※リボンシリーズ最終章です。主役の条を差し置いて、健ちゃんから始まるという…まだ引きずってる
私の隣に寝転がってる健ちゃんが、片肘をついて手に頭のっけて、眉を上げる。
「……」
健ちゃんの横でうつ伏せになってる私は、ふぅ…と息をついて、健ちゃんを見る。
「もっかいする?」
もっかいする?…って、それ…
「もっかいしようってことだよね?」
「俺は別にどっちでもいいよ」
出た。その突き放した言い方。
「ゆかりがしたいんなら、いくらでもするけど?」
どうする?ってまた聞いた。
うーん…。
「キツいけど…やる…っ」
って言ったら、
「よしっ。じゃ、やろう♡」
ニッコニコの笑顔になったかと思うと、さっと素早く私の唇にチュッて…
あれ?唇じゃない。
ほっぺにキスすると、
「頑張ったら、ちゃんとしてやるよ」
ってニヤリと笑って、起き上がって私の脚を持った。
健ちゃんが私の麻痺した脚を持って、ゆっくり膝の曲げ伸ばしをする。
毎日繰り返されるドSな健ちゃんとのリハビリ。飴と鞭を上手に使って私をその気にさせる健ちゃん。
歩けるようになるのを私と同じくらい、ううん…それ以上に諦めないで一緒に努力してくれる健ちゃん。
リハビリを頑張ったら、今度の休みにドライブに連れてってくれるって約束してくれた。
「お前、好きだな」
俺は健のリハビリの話を聞いて呟いた。
「なにが」
条件部屋で俺たちはいつものように二人がけのソファに並んで座っていた。
「女を虐めるのが」
「虐めてねーだろっ!」
健が笑いながら俺の肩をバシッと叩いた。
「あのねぇ、ニンジンだよニンジン。ほら、馬の前にニンジンぶら下げて走らせるやつ」
机に向かっていた宝が振り向いて、
「キスがニンジンなんだ」
って笑う。
で、新城が馬?
「キスだけじゃないけど」
「やらしいっ!」
「そういう意味じゃなくてっ!…いや、それもあるけど」
「スケベなリハビリだな」
「いいんだよ。ご褒美は色々取り混ぜていかないとさ。ドライブとか美味しいご飯とか」
「「ドライブはご褒美じゃねーだろっ」」
俺と宝が同時に突っ込んだ。