カミセンの修学旅行引率 8 ホテルにて | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

新千歳空港からはクラスごとにバスで移動した。いくつか観光地を巡って、夕方ホテルに到着。



夕飯までの間に先生たちと打ち合わせをした。


「西棟の2、3階がヴィクトリーさんの貸切になってまして、東棟の2、3階が別の高校さんの貸切になってます」


「たしか、男子校なんだよね?」



「はい」



「じゃあ、夜の巡回と立ち番の確認します。しおりの15ページ見てください」


と、宝先生が言って、先生たちの打ち合わせが始まった。


宝先生が立番の配置や巡回ルートを説明する。


件先生はマーカーでしおりに細かくチェックを入れているのに、条先生は、ポケットに手を入れたままメモも取らない。


その上、目を閉じて…居眠りしてる⁇



「ってかさ、この東棟との連絡通路は俺らでマークした方がよくない?佐久間じゃなくて」


と件先生が頬杖をつきながら言った。


「どうしてですか?」


「ひょっとして男子校の奴らがこっち入ってきたらさ、佐久間だと…なんかややこしくなるかもしれないじゃん」


「ややこしくなるってどういうことですか!人をトラブルメーカーみたいに」


「だってそうじゃん」


「そんなことないですよ!」


「とにかく、この10時からの連絡通路は俺が行くよ」


と件先生がしおりに印字された佐久間という字を二重線で消した。


「でも、そうなると健くんが一個多くなるよ?」



「いいよ別に」


「え?よくないですよ!どこかと交代しましょう。じゃあ」



「でも交代できるとこないんだよな」



「私が一個減っちゃうじゃないですか」


佐久間先生はしおりのシフト表を見て交代できるところを探す。


「まあ、いいんじゃない?ゆっくり風呂でも入ってれば?」


件先生が椅子にもたれて腕を組み、佐久間先生を横目で見る。


「いいんですか?ほんとにっ⁇いや、悪いですよ、でも」


すると条先生がパチッと目を開けて、


「健がいいっつってんだから、いいんじゃないの?」


と首の後ろを撫でながら気のない様子で言って、


「はい、じゃ打ち合わせ終了!飯だ飯」


とポケットに手を突っ込んだまま立ち上がった。


早々に打ち合わせが終わって、しかも条先生が寝ていたから、私は少し心配になった。もし、他校と何かトラブルがあったら…。



「大丈夫でしょうか?条先生、あまり宝先生の説明聞いてなかったみたいですけど」


食堂に移動する間、宝先生にそっと耳打ちすると、


「ふふ…大丈夫。うちの学年主任はね、天才だから」



「え?」


「シフト表も巡回経路もパッと見ただけで記憶しちゃうの。だから退屈してただけ」


「へ?ほ、ほんとですか?」


「ほんとほんと」


私は、片手をポケットに入れて件先生と並んで歩く条先生の後ろ姿を見る。


そんな…カッコイイ上に、天才とかって…。

すると、後ろから、


「宝先生ー♡」


って生徒たちがやって来た。


「お腹すいたー!食堂、こっちであってます?」


「ああ。俺たちも今から行くところ」


「先生、一緒に座ろう!食べさせたげる」


「は?」


「あーん♡ってやつ。ね?やりたいよね?」

「やりたいやりたい」


「いらねーわっ」


って先生は赤い顔して生徒の腕を振りほどいた。