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「先にエレベーターホールに行ってる!」
聡美はそう言い残すと、俺を置いて風のように店を出て行った。
「マジかよ。なんで…」
「お支払いは?」
「あ、カードで。一括」
「かしこまりました」
するとまたドアが開いて、聡美が戻って来た。
ガバッ!
「わっ?何⁇」
びっくりした。いきなり抱きつくなよ!公衆の面前で…っ//
聡美はパッと顔を上げた。
「准…」
「さ、聡美?」
あぁ…柔らかな聡美の感触とセクシーな香り。
人前で堂々と抱きしめ返すのもためらわれて、俺はそっと腰に手を添えるだけにした。
「…ど、どうしたの?」
「忘れ物」
「え?何を…」
テーブルの方を降り向こうとすると、聡美は両手で俺の顔を挟んでグイッと聡美の方を向かせた。
近い近い!顔が近すぎる!///
聡美に顔を固定されてるから首は回せないけど、俺は目だけ泳がせて周りを見る。
なんか、好奇の目に晒されてる気がする…。
聡美はふっ…と妖艶に笑い、俺の目をじっと見つめた。
あぁ…やばい。なんか、ニヤける。
「ごちそうさま。准。とっっても…美味しかったわ」
「…もしかして、それを言いに戻って来たの?」
「…ええ。それと…」
聡美は俺の唇に視線を移すと、顔を斜めにして目を閉じた。
え?ウソだろ?
まさか…
あっ!来る!
ちゅっ…
……ぅう
……っ…
うわっぷ!待て待て!長い長い!///聡美ぃ〜!
聡美は唇を離すとレジの店員に向かって微笑んだ。
「ごちそうさま」
「あ、いえ、こちらこそごちそうさま…あ!いえ、じゃなくてありがとうございました」
店員は真っ赤な顔をしている。いや、恥ずかしいの俺の方だから!
「ほんとにおいしかったわ。おかげで最高のデートになりそう。じゃ」
それからくるっと俺に向き直ると俺の腕を取った。
「行くわよ!准!」
「あ、ちょ!あ、すみません!ごちそうさまでした」
顔、あっつうー!
まったくこれのどこが最高のデートだ!