カミセンの修学旅行引率 5 座席指定 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


件先生が生徒たちの間を縫って私の所に来る。


「足りませんでした?」


「うん。僕の分が無いんだけど」


「あ。なんだ。…先生の分は別に用意してありますので。今お配りしますね」


「あ、そうなんだ。ごめんごめん。あ、配りましょうか?」


「いえ、あの、席が決まってるので私がお配りします。えっとこれは…佐久間先生」


「佐久間ーっ!」


先生が呼ぶと、生徒と見間違えそうな若い佐久間先生が「ハイッ!」って躾けられた犬みたいに走って来た。



「来た来た。…で、これは?」


「上野先生です」


「上野さーん!はい、みんなちょっと集合!搭乗券配りまーす」


件先生の声はよく通るから助かるなぁ。


「はい、これ件先生」


「誰の隣?」


「条先生です」


「マジで?やなんだけど」


「え?」


「代えてもらえますか?」


「…は…?」


先生がそんなわがまま言う?って呆れた瞬間、


「門地さんの隣ならいいけど」


って…。


「え?…///」


「モンチッチの隣は誰なの?」


「も、も…」


モンチッチって…私の子供の頃のあだ名。ひ、久しぶりに呼ばれた。


「モンチッチの隣の方がいいなぁ」


え?な、なんで?どういうつもりでそんなことを…///


セクハラですか?

いや、ハラスメントじゃない!全然嫌じゃない!


むしろ…嬉しい…。



「あ。わがままだなって呆れてる?」


って顔を覗きこまれて…近い近い!///

しかも、いつのまにかタメ語だし。


「いえ、あの…件先生の隣にしてくれって言ったのは条先生で…。行きも帰りも」


「え?マジで?なんなの?俺のこと好きすぎるでしょ。あいつ」


先生は「ご指名とあっちゃ仕方ねーなー」って笑って髪をかきあげた。


あは。嬉しそう。可愛い。


「ね?あいつツンデレだからね?」


件先生の人懐っこい笑顔。

モンチッチかぁ…。



なんか、件先生のおかげで、私のアウェイ感が一気に吹き飛んだ気がする。


うん。5日間、ヴィクトリー校の先生たちと仲良くやって行けそう。


そして、私の座席の隣は…

私は、点呼を取り終えて、列の後方で条先生と何か打ち合わせをしている宝先生を見た。

周りがうるさくて聞こえにくいのか、条先生の方に耳を傾けて、上目遣いになっている。

私の座席の隣は宝先生。

こういうの、職権濫用って言うのかしら?

いや、だって宝先生は修学旅行主担なんだもの。添乗員の隣が普通だよね?


ああ…でもドキドキするなぁ。