スイートルーム争奪戦 31 井ノ原と女 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?



「すみません。ダメでしたか?」



「いや、ラムちゃんがいいならいいけどって、え?何?もう勝敗決まっちゃってる感じ?俺はどうすりゃいいの?」



「あ、井ノ原校長、まだ口説いてなかったっけ?」



「口説いてないよ!お前ら年功序列とか言っときながら、勝手にどんどん順番抜かししてさー。坂本くんも宝も健も帰って来ねーし、どうなってんのかと思って見に来たら、お前なに抜け駆けしてんだよ?ふざけんじゃねーよっ」



俺が怒ってるのに、条は腕組んでニヤニヤ笑ってるだけだし。まあ、本気で怒ってるわけじゃないけど?



すると、ラムちゃんが、


「あ、井ノ原さん、最後ですネ。はい、行きましょう」



って俺の腕を取った。


その事務的な態度に条がウケる。




「頑張って口説いて来いよ!」



「ふざけんなっ」



ラムちゃんに引っ張られる感じで、その場を離れた。



「で?どうする?ラムちゃん」



「井ノ原さんがどんなふうに口説くか見てみたいです」



「悪趣味だね。もう抱かれたい男は条に決まってんだろ?」



「うーん」



ラムちゃんが首を捻る。



「まだわかりません」



「ほんとに?でもキスしてたじゃん」



「井ノ原さんともしたくなるかもしれません」



ある意味プロだな。6人全員に口説かれるのが仕事だから、最後までちゃんとその仕事を全うしようとしてるのかな。



「条くん、セクシーだと思います。でも、抱かれたい人は絶対優しい人じゃないとイヤです」



「あ!じゃあ、条だよ!あいつの優しさ宇宙レベルだから」



「ほんとですか?井ノ原さんも優しそうです」



「いや、俺のは地殻レベル」



「地獄⁇」



「いや、地殻‼︎ 地獄レベルの優しさってどんなだよ!あ、地殻ってわかんないか。地球がお饅頭だとすると、皮だよ。宇宙に比べりゃ薄っぺらいもんですよ」



「はあ。昌さんも、長野さんも、ジェントルマン。とても優しい。健くんは、サービス百点」



「満点ね」



「万点?百点じゃない?」



「まあ、それでもいいや」



「でもみんな女の匂いがします」



「え?」



「女の匂い、プンプンします。心に思ってる人、いますね」



「ああ。そりゃまあだってスイートルームをゲットしようっていうんだから、一緒に泊まる相手があれ?でも坂本くんと長野くんはいないって言ってたけど?」



「でも、好きな人います。私、わかります」



「ふぅ〜ん」



「抱かれたい人、優しくてセクシー。でも、一番大事なのは何ですか?」



「何ですか?って俺に聞かれても。いや、でも一番大事なものっていやあ、そりゃ、愛でしょ!」



「ピンポーン!」



ラムちゃんがパチパチ拍手をする。



「みんな彼女に愛あります。私じゃない」



そりゃ、そうだ。ラムちゃん、これはゲームだよ?



そう言おうとして、言えなかった。


ラムちゃんの横顔があんまり寂しそうだったから。