スイートルーム争奪戦 28 条と女 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


エレベーターのドアが開いて、見ると、条くんが片手をポケットに入れて立っていた。


伏せた目を上げた瞬間、「あ」と言って、それから閉まりかけたドアを素早く手で押さえて、サッとエレベーターに乗り込んだ。



ドアが閉まる。


条くんとふたりきりになった。



私に背を向けて立っていた条くんが、チラッと振り向いて片眉を上げた。



「酔ったんじゃないの?顔赤いよ」



「あ赤いですか」



「強いの?酒」



「強くはないデス」



「あ、そう。じゃ、誰だ?飲ませたの。マスター、長野くん、岡田、健



条くんが指折り数える。



「マスターだな」



美味しいカクテルごちそうになりました」



「ったく、アルコールに頼ってんじゃねーよ」



しばらくして、条くんがまた振り向いて言った。



どうする?」



「はい?」



「バーに戻るか酔ったんならちょっと休憩するって手もある」



休憩?」




チン!



バーのある最上階に着いて、ドアが開いた。


でも、条くんは降りずに体ごとくるっとこっちを向いた。


チラッと振り向いて、ある階のボタンを押すと、またドアが閉まった。



「あの



休憩という日本語には、そういう意味もあることは知っている。


エレベーターが下降し始める。



「私は口説かれる役ですけど?」



つまり、ベッドインするまでの役であって、実際に部屋へ連れ込まれることはない約束だ。



「知ってるよ?」



条くんが一歩近づく。



「君、口説かれる役。俺



と親指で自分の胸をさす。



「口説く役」



条くんがまっすぐ私を見つめる。



ポケットから手を出して、そっと私の頬に触れる。



条くんは、首を傾げ、



「でも俺おしゃべりは、あまり得意じゃないんだ



と私の唇を見つめた。



キスされても、いいと思った。