「あっこ空いてる」
先生が小声で、空いているブースを指差した。
ブースは机ひとつ分ずつ仕切られている。
え?やっぱ狭いよね?
先生が椅子を引いてくれた。
私が座って過去問を広げている間に、先生はどこかから丸椅子を持って来た。丸椅子なら小さいから横に並べられる。
先生は体を私の方に向けて、脚を広げて丸椅子に座り、机に片肘をついた。
先生は机に向かってる私を真横から見ている。しかも、狭いから先生の左膝は私の椅子のすぐ後ろだし、右膝は私のスカートに触れそうになってる。
先生が椅子の背に左手をかけて、過去問を覗き込む。先生の右手は私の目の前、机の上。
ちょ…ちょっと待って。
これって、ほぼ先生に囲われてる状態…。
勉強…できる⁇この状態で⁈
ム、ムリじゃない⁇
先生がチラッと辺りを見回して、声をひそめた。
「…どこ?」
首を傾げて、私が開いたページに視線を落とす。
もちろん、どの過去問がわからないのかって意味なんだけど、自習室だから辺りを憚って出される低い囁き声が、無駄にセクシー…。
「…ここ?」
過去問の右ページを手でおさえ、片眉を上げて私を見る。
ちょっと待って。ほんとに。
この距離で、先生のウィスパーボイスって…
なんか…先生といけないことしてるみたいで…ドキドキする…。