心理療法にはさまざまなスタイルがあります!
今はどちらかというと一つだけに絞らずに複数の療法を併用していく折衷スタイルが多いでしょう。
僕自身も来談者中心療法(クライアント中心療法)をベースに、認知行動療法や描画法、自己暗示法、箱庭療法など必要に応じて併用しています。
まずは認知行動療法での改善パターンですが、認知行動療法はもともと認知療法と行動療法という別々の療法が組み合わさった経緯があるものなので、まずは行動療法からお話したいと思います。
(できるだけ噛み砕いてわかりやすさを優先しますので、専門性や正確性には少しズレがでるかもしれません。ご了承ください)
行動療法は、ごくごく簡単単純に説明するならば「クライアントの行動をまず修正することで心理面に影響を与えて改善していく手法」といえばいいでしょうか。
この「行動→心理」という順序がミソで、それ以前の精神分析や来談者中心療法は「心→考えや行動」という流れで改善していくのが主だったので、認知療法と同様にある意味で画期的な療法だったと思います。
行動療法にはいくつかの手法がありますが、すぐにイメージされるのは「暴露療法」でしょうか。
これはパニック障害や強迫神経症などでよく使われるものです。
例えば、広場恐怖などのように人ごみの中にいると呼吸が苦しくなったり、体が硬直したり、四肢に震えやしびれを感じたりして立っていることもできないという症状がある場合、あえてそのような場面・状況に立つというものです。(もちろん付き添い人などはいます)
洗浄強迫の場合(手の汚れが気になって、汚れていないのにひたすら皮膚がぼろぼろになっても手を洗い続けるなどの場合)などは、あえて手を汚してそのままの状態にするものです。
と聞くと、大抵の人はギョッとします!
それは当然だと思います。
自分が一番苦しい状況・場面をあえて再体験するわけですから。
最初にまずクライアントの方の心には、大きな拒絶反応が起きます。
これが最初の壁です。
これを乗り越えるには、カウンセラー側からはいかにラポール(信頼関係)を強度に築くかという課題があり、クライアント側には「どんなに困難で辛くとも、いま頑張れば中・長期的には楽になれる」という覚悟や開き直りが必要になります。
簡単に、というよりも簡単なように、乗り越えられる方もいます。
しかし、そうではない方もいます。
ラポールはしっかりと形成されているのに、この最初の壁が乗り越えられない場合によくあるのが、「辛いことはしたくない、嫌なことはしたくない、とにかく治してよ」というカウンセラー側に問題を丸投げしてしまうクライアントの心性があります。
この「受け身」の部分は、他の療法でも問題になってきます。
その場合は、僕は無理はしません。
さらにカウンセリングを重ねて、その心性の部分に「それとなく」焦点を合わせていきます。
そして、もしもどうしても必要な場合には、そのことを段階的に伝えていきます。
その理由の一つには、カウンセリング(とくに来談者中心療法)を重ねることで心理変化が起きたり、心の力自体がパワーアップしたりして問題に向き合えるようになることもあること、またいきなり「コレをしなきゃ良くなりませんよ」というようなアプローチをするとクライアントによっては「自分はダメな人」と感じてしまい自己否定感が強くなり逆効果になることなどがあるからです。
とごく一例を軽く挙げても、カウンセラーはクライアントの方の心の状態をさまざまに、将来の心理変化の可能性についてもいろいろと配慮しているものです。
イメージ的には蜘蛛が巣をはるように、何が今の、また将来のクライアントの方のためになるのか、可能性や配慮をはりめぐらせている感覚です。
ただこういう点についても、一般的にはあまり知られていないように感じることがあります。
すぐに結果が出ないとあきらめたり、そのカウンセリングを見限ってしまうことを耳にするからです。
カウンセリングは基本、段階的なものです。
その段階に応じて、カウンセリング自体が変化するダイナミズムもあると思います。
どの療法であれ、「簡単にあきらめない」ことも重要かと思います。
少しお話を戻します!(話が脱線するのは僕の文才のなさです。ご勘弁を!)
暴露療法はごく簡単に表現するならば「慣れ」でしょうか。
そう表現すると「なんだ~」ということになりそうですが、これはきわめて強力なものでもあります。
そして、この体験は多かれ少なかれ多くの人が体験しているでしょう。
スポーツや音楽などさまざまな分野での改善・強化学習に発揮されています。
例えば僕は子供の頃、剣道をすこしだけやっていましたが、最初は竹刀を10回、20回振るだけでも大変で、翌日は筋肉痛になったものですが、毎日のように振り続けているとそのうちにある段階で100回、200回という単位で振っても大丈夫なようになります。
「それまでできなかったことが、当然のようにできるようになる」
人間の学習能力の偉大さです!
暴露療法も、その「ある段階」にきた時には「そうか、こだわる必要はないんだ」とか「不安が以前よりは感じない」などと心理変化が起きます。
パニック障害の場合には予期不安が軽減・解消され、洗浄強迫の場合には手の汚れが気にならなくなる、汚れていても大丈夫と思うようになるなどです。
そうなるまでに壁は何度か訪れるかもしれません。
しかし、その段階までくれば飛躍的に楽になるだろうと思います!(治癒・完治でなくとも)
形だけみれば、単純で、機械的に思えても、階段に踊り場があるように楽になる段階があるものです。
せめてそこまでは耐えることも心理療法には必要と思います。(上から目線ではありません。営業的なものは”お客様”ということで耳障りの良いことしか書かないとは思いますが、あくまで「心理療法での改善」に必要なものは何かという視点で純粋にお話しています!のでご了承くださればと思います。)