カミセンの修学旅行引率 12 お説教 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「だからぁ、東さんが意外に長風呂で、なかなか上がってこないんだもん」

「うちら三人部屋だし」

「はやくお風呂済ませないとクラスレク間に合わないし」


風呂から上がって、人のいなくなった食堂でふたりから混浴風呂に入った事情を聞いた。


ふたりは健くんのクラスの佐藤と塩見という、いわゆるギャル系の生徒だった。(すっぴんだったから、俺は風呂では本人たちだとわからなかった)


「クラスレクの後で入ればいいじゃん」

担任の健くんが腕組みして二人に向き合っている。


「えー。だって寝るの遅くなるしー」


「どうせ遅くまで起きてんだろ?」


「でも11時消灯なんでしょ?」

「その後お風呂入っちゃダメなんでしょ?」

「混浴とか初めてだし」

「まさか先生たちに会うなんてね!」

「だよねー。ラッキーってか」

「アンラッキー?バレちゃったし」


「先生たちこそ、なんで混浴入ってたんですか?」


「え⁇///」


俺は一瞬固まった。


が、すぐに条くんが、


「ばぁか。巡回に決まってんだろ」


ってしれっと言った。


「そんなとこまで巡回するんですか?だって生徒は部屋のお風呂しか使っちゃいけないって…」


「って決まってんのにー、のこのこ混浴風呂まで来ちゃうおバカさんがいるからだろ?君らみたいにさぁ。俺たちは親御さんから大切なお嬢さんをお預かりしてるんだよ。な?」


と健くんがもっともらしく言う。


「一番あっちゃいけないわけ。混浴風呂なんかで大切なお嬢さんが男どもの視線にさらされるなんてことが。だ、か、らー、万一に備えて、混浴風呂は巡回から絶対外せないわけだよ。万に一つでも、あっちゃいけないんだって!」



「ご…ごめんなさい」


健くんのお説教にしゅんとなるふたり。


「まあ、でも?お前らはさ、部屋割りの時に東を入れてくれたからな。それに免じて今回のことは…俺たちの胸の内に留めといてやるよ」


「ほんとに⁇」


「ペラペラ喋って他にバレたらそんときは庇えないからな」


「はい!絶対内緒にしとく!」


「よし。じゃあクラスレク始まるから、準備に行っていいよ」


「ありがとう!健ちゃん先生大好き‼︎」


「条先生も!宝先生も!」


ふたりは喜んでキャッキャ言いながら食堂を出て行った。


俺は腕組みしながら片眉を上げてニヤリと健くんを見た。


「さすがだなぁ。件先生」


「なにが」


「だってうまいこと口封じしてさぁ」


「ほんと。何が巡回だよな?スケベ心丸出しだっつうのに」


「巡回は条、お前が言ったんだろッ!」


「ところで、さっき部屋割りで東を入れてくれたっていうの、あれ何?」


「ああ。ホームルームで部屋割り決める時にさー、東が例によってぼっちになっちゃったわけ。で、どうすんのかなぁって見てたら、佐藤と塩見が『うちらんとこおいでよ』って三人部屋にしてくれたの」


「え?なに?いい奴じゃん。あいつら。意外と」


「だろ?見た目あんなだけどな。結構気遣えるんだよ。可愛いよ」


「へーぇ。うちなんかぼっちの奴どこが引き受けるかジャンケンで決めやがった」


「マジで?」


「俺、出張でいなかったからさ、ホームルーム副担任に任せてたんだけど。ジャンケンで負けたとこが引き受けたらしいよ」


「え?本人の前でジャンケン?」


「そう」


「…シビア」


「条くんがいたら、そんなことさせないのにね?」


「さぁ…どうかな」


と、そこへ上野さんがやって来て、健くんを見つけると、


「あ、いた!件先生!…先生のクラスの東さんが…っ」


と言いながら駆け寄って来た。