「心の状態が整う」というのはどのような過程でなされていくのでしょうか。
もちろんその人の心の状態や問題の種類などで違いはあります。
また心理療法のスタイルでも違います。
専門書でも療法の種類ややり方などは説明されていても改善過程はあまり詳しく書かれてあることは見かけないでしょうか。
専門家は当たり前のようになっていてわざわざ書かなくてもという部分があるかもしれません。
しかし意外とどのように自分の心が変化し、良くなっていくのか、イメージができない方も多いようです。
あくまで一例ですがすこし書いてみましょう。
今回はあえて軽めの事例(創作のイメージ典型例です)にしておきます。
例えば学校の友人5人とこれまでは仲良くやっていました。(すくなくともクライアントはそう思っていた)
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ところがある日から友人たち4人の態度に違和感をおぼえるようになりました。
・話しかけても反応が薄い。一人はほとんど無視。
・休日に遊びに行った話をしているが自分は誘われていない。
・移動教室のときなどにこれまでは一緒に移動していたのにいつのまにかほかの4人はいない。
など。
この段階で友人関係としてすでに何かは起こっています。
この段階のカウンセリングではとにかく話を聞いていきます。
クラス内、部活内、仲の良い友人、仲の悪い友人、担任教師、とくに小学校高学年~の女の子の場合などは原因に恋愛がからんでいることも多いものです。
1、違和感の原因を探る。
結果がある以上、原因はかならずあります。
「わからない」「みつからない」ことはあっても、原因がないということはあり得ません。
例えば「恋愛」が原因の場合。
よくよく話を聞いていくとじつは無視をしていた友人には好きな男の子がいる。
しかしクライアントの中ではまだ「無視」と「恋愛」が心の中で結びついていません。
ただ話を聞いていくとその男の子とクライアントは小学校が同じだったこともありよく話をすることがわかる。
たいていはそうやって話を聞いていくと友人は男の子とクライアントの仲に嫉妬していたり、変な勘繰りをしていたりする可能性があるのではないかと気づいてくる。
そうやって「整理」しつつそれとなく友人関係をクライアントにもよく見てもらうようにすると四人のうちの一人が、やはり無視していた子がクライアントと距離をとるよう残りの3人に影響力を使っていたことを教えてくれる。
ここでカウンセラーは「こうすべき」と決めつけはしません。
あくまでその子の意思を尊重するからです。
ただ「選択」の必要はあります。
大雑把にわけると、
1、もうこのグループは信用できないので距離を置き、同じ部活の子やちょっと仲のいい小グループのほうと仲良くする。
2、やはり誤解はときたいので無視している子と話し合いたい。どうするかはその後に決める。
3、とにかく仲直りしたい。
こんな感じでしょうか。
ここに正解はありません。
どれもが不確定ですし、問題もはらんでいます。
例えば1を選択する子は意外と多い印象ですが、ほかの子やグループと仲良くできる保証はありません。
2は実際に話し合いをする前に成功率の高い話し方(Iメッセージの手法など)を教示はしますが、誤解が解けるかどうかはクライアント以外の子の人格や性格などが大きく影響します。
3は当然ながら相手次第という部分がより強くなります。またほかの選択肢を選べない場合はクライアントのこの集団へのなんらかの依存心が問題となる可能性もあります。
ただどれを選択するにしてもトライ&エラーで試すしかありません。もちろん事前準備は念入りにしますが。
「試せる」
すくなくともクライアントをこのような心理状態にまでは持っていくことになります。
不登校状態の場合、「もう無理」ないしは「混乱状態」(なんでこんなことに、というような心理状態がぐるぐる回るような状態)なので、当然ながら心の力が弱いか整っていないので試しても失敗率が高くなります。
これはスポーツなどでも精神状態が不安定だと失敗する確率が高くなるのと同様です。
このようなケースは比較的シンプルですが、問題を整理して、対処法をさがし(通常は複数)、心の状態を安定化させるのです。
なにか行動を起こす前に「心を整理」したほうがよいのは自明のことでしょう。
とはいえ本人はこういった心理過程も通常は意識しません。
なんとなく自然とこうなった。
こんな感覚のようです。
常にクライアントの心に寄り添って、クライアント自身が選択し、行動できるような心理状態へ徐々に整理していったからです。
いわゆるアドバイスとは違うのです。
単純なアドバイスは多くが選択を本人ではなくアドバイスした人がして本人は追認しただけだったりします。
なので失敗したときにその責任を他人(アドバイスした人)に押し付けがちになるのです。
本人の心はなにも変わっていない。
ここが一番の問題ともいえるでしょうか。
文章ではなかなかうまく表現できませんが、心理カウンセリングがうまくいったときクライアントの方本人は「なぜか良い結果になった」というような感覚になるものなのです。