光の粒 18 条くんの手 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

条くんは、窓にもたれて向こうを向いたまま黙り込んでしまった。


気がつけば、いつのまにか目を閉じている。


寝ちゃったの…かな…?


条くんの片手はシートの上に乗っていて…少し手を伸ばせば、条くんに触れることができる。



懐かしい条くんの手。

デートのときは、すっと私に差し伸べられた手。

ベッドでは、私を自在に操った手。


そして、修学旅行で、一緒にペンダントの箱のリボンを解いた手…。



シートの上の条くんの小指に、私はそっと自分の小指を触れさせてみた。


条くんは眠っているのか、何の反応も示さない。


ほんの少しだけど、
条くんに触れている。


そう思ったら、胸が詰まって、泣きそうになった。


私は、恐る恐る自分の小指を条くんの薬指に、そして中指へと、滑らせていく。


どうか、目を覚まさないで。



お願い。




そっと、条くんの手の上に自分の手を重ねてみる。


触れるか触れないかというくらい軽く…。



条くん、私ね、久しぶりに思い出しちゃったんだ。あの時のこと。


今まで、思い出さずにいたのは、条くんが気遣ってくれてたからだったんだね。


条くんに守られてたんだね。


そんなことも気づかないで…私は自分が強いと思ってたのかな。


条くん、いつか言ってたよね。私に、全ての解をプラスにする公式教えてって。


あのとき、私がなんて答えたか、覚えてる?


条くんがいるから。

条くんが一緒にいるから、プラスにできるんだって、言ったの、覚えてる?


ほんとに、そうだった。


ほんとに、そうだったんだよ。


ねぇ…条くん。どうしたらいい?


また…あのことを思い出すのが、正直怖いよ。




触れるか触れないかの距離で重ねている手のひらに、条くんの温もりを感じて、胸が熱くなった。



どうか目を覚まさないで。もう少しだけ。


そう願って、目を閉じた。



すると、ふいに条くんの手が動いた。



ビクッとして反射的に目を開ける。



振り向くと、条くんと目が合った。



ドキッ…!


お、起きてた…⁇


私は慌てて手を引っ込めようとした。


でも、その手はすぐに、条くんの手に捕まった。



「……っ…///…⁈」



まっすぐ私を射抜く条くんのキラキラした瞳。


しっかりと私の手を掴む条くんの右手。







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