GUILTY 81 長野と凛子 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


独竜会関西支部のガサ入れをきっかけに大阪の違法な風俗店が摘発され、その顧客たちが児童買春の罪で検挙された。



大阪で三宅が殺そうとしていた二人の男もその中に含まれていた。岡田の狙い通りだった。逮捕後の取調べで児童ポルノ所持等の余罪が明るみに出た。




それから、東京でも、リストに載っていた議員や芸能人などが次々と逮捕された。罪状が、児童ポルノ禁止法違反、あるいは児童買春であったから、マスコミは沸いた。



***



「あのリストはそういう人達のリストだったのね。お金を積んで釈放されたとしても、児童ポルノだの児童買春だのマスコミに実名入りで報道されたら、社会的にはもう終わりね」



凛子がそう言うのを、長野は鴨のローストを口に運びながら聞いた。



「あら、博ちゃん。ソースが



ん?」



長野はオレンジソースが口の端から垂れるのをフォークを持った指でちょっと拭った。



「ああ美味い!」



目を閉じて椅子に背を預ける。



「冬はジビエですね。やっぱり」



「初物だわ」



「日本じゃ11月から狩猟解禁ですからね。この鴨は輸入物だけど、国産の真鴨ってのはね、お凛さんこう肉が



「ねぇ、もしかして博ちゃん、狩りもできるの?猟銃持ってたりして」



「僕が持ってるのは拳銃」



「それで鴨撃っちゃったりして」



「人間なら撃ったことありますけど」



「ほんとに⁇」



「若い頃ね。独竜会の抗争現場に居合わせて。お凛さん、今回はほんとにお疲れ様でした」



「もう一回乾杯する?」



ふたりは赤ワインのグラスを合わせ、澄んだガラスの音を響かせた。



「博ちゃんこそ、東京から大阪の支部まで一網打尽。お手柄ね」



「一網打尽というわけにはいきません。まあ、叩けばいくらでも埃は出るからね、今回は盛大に叩きましたが



「どんな手を使ったのかなぁ。怖い怖い」



「仏の手ですよ」



「ゴッドハンド!見せて」



凛子は差し出された長野の手を取る。



「きれいな手ね。なんの罪も犯してないような



それから手を離して、



「あの子もきれいな子だった



と頬杖をついて遠くを見た。



「あの子って?」



「連続殺人犯よ」



「ああ。ニュースや雑誌にだいぶ出ましたからね」



「なんの罪もない顔をして。私、あの子を一度見てるのよ。チンピラに殴られてるとこ、助けてあげたっていうか



「へーぇ。東京で?」



「うん。あ!そう。ちょうど博ちゃんが私をホテルに閉じ込めた日よ」



「人聞きが悪いな。閉じ込めたなんて」



「じゃあ軟禁?」



「同じですよ。保護と言って下さい」



「あの子、私が見た時は殴られっぱなしでとても人を殺すようには見えなかったけど」



「いかにも人殺しみたいな顔した殺人犯はそういませんよ」



ふぅん。ねぇ?博ちゃん」



「はい」



「食事の後は?どうする?」



「もちろん、送って行きますよ。タクシーで」



凛子は、いつもの調子の長野を見て、はぁ、とため息をついた。



「ねぇ、博ちゃん」



「はい」



「私、今回命の危険を犯してまで博ちゃんに協力したのよね?」



「確かに、結果的に命を狙われることになりましたね。申し訳ないと思ってますよ」



「感謝してる?」



「もちろん、お凛さんあっての今の僕ですから」



いつも通りのやり取り。



「あのね素敵なバーを知ってるんだけど



「はあ」



「行かない?ここが終わったら」



「いいですね。行きましょう。と、言いたいところですが今日はちょっと



「用事?仕事?」



「実は、この後、あまり素敵じゃないバーに行く予定なんです」



「ひとりで?」



「はい。今回、お凛さんのように協力してくれた人が他にもいて、その人にお礼をしに