スイートルーム争奪戦 最終話 条件コンビ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


※本日2話目の更新です。




34 条件部屋にて


から、どうぞ。










やばい!もうすぐチャイム鳴る!



俺は立ち上がって、テキストやノートをバタバタと準備した。


すると、条もスッと銀のチョークホルダーをジャケットの内ポケットに挿してドアに向かった。



「あれ?条、数学の講習は昨日で終わりだろ?」



「ああ。講習は終わり。今日は補習」



「マジで?働くねー条センセ」



「ほんとは昨日で仕事納めだったんだけどさぁ、どうしてもひとり出来の悪いのがいるからさぁ



「面倒見てやるんだ。なんだかんだ言って優しいなぁ条くんは」



って宝が微笑んだ。



「ほっといて年越せないでしょ」



「数学はわからないとひとりでやるのは難しいからねぇ」



と、宝が腕を組む。



「そうだよな。古典なんかさ、今時ググれば訳も品詞分解もみんな出てくるんだからさ、俺いらないじゃんって思うんだけど



「毎回、古典の講習満員御礼だよね?やっぱみんなGoogle先生より健ちゃん先生がいいんだよねぇ」



「どこがいいんだか」



「おいっ!」



すると、チャイムが鳴った。



「やばい!鳴った!」


「お先」


「待てよ条!」



廊下を走って条に追いつく。


肩を並べて足早に教室に向かいながら、俺は条に話しかけた。



「ってことは、お前も今日が仕事納めだな」



「ああ」



「じゃ、今晩宝と三人で忘年会しようぜ」



「また?」



「三人だけでやってないじゃん。だって」



「どこで?」



「いつものバー」



「余興と景品は?」



「は?三人だけでやるんだぞ?」



「忘年会っていやぁ、余興と景品だろぉ」



「え?ないよそんなの。考えてない」



「じゃ、行かない」



「え?なんで?」



「面白くねーじゃん」



「わかったよ。じゃあ考える。あ!俺陳さんやるよ。それ余興」



「やっぱ行かない」



「なんで⁇」



「面白くねーもん」



「なんだよ。じゃ、何がいい?」



「健と宝のキス」



「面白いのそれ⁇」



「面白い面白い」



「わかった。じゃ、余興はそれで、景品はぁ俺からのキス



って、条の頬にいきなりチュッてキスしたら、条がビックリしてバタバタッて小動物みたいなリアクションをした。



「お前!景品とかって今やってんじゃねーか!」



って頬を押さえて俺を睨む。



「あ。ほんとだ。もうあげちゃった。大丈夫、大丈夫」



俺は条の肩にポンと手を置いて、耳に唇を寄せて囁いた。



夜はさ、マウストゥーマウスにグレードアップするから」



すると、条はくすぐったそうに肩をすくめて手で俺を追い払った。



「ぜっっったい行かない!行かない行かない!」



条は全力で拒否しつつ、顔はめちゃくちゃ楽しそうに笑っていた。



条のそういうとこ。


やっぱ俺、条に愛されてんなぁ。



ゲットできると嬉しいものスイートルームにも勝る、条の笑顔。



なぁんてね。



さあ、今年最後のひと仕事、行ってくるか。




fin.