飛行機に乗り込み、生徒たちが荷物を上に上げ始めると、宝先生はすぐにそれを手伝った。
先生は軽々と荷物を上げていく。
揺れるジャケット。胸筋がインナーの白いTシャツを盛り上げている。
動くたびに、ジャケットの肩や背中が先生の鍛えられた筋肉を想像させる。
「先生、こっちもお願いしまーす」
「ん。ちょっと待って」
こちらが済めばあちらへ。シンプルな装いの先生は、オシャレした女子高生たちに混じると、返って目立って、男らしさが際立つ。
「はいはい。どれ?入った?」
生徒が宝先生にバッグを渡す。
「入れてください」
「ん。…っ…ちょっとキツいな」
「入りませんか?」
「入んないなぁ」
先生はバッグを持ってあたりを見回す。
「条くん、そっち空いてる?」
「あ?」
条先生も同じように生徒たちの荷物を上げるのを手伝っていた。
「入るんじゃないかな。貸して」
「条、俺の荷物も」
「おっも!何入ってんだよ。自分で上げろ」
荷物を入れ終えて、生徒たちを座席に着かせ人数確認をすると、宝先生が席に戻って来た。
私は通路側なので、宝先生を先に通して、先生が腰掛けると、私も座った。
シートベルトしなきゃ。…あれ?ない!
キョロキョロしてると、
「敷いてますよ。お尻の下」
って宝先生に言われて慌てて立ち上がったら、先生がスッとベルトを脇に払ってくれた。
「す、すみません///」
座り直してベルトを締めると、今度は宝先生が急にこっちに体を傾けてきて、ドキッとしたら…
なんだ。
ジャケットの襟を正して座り直しただけか。
ふう…///
ち、近いなやっぱり。
肩が触れ合いそう。
やがて、飛行機が滑走路を走り出すと機内がざわついた。
いよいよ出発。生徒たちのワクワク感が伝わってくる。
そしてふわっと機体が持ち上がり、離陸すると、ヒューッ!と歓声が上がって拍手まで起こった。
高校生って可愛いなぁって思わず笑ったら、宝先生も隣で笑っていた。
すると、高校生のざわめきに混じって、後ろの席から、
「…大丈夫?」
って低い囁きが聞こえてきた。条先生の声だ。
え?誰に言ってるの?こんな優しい声で…。
「…大丈夫だよ」
今度は件先生の声。
え?ふたりの会話?なになに?なんかちょっとふたりとも声のトーンがさっきまでと違うんですけど。
「手、握っててやろうか?」
は、はいー⁇
どうゆう会話ですか⁇