嫉妬は愛の…4 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

4


「やっぱり上に行ってる」


聡美はエレベーターホールの階数表示を睨みながら呟いた。


「二人がこのエレベーターに乗るとこ見たの?」


「ええ。この上は全部客室?」


「ああ。あ、最上階はバーだけど」


「じゃあ、バーに向かってるかも」


俺は片手をポケットに入れて、もう片方の手で顎を撫でた。


「どっちにしろ、デートだね」


「待って。7階で止まった」


「じゃ、ベッドインだ」


「チェックインでしょ?」


「それは食事の前にフロントで済ませてる」


「見たの?」


「見るわけないだろ」


「じゃ、不確かなこと言わないで」


「自分は散々言ってるくせに」


「あ、また動いたわ」


「7階で他の人と入れ替わったのかな」


「二人が7階で降りたんじゃなくて、他の人が乗ってきたのかも」


「ああ、そうだね。それは確かだ」


「嫌味な人ね」



しばらく見ていると、最上階でエレベーターは止まった。


「やっぱりバーよ」


「どうかな」


「賭ける?あたしは、バー」


「じゃあ俺は7階でベッドイン」


「行きましょう」


別のエレベーターが来て、聡美は素早くそれに乗り込んだ。


「ちょっと待って。やっぱやめよう。探偵じゃあるまいし、こんな…」


「いいから、いらっしゃい!」


聡美に腕を取られ、エレベーターに引っ張り込まれた。


ガラス張りのエレベーターには俺たちの他に誰も乗っていなかった。


聡美は黙って腕を組み、勝気な瞳を光らせている。


「趣味が悪いよ、聡美。他人のプライベートを」


「他人じゃないわ」


ドキッ…。


「あの人、あたしの異父兄なのよ?変な女に引っかかってたりしたらいけないじゃない」


「ほんとにそれだけかなぁ…」


なんで、今夜、こんなことになってるんだろう。


俺は聡美と並んでガラスの壁にもたれ、ため息をついた。ジャケットの胸に片手をあて、それからその手でネクタイを緩める。


「聡美…」


聡美の腰に腕を回して抱き寄せる。


「さっき…レストランに戻って来てくれたの、嬉しかったよ…」


聡美が振り向いて俺を見つめる。


「ごめんなさいね。ごちそうさまも言わないで出てったりして…」


それだけ、マスターのことが気になってたってことだよな…。


女性をエスコートしてるマスターは確かに男の俺から見てもセクシーでかっこよかったけど…


でも、だからって、俺とのデートの最中にマスターを尾行するのは、ちょっとデリカシーに欠けるだろ。


俺は聡美を見つめ返した。


俺、聡美の嫉妬に気づかないほど鈍感な男だと思われてんのかなぁ。


いったい俺って…


「准…」


「ん?」


「…可愛い人」


聡美が俺の胸に手を当てて、顔を近づけてくる。


「…聡美」