GUILTY 70 三宅とあいつ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


ホテルの部屋のドアが内側から開いて、三宅が顔を覗かせた。


「岬


「健ちゃん!」


岬は三宅に抱きついた。


ドアがバタンと岬の後ろで閉まった。



三宅は真新しいTシャツに黒のパーカー、ベージュのチノパンという格好だった。


雨に濡れたから、服を買ってシャワーを浴びて着替えたらしい。



「健ちゃんのばかっ!どうして、逃げたりしたの?」



「どうしてって



「相手の人怪我してるって。健ちゃんは?」



「俺は大丈夫」



三宅はベッドに腰掛けた。岬もその隣に座った。



「ねぇいったい何があったの?全部話して」



三宅は森田とのことを岬に話した。



「他には?」



「他?」



「健ちゃん本当のこと言って」



岬は三宅に殺人の容疑がかけられていることを話した。


「健ちゃんのアイスピックが凶器かどうか今調べてるんだって」



「俺のアイスピック?」



三宅は困惑した顔で掌を見つめた。




「健ちゃん?」



三宅は両手で頭を抱えた。



「ねぇ、健ちゃんそんなこと、してないよね?何かの間違いだよね?」




わからない」



「え?」



俺はやってないでもきっとあいつが



「あいつって?」



三宅はすっくと立ち上がり、枕を掴んでベッドに投げつけた。



「ちくしょう!」



「健ちゃん?」



三宅はちくしょうちくしょうと繰り返し枕を乱暴に投げつけた。


悔しそうに泣きながら髪を振り乱す三宅を岬は茫然と見つめていた。


やがて三宅は、枕を離すと肩で息をしながら、岬を振り向いた。


落ちかかった前髪。上気した頬。涙の跡。虚な瞳。


ふいに引きつったように口角が持ち上がった。



「フッ。きっと俺がやったんだ」



「きっとって何?」



「だってわかんねーんだもん」



「わかんないわけないでしょ!人を殺しといてやったかどうかわかんないなんて、そんなわけないじゃない!」



「そんなこと言ったって、わかんねーもんはわかんねーんだよっ‼︎



三宅は頭を抱えてベッドに座った。クシャクシャと髪をかき乱す。



「しっかりしてよ。健ちゃん!落ち着いて!思い出して」




「八木のおっさんには会った。あの人、いきなり店に来て久しぶりとか言って俺は無視したかったのにそれなのにあいつが



「あいつって誰?」



「いつも俺にあれこれ指図するんだ。いつも良くないことを企んでる



「誰なの?それ」



「うぅ。声だけなんだ。あいつは声だけ



健ちゃんに声だけで、色々指図するの?どこから聞こえてくるの?」



「わかんない。頭の中?」



「それで?その声になんて言われたの?」



「八木のおっさんについて行けって。それで、ついてってそれから



「それから?」



三宅は頭をクシャクシャとかきむしった。


「うぅそれからそれから思い出せない



健ちゃん



と、その時岬の携帯が鳴った。見ると、岡田からだった。