☀ 「肉体か、それとも精神か」というのは心理療法でも大きなテーマかと思います。
心理カウンセラーはどうしてもあらゆるものを「心の問題」としたがる傾向があると感じます。
それはちょうど外科医が患者の病気を治すのに身体を切りたがるのに似ています。
自分の興味があること、得意なことを優先的に考えるのは至極当然のことです。
しかし、大事なのはバランスです。
そのバランスの判断基準になるのはあくまでも「クライアントにとって何が最善か」です。
同じ結果ならクライアントにとってより負担の少ない方を選択すべきですし、効果がないか低い効果しか得られないならば自分が得意ではないほうの選択も必要でしょう。
たとえば心理カウンセラーの中には投薬治療を全否定する人もいるようですが、これは間違いだと思います。
たしかに中には質の悪い医者もいて患者を薬漬けにするような悪質な人もいるようです。
全否定する人はこういった医者に関わったケースかもしれません。
でも、僕が知るケースでは最小限の投薬で改善したケースもありますし、きちんと依存性などの副作用も計算して投薬治療がなされているケース、精神科医でも投薬に頼り過ぎない治療をしている人もいます。
そして、一方で心理カウンセラーの中には自分勝手に病気を作って(病名まで開発して)長期にわたってクライアントからカウンセラー代をむしりとるような人もいます。
ようは立派な人もいれば、悪質な人もいるという当然の理なのですが。
とくに初期症状の心の問題のケースでは数回の投薬で改善したケースもあります。プラシーボ効果かもしれませんが、それでも改善は改善です。
もしかしたら対症療法にすぎないのかもしれませんし、数年後に根本治療が必要になるかもしれませんが、クライアントの状況によっては現在の苦しみが改善されるならばそれも意味があると思います。
なので、僕は投薬治療は意味があると思っています。
こちらはどちらかといえば問題を肉体的に捉えているといってよいでしょう。
しかし、一方で単純に心の問題をすべて肉体的にだけ捉えるのもどうかと思います。
脳科学、医学、検査機器の発達によりこれまで心の問題、ひいては性格の問題とされてきたものが肉体的な病気であるとされてきています。
仮説の段階のものもありますが代表的なのはうつ病やパニック障害、依存性の障害、境界性パーソナリティ障害などです。
これらは脳の機能上に問題があることがわかってきています。
SSRIなどの副作用が従来よりは少なくて効果の高い薬も出てきています。
しかし、何らかの理由で薬の服用ができない場合や再発を繰り返してしまっているケースもあります。
こういう場合には心理療法でのアプローチが必要になることがあります。
うつ病やパニック障害になりやすい精神状態、考え方、世界観や人生観などに変化を与えることで、「病気になりやすい精神的な場所」から離れる。そうすることで「精神を安定」→「脳(肉体)の状態も安定」ということを図るのです。
もちろん簡単ではありません。
僕は心理療法のなかでも来談者中心療法にいちばんの信頼をおいていますが、これらの問題には認知行動療法など他の療法も必要です。
クライアントによっては瞑想法を併用することで効果を発揮することもあります。
「肉体→精神」の順序で変化をもたらすのか、「精神→肉体」の順序なのかは結局はクライアントの方の状況によります。
これは心理療法でいえばちょうど前者が認知行動療法(とくに行動療法)、後者が来談者中心療法にあたります。
僕は、どちらも大事なものと考えます。
うまくいった時の改善過程は実際はこんなに単純ではなくていわば相互作用で双方からのフィードバックがあるものですが。