カミセンの修学旅行引率 17 条件の関係 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

ノースホールでは、件先生のクラスがフルーツバスケットをやっていた。


「けんちゃん先生が大好きな人!」


って輪の真ん中に立っている女の子が言うと、全員が椅子から立ち上がってキャアキャア言いながら、席を奪い合った。見ると、件先生も立ち上がって素早く空いている席に座っている。


「なんで先生まで動いてるんですか?」


生徒に指摘されると、


「え?だって俺自分のこと大好きだもん」


って頭の後ろに手をやって、テヘラッて笑った。


「じゃあ、条先生が大好きな人!」


今度は先生以外のみんなが立ち上がって、座りそびれた子が、


「先生もでしょ!」


って先生の手を引っ張って立たせようとした。


「は?条なんか好きじゃないって」


「とか言っていつも一緒にいるくせに!」


「学生時代からの親友なんでしょ?」


「親友なんかじゃねーよ。ただの腐れ縁」


先生照れてるぅって生徒たちがからかう。


「あのねぇ、君たち誤解してる」


「えー?どういうこと?」


「俺とあいつはそういうんじゃないの」


「じゃ、どういう関係?」

「あ!やっぱ付き合ってる?」


「うるせーっ。付き合ってるわけないだろっ!」


ヒューッて冷やかされて少し顔が赤くなる。


「え?じゃ、嫌いなんですか?条先生のこと」


「…っていうか、好きとか嫌いとかそういうの考えたことない。あいつに関して。好むと好まざるとに関わらず、なんかいつも気がつけばいるからさ、そこに」


一瞬の間があって、また生徒たちがキャーッ♡て騒いだ。


「それはつまり必要十分条件ってことですか?」


「意味がわかんねーよっ!」




それから、先生を立たせようとしていた女の子は諦めて真ん中に立つと、


「じゃあ、今日空港に遅刻した人!」


って言った。


「俺しかいねーじゃねーかっ!」


先生がそう言って立ち上がると、みんなが笑った。


微笑ましくて、見てるだけでも楽しい。あの倒れた女の子も参加したかっただろうな。


その後、私は食堂に設置した本部に戻った。クラスレクが終わった後で宝先生と明日の打ち合わせをする予定だった。


ところが、私が行くと、宝先生がもう来ていた。誰もいないガランとした食堂の長テーブルに座って、頬杖をついて書類をめくっている。


黄色いスタンドの灯りが先生の彫りの深い顔に陰影を作っている。


思わず見惚れて立ち尽くしていると、先生がパッと顔を上げた。


目が合った瞬間、フッと先生の表情が緩んだ。目尻の皺が優しい。


「門地さん」


「あ。先生、すみません!お待たせして」


「見に来てたでしょ?アリーナ」


「あ、はい。先生、クラスはいいんですか?まだクラスレクの時間…」


「うん。もう終わるでしょ。条くんに頼んで、ちょっと早めに抜けて来た。明日の打ち合わせしますか?」


早めに来てくれたんだ。


「はい」


私は先生の隣に座った。