剛健版 星の王子さま 3 ダメ出し | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

俺はムッとして、羊の絵を描いてやった。


「え?羊?これ」

描いてるそばから熱心に覗き込む。

ちょっと…。頭が邪魔で、手元が見えないんだけど。


「うん」


「え?なんで角生えてんの?」


「生えてなかったっけ?」


「生えてるけど、こんなんじゃないでしょ。ヤギだよこれ」


「そっか」


「描き直して。ぐるぐる巻きの立派な角とかいらないからさ。仔羊が欲しいんだ」


「……」


俺はメモをちぎって丸めると、新しいのに描き直した。


「は?犬じゃんこれ。クレヨンしんちゃんに出てくる…」


シロか…。たしかにそう見える。俺、ウワバミだけじゃなくて犬の絵も描けたんだ。


またちぎって丸めて、新しいのに描き直した。


何度もダメ出しされて、コックピットの床に丸めた紙が増えていく。

いいかげんめんどくさくなってきた。

ってか、そろそろ寝かしてくれ。飛行機の修理で疲れてんだ俺は。


「は?何これ?おじさん?」


「執事」


「ダジャレ言ってる場合じゃないでしょ?ちゃんと描いてよ!」



「はいはい、わかりましたよ!」


俺はヤケになって、ササッと四角い箱を描いた。




「はい!この箱ん中にあんたの欲しい羊が入ってるよ」


ってポンとメモを投げ出すと、男は慌ててキャッチして、しげしげとその絵を眺めた。


俺はドサッと操縦席にもたれ、操縦桿に足を投げ出した。


ダメ出しされたってもう描かないからな。俺は寝る。


腕組みして目を閉じた。



すると、驚いたことに、男は


「…こんな羊が欲しかったんだよ…」


って目を輝かせて満足そうに笑った。


マジかっ…。