カミセンの修学旅行引率 16 決戦 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

宝先生がポーンと下から上に向かってボールを投げた。ボールは高く上がって、後方に固まっている生徒の一群の上に落下してくる。

「受けろ受けろ!」

条先生が叫ぶ。

ボールを見上げて両手を出した女の子の胸にボールが当たって跳ねた。


「きゃっ!」


それがまた別の子の肩に当たって、そのボールを受けようとした別の女の子がキャッチし損ねて、ボールが床に落ちた。


宝先生のクラスの子たちがキャーッ!と歓声を上げる。


よっし!と宝先生もガッツポーズをして笑った。


あんな緩い球で三人当てちゃった…。


「ドンマイドンマイ!」


条先生がボールを拾って、一人の生徒に渡し、肩を抱いて、


「足狙え、足」


って指示を出す。


「聞こえてるよ条くん!」


「聞くなよ!…ちょっと、タイムタイム!」


条先生が両手を広げて審判の生徒に言い、コートの中で生徒を集めて円陣を組む。


宝先生は円陣を見ながら後ずさり、


「いいなぁ。俺も円陣組みたいわ」


っ半袖の肩で顔の汗を拭った。


「宝先生頑張って!」


「頑張るよぉ」


宝先生は開いた膝に手を置いて構え、左右の肩を交互に内側に入れて腰をひねった後、手を離してピョンピョンと軽くジャンプした。


「さぁ来いっ!」


と構えて条先生を睨む。


タイムが終わって笛が鳴る。


条先生は宝先生を指差して、片手で髪を耳にかけ、ニヤニヤしながらゆっくりコートを横切る。



そこから、条チームの外野と条先生の連携プレーで宝先生が逃げ回ることになった。

みんなハラハラしながら宝先生を見守る。


が、一旦ボールを手中に収めると、宝先生は本気を出さなきゃ負けると思ったのか、今度はバンバン条チームの生徒を当てに行った。


「痛い!」

「キャアッ!」 

「先生、ヒドイ!」


宝先生のクラスからは歓声が上がる。


「よっしゃあ!…さぁ…あと一人やでぇ」


ってわざとらしく悪い顔をして、人差し指を立て、ギャラリーの自分のクラスの子たちを見回す。



ラストの女の子を狙い打ちして当てると、最後は条先生との一騎打ちになった。


ギャラリーは俄然盛り上がった。二人の先生の、女子高生とは違うボールの勢い、走る速さ。手に汗握る攻防。


結局最後は条先生が宝先生を当てて、条チームが勝利を収めた。

条先生は黄色い歓声が渦巻く中、満面の笑みで両手を広げてコート内を走り回り、中央に跪くと、自分のクラスの生徒たちに向かって両手で投げキスを送った。


宝先生もそれを見て笑っている。

条先生ってあんなにテンション上がっちゃう人なんだ。意外…///。



アルバム撮影のために同行していたカメラマンの人に、「お疲れ様です。いい写真撮れました?」と聞くと、デジカメで撮った写真を見せてくれた。


「…え?」


生徒のももちろんあるけど、宝先生や条先生の写真も結構多い。


「ヴィクトリー校はね、先生の写真が売れるんですよ」


「ああ…」


納得。


「生徒だけじゃなくて、PTAってか保護者の方も欲しがりますから」


「ああ…」


それも納得。


「さて、次は件先生を撮りに行かなきゃ」


「件先生のクラスを、でしょう?」


「ああ、そうでした。ノースホールでしたっけ?」


「はい。こちらです」


私たちは一緒にアリーナを出て、ノースホールに向かった。