嫉妬は愛の…2 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

2


「ちょっと…誰よ?」


聡美が眉を顰める。


「え?いや、マスターだろ」


「それはわかってるわよ。女の方」


「あ、そっち?」


なかなか色っぽい大人の女性だ。


「彼女じゃないの?」


サラッと言うと、聡美がじとっと俺を睨む。


「なに?」


「…別に」


聡美はちょっと膨れっ面をして頬杖をついた。出口に向かって歩くふたりを目で追っている。


「こらこら、あんま見ない」


と苦笑して聡美を嗜める。


「あ!ちょっと待って。支払いしてるの、女の方よ!」


「へーぇ」


「どういう状況かしら」


「マスターの誕生日とか」


「今日じゃないわ」


「即答かよ。ってか、マスターの誕生日知ってんの?」


「7月24日」


「聞いてねーし」


俺はそっぽを向いた。なんかムカつくな。


聡美はまだ二人を目で追いながら、


「デートじゃなくて、仕事かも」


と呟いた。


「フッ。どんな仕事相手と個室でフルコース?」


「女社長」


俺は腕を組んで頷いた。


「なるほど」


「マスターの腕を見込んで引き抜きとか?どっかのバーとかレストランとか…あ!このホテルの社長だったりして。うちのバーで働きませんか?みたいな」


「フッ。想像力たくましいな」


「出て行くわ」


俺も後ろを振り返った。昌さんはスマートに女性をエスコートしている。


「デートだろ、やっぱ」


「わからないわよ」



はいはい。わかった。聡美はデートにしたくねーんだな。



「あのね、聡美…」


俺は肘をついて顔の前で手を組み、聡美をじっと見た。


「デートかそうじゃないかは、簡単にわかる」


「どうやって?」


「この後、エレベーターで上に行けば…」


と天井を指差す。


「デートだ」


「つまり?」


「部屋を取ってる」


「なるほど」


聡美はちょっと思案顔をすると、


「じゃ、確かめましょう」


と、席を立った。


「は?」


「はやく!見失っちゃう」


「え?追っかけるつもりかよ」


「いいから、早く!」