、国際社会では認められず、グアテマラはベリーズの独立を認め、タミル過激派はスリ・ランカ政府軍に掃討された。

 中国は、尖閣諸島を日本の領土と認めていないが、今に至るまで、中国が尖閣諸島を実効支配した歴史的な事実はないようである。とは言え、現在、尖閣諸島を領有している日本についても、確実に支配していたと言えるのは、日清戦争の最中の1895年以降のことらしい。
 尖閣諸島は、中国が主張するように、日本が日清戦争下の軍事的な優位を背景に、一方的に領有を宣言した土地であり、「中国固有の領土」であるかも知れないが、現在は日本の領土である。
 尖閣諸島は、中国の実効支配下にある「日本固有の領土」ではない。


「2009日中貿易動向」
【環日本海経済交流センター】
http://www.near21.jp/kan/data/trade/trade2/jcnew.htm

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中国、米国を抜き最大の輸出相手に、09年1―6月貿易統計、JETRO
【2009年8月20日 日経新聞】

 日本貿易振興機構(JETRO)によると、2009年上半期(1―6月)は日本の海外輸出に占める中国のシェアが18.5%と前年同期から2.9ポイント上昇して過去最高を更新し、初めて米国を上回った。輸入に占める中国のシェアも22.3%と過去最高を更新した。財務省の貿易統計(円ベース)をドル建てに換えて算出した。
 中国は2007年から米国を抜いて日本の最大貿易相手先だが、輸出相手先としては依然として米国が上回っていた。しかし2009年上半期は対米輸出が対世界輸出を上回る減少幅となり、日本の輸出に占める米国のシェアは前年同期から1.9ポイント低下して16.1%に落ち込んだ。
 2009年上半期の対中輸出は前年同期比25.3%減の465億5888万ドルで、輸入は17.8%減の562億8108万ドル。貿易総額は21.4%減の1028億3996万ドルと、2001年下半期以来15半期ぶりに前年同期を下回った。しかし対世界貿易よりも減少幅は小さかったことから、貿易総額に占める中国のシェアは初めて2割を超えた。
 日中貿易の収支は日本側が97億2220万ドルの赤字で、前年同期から57.7%拡大した。輸入より輸出の減少幅が大きかったためだが、JETROは過去数年間の赤字縮小傾向や輸出の回復傾向から、通年で大幅に対中赤字が拡大する可能性は低いとみている。
 ただし2009年通年の日中貿易総額は、1998年以来11年ぶりの前年割れがほぼ確実となる見通し。JETROは中国政府の景気刺激策について「日本からの高付加価値品の輸出をけん引する効果は限定的」と厳しい見方をしており、日中貿易の回復には先進国の経済回復による中国の外需拡大が重要としている。

 新聞報道はしばしば事実を正確には伝えていないことがある。

 9月10日、国が管理している全国26空港(共用空港を含む)について、国土交通省が収支計算の試算計算を公表したが、これについても必ずしも正確な報道がなされているとは言い難い。

 例えば、新潟空港について、新聞各紙では20億7400万円の赤字と報道されているが、これは、いくつかの試算パターンによる損益計算書のうち、営業利益(営業収益-営業費用)の項だけを抜き出した数字である。
 損益計算としては、経常収支の項を評価すべきであり、この場合には、新潟空港は10億50百万の赤字となる。
 つまり、新潟空港を維持するために、毎年約10億円の税金が投じられているという計算になる。

 ちなみに、営業利益と経常収支との間で、10億円もの相違が生じる原因は、自治体等からの受託工事について、その工事費用は、他の工事費と共に営業費用に計上されるのに対して、自治体等からの収入(10億24百万円)は、営業収益ではなく、営業外収益に計上されるためである。

[参考]
経常収益=営業利益+営業外利益
 営業利益=営業収益-営業費用
 営業外利益=営業外収益-営業外費用

 とは言え、新潟空港についてみれば、航空機燃料税を各空港の空港整備事業費歳出額に比例して配分した試算でも、7億44百万円の赤字であり、さらに、その他の一般会計からの繰入も同様に各空港に配分した試算でも、なお5億円の赤字となる。
 ちなみに、57億7000万円の赤字と報じられている福岡空港についてさえも、一般会計からの繰入を計上した試算では、経常損益は11億26百万円の黒字となる。

 営業利益の赤字額のみをもって収支を論じ、地方空港の存在意義を問うのは、ナンセンスであるが、利用者が少なく、着陸料等の収入の増加も見込めない空港については、真剣に廃止を議論しても良い時期であろう。


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国管理20空港が赤字=07年度収支試算結果-国交省
【2010/09/10 時事通信】

 国土交通省は10日、国が管理している26空港に関する2007年度個別収支の試算結果を公表した。企業会計に準じた手法で試算し、営業損益では赤字が20空港、黒字が6空港だった。整備事業費の縮小に伴って営業費用が減ったことなどから、黒字空港が2空港増えた。
 各空港の収支は空港整備勘定で一括管理しているが、空港運営の透明性確保の観点から情報開示を求める声が強くなった。このため、国交省は昨年から国管理空港の収支公表を始めた。
 赤字額が最も大きかったのは、福岡空港の57億7000万円で土地や建物の賃借料負担や環境対策費がかさんだことが主因。以下、那覇(52億6800万円)、新潟(20億7400万円)、北九州(20億3100万円)などが続いた。
 一方、黒字は羽田、伊丹、新千歳、熊本、鹿児島、小松の6港。羽田は再拡張事業に関連した漁業補償経費が縮小したため、90億7600万円の黒字だった。


「平成19年度空港別収支試算結果の公表について」
【平成22年9月10日 国土交通省】
http://www.mlit.go.jp/report/press/cab05_hh_000023.html