それでも、イケメン先生たちのところには生徒がちょくちょく話しかけに来た。
「条先生ー、このケーキ美味しかったから取って来てあげた♡」
条先生のクラスの生徒がふたり、ケーキをお皿に載せて持ってきた。
「おお、サンキュ」
「はい、どうぞ。あーん」
生徒がフォークで一口切って差し出すと、先生は顎を引いて避け、反対を向いてプッと吹き出した。
「先生、はい、あーんしてぇ?」
ってなおも迫る生徒を手で制して、
「ふざけんなっ!そこ、置いてけ!」
ってテーブルを指差す。
「はぁい。ねぇ、先生、あとで先生の部屋遊びに行っていい?」
「ダメ」
「ええ〜っ?なんでー?いいじゃ〜ん!だって共学とかだと男子の部屋遊びに行ったりするんでしょ?」
「共学じゃねーし」
「だから先生の部屋遊びに行っていいでしょ?」
「共学なら男女の部屋の行き来は禁止に決まってんだろ」
「うそーっ⁇」
条先生がケーキを口に運ぼうとすると、横で件先生がケーキを見ながらあーんって口を開けている。
「なに?食いたいの?」
「味見、味見。美味かったら俺も取りに行こうッ」
件先生はパクっとケーキに食いついて上目遣いで条先生を見た。
条先生の目尻に皺が寄る。ヒナに餌をやってるみたい。
ケーキを持って来た生徒たちがキャッ♡って喜ぶ。
条先生は、優しい目で件先生を見ている。
「どう?」
件先生はもぐもぐして、うんうん頷く。
条先生は、生徒たちを振り向いて、
「はい、ケーキもう一個追加でお願いしまぁす」
と言うと、生徒たちが「ご注文承りましたー」と声を揃え、パタパタとケーキを取りに行った。
先生たちが目配せして微笑み合う。生徒たちのことを可愛いと思ってるんだろうなぁ。
「あ。それより健、風呂どうすんの?」
「え?どうするって?ああ、俺たち同室だから…」
「一緒に入るの⁇」
って宝先生が目を剥く。
「「なわけねーだろっ!」」
「条、いいよ。先入って」
「つうか、大浴場行こうぜ」
生徒たちは部屋のユニットバスしか使えないことになってるけど、先生たちは大浴場にも入れる。
「やっぱ一緒に入るんじゃん」
って宝先生が笑う。
「わりーかよ。お前も来る?」
条先生がケーキを食べ終えて、ナフキンで口を拭う。
「うん。いつ行く?」
それから、条先生がチラッと私の方を見て、宝先生の耳に手を当てて、ヒソヒソ話をした。
宝先生がニヤッと笑う。
「なになに?」
件先生が身を乗り出すと、
「後で教えてやる。あ。ケーキ来たぞ」
と件先生の肩をポンと叩いて、
「ごちそうさま。先戻ってるわ」
と食堂を出て行った。
条先生のヒソヒソ話、聞こえちゃったもんね…。
『混浴風呂があるらしいぜ』
…混浴に行くつもりなのか。
私も…行こうかな…///