うみねこ小冊子「我らの告白」感想 | うみねこのなく頃に 回答用ブログ

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07th-expansionのノベルゲーム「うみねこのなく頃に」の考察を書いていくブログ。真相なんてものではありませんが、一つの解として成立するようにしています。全ページネタばれ満載なのでご注意ください。もちろん私のネタばれや回答が正しいという保証はありませんが。

久しぶりに更新。
我らの告白を(大分前ですが)読みました。

とりあえず、作者の想定していた銃器の性能(銃声の大きさ)、
共犯者の動機、メタ世界への言及があっただけで充分です。

いくつかの点で、
作者意図の理解が正しかったことや曖昧だったことの裏書きができました。

以下、本編です。







ポイントとして気になったところは下記の通り

1)銃器の性能について
作中で設定されている銃声が意外に小さいことが確かめられました。

考察中、銃声がしたであろう場面では登場人物の移動があったりして、
おそらくこれは銃声を意識しての場面描写であろうなー、
などと考えていましたが、
現実では、銃の音声はかなり大きいと聞く(短時間ではあるが、ジェット機の離陸音に近い)ので、
果たして、凶器は銃としてよいものかどうか、一抹の迷いはありました。
登場人物の中に銃を撃ったことのある人間が妙に多いし、
耳に届けば雨音にまぎれたとしても、銃声だと気づいてしまうのではないかな、と。

また、作中の場面によっては、少人数の犯行側が多人数を殺害しているシーンなどもあり、
登場人物がどの程度、銃器を扱えることを想定しておくべきか、
これも、迷いが残るシーンもありましたが、
小冊子中、シャノンが銃器で大量殺人をしているシーンがはっきりと書かれ、
銃器の利用で人数差を覆せることが想定されていることが分かりました。

まあしかし、うみねこでは手段Xでの主張すら認められているので
なんらかの、大音量を発しない、杭での偽装が可能な凶器として、
サイレンサー付き拳銃、あるいはクロスボウを凶器として想定していました。

おそらく、作中の情報ではそこまでの特定しかできなかったはず。


2)共犯者の動機について
熊沢、郷田のこの計画の関与については、一連の殺人が実際の殺人ではなく、
狂言だと思っていた、という内容のことが書かれていました。

あるいはそうかもと思っていましたが、
それはそれでいくつか気になる部分がありのです。

例えばEP2の最後、シャノン、郷田、譲治の三人の死体が密室で発見された件。
郷田が完全な共犯なら、
シャノン+郷田で譲治を殺害、その後、シャノンの裏切りによって郷田を殺害、と、
2VS1、1(裏切りvs1)と、殺害手順は想像しやすい。

ただ、郷田が狂言のつもりだったとすると、
実質、シャノン1VS郷田、譲治、と、犯行の難度があがってしまう。
譲治が殺された時点で、気づきますからね、いくらなんでも。

それでもハウダニットは一つ以上成立すると思うし、
何とかなる範疇だったと思います。
ここで成立する筋書きを、例えば一つ考えるとこうなるでしょうか。

1.郷田と同室している状態で、譲治を呼び出した後、譲治が到着する前に郷田を殺してしまう。
2.到着した譲治を殺す。
  (おそらくこのときに、自分が主犯であることと、
   自分の出生の秘密について譲治に告白し、望む回答が得られなかったので、
   殺してしまっている)

あれ、できなくもない・・というか、おそらくそういう絵か。
それでも1vs1を二回やることになり、
ミステリー小説としてはともかく、犯行計画書としてはやや不安な仕上がりかもです。
んー。ヤスの魔術的にはこれで良いのか。
やはり、犯行計画書ではなく、実行は想定されていなかったのであろう、と伺わせます。

他、EP3の冒頭でワルギリアがベアトリーチェを諌めて、反対に殺されてしまうシーン。
これが幻想なら、
熊沢がシャノンに計画の中止を訴え、逆にシャノンに殺されてしまったことの
描写である可能性を考えていましたが、そういう訳でもないのかな?

EP3はヤス作ではなく十八作なので、熊沢の完全共犯として理解していた可能性と、
より美しいのは、
狂言殺人のつもりだった熊沢が、
なんらかの原因でそれが本当の殺人であるということに気づいてしまい、
それを問いつめ、計画の停止を訴えたところ、
その場で殺されてしまった、という筋書きでしょうか。

*といっても、検死役の南條は、狂言でないことを事前に知っておらねばならず、
さらに、源次にいたっては、すべてを知った上で、
同僚や部下の殺人を容認しなければなりません。

ヤス自身の動機は恋愛感情による狂気としても、
ちょいと、彼らの動機は、公開されている情報からだと、
イマイチ、納得しにくい部分はあるんだよなぁ・・。
とはいえ、南條には孫の治療費、源次は忠誠と言った形で動機の説明が与えられているのはさすがです。

こうしてみると、ハウダニット上、
私が可能性が高いと考えていた全員共犯説(でないと無理かと思っていた)よりも、
郷田、熊沢については狂言殺人だと信じていた、という説のほうが、妥当性が高そうです。
作者の公開説なので当然ですが・・。んー、ちょっと残念。もう少し考察を進めていれば。

(追記)
さらに検証してみたのですが、単なる狂言では成立しにくい、という
私の最初の検討もある程度正しく、例えば、
郷田はEP2の最初の腹腔にお菓子を詰め込まれた状態の現場を観た後も共犯を続けています。
この場合、狂言だと思っていた、として判断するのは苦しいですね。
EP4など、問題なく成立するEPもあるのですが。
EP別でこの検証をやらなかったので、狂言と思い込んでいた、としても
成立するEPを見落としたようです。

ルールZ、壁の配置が変わる迷路、ということで、
EPによっては狂言殺人だと思い込んでいる、
というのが妥当なのかも知れません。


3)メタ(上位)世界について
執筆者ベアトリーチェから上位世界への言及がありました。
執筆時に上位世界の描写が意識されていた模様。

私は、上位世界については、偽書の読者”縁寿“の想像の世界としてとらえ、
偽書には、上位世界は少なくとも明示的には描かれていなかったとして考えていました
(でないと、あのテキストがある程度の事実性があるものとして
一般に読まれていたことの説明がつきにくい)。

なによりも、どのボトルメールが漂着し、どの順番で人の手に渡るのか、
さらには、どんな偽書が誕生したのか、というのは、
作者ヤスのコントロール外ですから、
上位世界でのお話が、EP1,2から時系列として繋がっている以上、
元々のボトルメール自体に、上位世界の記述があったと考えるとつじつまが合わないのです。

ここでの“ベアトリーチェ”が誰のコマであるかは不明、
また、このシーンの観測者が誰であるかは不明なことから、
このシーンは“うみねこの現実世界”としては捉えることは出来ません。

ここでの“ベアトリーチェ”はヤスが作り出したイメージではなく、
竜騎士07のコマと捉える方が自然でしょう。

したがって、メタ世界の存在を意図していたのは、ヤスではなく竜騎士07であるということだと思います。


以上です。
いよいよ、うみねこの全容も明らかになってるなー、というのが感想でした。