そこで、条件宝によるアウトデラックス(マツコとのキス)コメンタリー、書いてみました。倒錯してる…(・・;)
1月18日(金)朝
「おはよう」
「キャッ♡おはようございます!」
学校に行くと、なんか生徒たちの俺を見る目がいつもと違うような気がした。
…気のせいか?
「けんちゃん先生、卒業式に恒例のハグって今年もやってくれますよね?」
「別に恒例ってわけじゃないよ。今年やるかどうかはわからない」
「やって〜!」
生徒たちが、俺の着物の袖を引っ張って駄々をこねる。
それを見ていた別の生徒が、
「マツコみたい!」
と笑った。
「マツコ?」
俺は眉をひそめる。
「あ、ハグが恒例じゃないなら、私たちの卒業式はー、ハグじゃなくてキスってどうですか?」
「きゃあっ♡」
「は?キス?何言ってんの。ハードル上がってんじゃん」
「やってやってー♡」
「どうしたの?君たち急にそんな目♡にしちゃってさー」
「先生、昨日見てないの?」
「何を?」
昼休み、条件部屋のパソコンで、宝が昨夜やっていたバラエティ番組の動画を探してくれた。
「あ。これだ。V6の三宅健がマツコデラックスとキスしたんだって。それでみんな盛り上がってるらしいよ」
ソファに寝転がって数学雑誌を読んでいた条が、
「なんで盛り上がんの?」
って言った。
「健くんに似てるからじゃない?」
「そのダイソンのなんとかが?」
「ダイソンじゃねーよ!掃除機だろそれ」
宝がパソコンをソファの前のテーブルに置いた。
「どれどれ」
条が起き上がる。俺たちは宝の左右に座ってパソコンの画面を見た。
「あ。ほんとだ。似てる」
って条がつぶやく。
「そうかなぁ」
って俺は首を撫でさする。
動画はちょうどこれから三宅健がキスしようとしているところだった。
「チャラそうな男だな」
って条が吐き捨てるように言う。
「健にそっくり」
「どういう意味だよ」
俺たちは二人がけのソファに3人くっついて、身を乗り出して真ん中の宝の前のパソコンを見つめる。
「この歳で金髪かよ。禿げるぞ」
「39だって。若いね」
「俺と同い年だ」
「あ!チューした!」
条の素直なリアクションが可愛い。宝はなぜかちょっと耳が赤い。
おでこ、ほっぺた、瞼…。
チュッチュッ…ってリップ音が、しんとした真昼の条件部屋に響き…
おじさん3人でおじさんどうしのキスを固唾を飲んで見ているという。
最後にチュッ!と不意打ちで唇にキスをしたところで、動画は終わっていた。
「宝、顔赤い」
「なんか…汗かいた///」
「なんでだよ?」
「だって健くんに似てるから」
「なんで俺に似てたらお前が照れるんだよ」
「なぁんか生々しいじゃん!だって。チュッチュッってさぁ…」
「いい音してたな」
と、条。
「いや、あれ唇の音じゃないでしょ」
俺はパソコンの画面を指差して言った。