光の粒 19 繋いだ手 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

距離を置いて座っている私たちの真ん中で、私の左手は条くんの右手に捕まっていた。



条くんは、


指を絡めて私の手をギュッと握り締め、


それから


じっと私の手を見つめながら、撫でるように指を動かした。


条くんがゆっくりと視線を上げる。


目が合うと、条くんは、フイと向こうを向いて、窓の外を見た。



素っ気ない態度で、でも、条くんから手を繋いできて…


しかも…まだ握ってくれている。


条くんが目を閉じる。


下になった条くんの手が微かに持ち上がったかと思うと、またシートについた。


ポン、ポン…


と、歌のリズムを取るように繋いだ手を微かに動かす条くん。





だぁいじょうぶ。




ふいに、条くんの声が聞こえたような気がした。


だけど、条くんは向こうを向いたまま、目を閉じて、黙っている。



知らん振りをして…でも条くんは気づいてくれてる。私に何かがあったこと。


そして、慰めようとして、手を繋いでくれている。まるで背中をトントン叩いてなだめるように、繋いだ手をポンポンさせて…。



ああ…条くんだ。


条くんだ。


条くんだ。



条くんは、人の傷みを自分のことのように感じ取れる人。


でも、相手の気持ちを理解することには限界があり、当事者じゃない自分にできることにも限界がある。


そのことをよくわかってる人だから…


いつだって、条くんの優しさは、私を甘えさせるだけじゃなく、私を強くする。


条くんの優しさは、気持ちに寄り添いながらも、でも、俺はお前じゃない、と言う。

だから、どんなことも乗り越えるのは、お前自身なんだと、条くんは教えてくれる。


俺がそばにいるから、見守ってるから…

ずっとそんなスタンスで、私を支えてくれた人…。



そして、きっと今は…そんなふうにして、千帆さんを支えているんだろうな。


条くんがどれだけ深い愛情を千帆さんに注いでいるか…私には、わかる。


だって別れた彼女にすら、こんなに愛を感じさせてくれるんだもん。