☀ 「依存行為」をし続けたままカウンセリングをした場合、どうなるか?
結論から言えば、僕の知識と経験からはかなりの高確率で、失敗に終わります。
では、なぜ失敗するのでしょうか?
理由の一つに、依存行為を続けたままの依存の方の心理状態は「うわの空状態になっている」からというのが挙げられるように思います。
どういうことかと言いますと、依存の方は脳自体が「依存脳」といってよい状態になっています。通常の状態ではありません。
依存行為中はもちろんドーパミンが異常放出されるような異常な興奮状態でしょうが、問題はそれ以外の時も通常とは違う状態になっている可能性が高いのです。
それは常に脳が快楽物質であるドーパミンを異常に欲しがる状態にあるということです。
だから依存の方は自分の意思に反して依存行為を中断させられたり、少しでも依存行為ができなくなるとイライラしやすくなり、発狂したかのようにわめきちらしたり攻撃的になったりするのです。
つまり、普段の状態から「依存行為」のことしか頭にない。
ギャンブル依存なら、仕事中も、趣味や家族旅行の時も、常に頭の中はギャンブルのことばかり。
症状が進行すると、そのうちに仕事をサボってギャンブルをするようになったり、趣味や家族との関りも避けるようになります。
そんな時間があったら、ギャンブルをしていたいのです。
しかしその時間は、本来は人生の重要事項のはずですが、そんなことよりもギャンブルの興奮のほうが大事になるのです。
それほどにドーパミンというのは人間に快楽を感じさせるものなのでしょう。
そして、だからこそ依存の方は人生をうわの空で生きるようになり、トラブルが増えて、教科書通りに転落していくのです。
うわの空では、仕事でも勉強でも自分の能力を発揮できませんし、大事な人間関係も壊れるので、「人生の失敗」へと突き進むのです。
当然、このような心理状態では心理カウンセリングも効果を発揮しません。
カウンセリングをしながらも、考えていることは「早くカウンセリングが終わらないかな。今日はイベントだから、今から急げばまだいい台をハイエナできるぞ」とか「明日のレースは〇〇だから〇〇して」とかそんなことばかり考えていたりします。
効果が出るわけありません。
でも、一週間ほど(これは比較的軽度の場合です)依存行為を禁止するとまずその方の雰囲気が変わります。
ああ、この方はこういう人なんだな
とか、
コミュニケーションがちゃんととれている
という感覚をカウンセラー(クライアントの方の家族も)が持てるようになり、その方と関わっている感覚が持てます。
それが、依存行為を続けたままの状態ではどうかというと「なんかふわふわした状態」とか「元気があるんだけど、どこか空元気のよう」といった感覚をもつことがあります。
これは微妙なのですが、人の心を読み取る(正確には「汲み取る」)経験を積んで、かつ依存についての知識があれば気づくようになります。
ですから、依存の改善の場合、まずはクライアントの方に依存行為を100%やめてもらい、うわの空状態から脱却していただく必要があるのです。
それができない場合は、うわの空状態でのカウンセリングになり失敗してしまうのです。
水は低きに流れるもの
「都合の悪い部分、自分自身の弱い部分に向き合う」なんていう困難なことをするより、「ドーパミンに支配されて快楽状態にいるほうがいい」という自分に都合の良い心理状態になりやすいのは容易に想像できるでしょう。
それだけに真摯に心理カウンセリングを受けられる方はすでに精神的に強いともいえるのです。
原則に反して、というのはアートやスポーツの世界では魅力的ですが、心理療法では効果を発揮しないことが多く、さらにはカウンセリング自体の失敗につながるものだと考えています。
ですので、「依存の改善」のための原則の第一歩は、「依存行為を100%やめること」で、この原則を守ることはきわめて重要なのです。