あぶない年越し 1 仕事納め | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


私がお風呂から上がってくると、条くんはベッドにもたれ、膝を抱えてカーペットに座っていた。


チェックのブランケットを肩まで引っ張り上げて、ベッドとローテーブルの間で小さくなって、居眠りをしている。



私は近づいて、条くんの隣に座ると、



「条くんお疲れ様」



ってチュッと頬っぺたにキスをした。



ん?」



条くんが顔をしかめて、薄目を開ける。



「お風呂空いたよ?」



ああ



条くんは寝ぼけ眼で立ち上がると、私にブランケットをパサっと被せて浴室に向かった。




今日はお互いに仕事納めの日で、私は明日から沖縄に帰る予定だった。


本当は、条くんと一緒に帰りたかったんだけど




***




先月、条くんに年末年始どうするか聞いたら、



「ああごめん。桃が帰って来るんだ」



って言われた。



大学一年生の桃ちゃんは、条くんが愛した千帆さんの忘れ形見。条くんにとっては娘みたいなもので



桃ちゃんにとっても、DVで母親や自分を苦しめた実父より、条くんの方がお父さんらしくてきっと頼りにしていると思う。桃ちゃんには、頼れる大人は条くんしかいなくなっちゃったわけだし



と思ったら、もちろん何も言えなかった。



「桜はいつまで沖縄にいるの?」



条くんしだい」



「え?」



「あえっと、多分三ヶ日は引き止められると思う」



「ふふ。お前、愛されてるもんな」



優しく笑う条くん。



条くんはどうなの?



条くんが早く帰って来いって言うなら、早く帰って来るけど



「も桃ちゃんは、どれくらいいるのかな



「さあ。ゆっくりしたいって言ってたけど友達んとこもそうそう長居できないんじゃないかなぁ」



「友達のところに泊まるの?」



「って言ってた」



「そう」



ちょっとホッとする。



別に条くんのマンションに泊まったって、親子みたいなもんだし、何かあるわけじゃないけど



でも



何?」



条くんが私の顔を覗き込む。



「え?」



「寂しい?」



「えっ⁇///



しばらく会えなくなるからってこと?いや、そっちじゃなくて


寂しいよりなんかモヤモヤする


当たり前のように桃が帰って来るって言う条くん。きっと千帆さんのこと思い出すだろうし…。




「帰って来たら連絡して?ずっと桃の相手するつもりないし」




条くんはそう言うと、私を見つめた。それから顔を斜めにしてチュッと唇にキスすると、



「デートしよう」



って甘く微笑んだ。