眠い休日に恋をするなら ❸ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

昌の腕を取って、テントの中に誘った。


腕まくりをして、説明書を見ながら組み立ててくれた、さっきまでの大人の昌はどこへやら…


昌は身を屈めてテントに入ると、中を見回して「おお…」って少年のように目を輝かせた。


テントもワクワクするけど、そんな昌の表情に私はもっとワクワクした。


生成りのトレーナーにネイビーのパンツ。もちろん、裸足。それが、雑誌の衣装に似てて、


「雑誌から抜け出たみたいよ」


って言うと、え?って自分の格好を見て照れ臭そうに笑った。


それから昌はごろんと仰向けに寝転んで、頭の後ろで手を組んだ。


「キャンプに行こうか。今度」


私は昌の隣に寝転んだ。


「いいわね」


虫嫌いの昌。実現することは無さそうだけど。


フローリングが硬い。枕が欲しいな。


昌がムクッと起き上がって、私を見下ろす。優しい瞳。


「ちょっと待って」


って言うと、私を置いてテントを出て行った。


それから、クッションをふたつとブランケットを持って来て、テントの中に投げ入れた。



「ありがとう」


ってクッションを枕にすると、昌も中に入って来て、同じようにクッションを枕にして目を閉じた。


「眠いの?」


「…ん?」


眠そうな目で私を見て、それから寝返りをうって、甘えるように抱きついてきた。


「うん…」


足の間に私の体を挟んで、抱き枕みたいにすると、私の首筋に鼻を埋めた。


「こうしてると…落ち着く」


低い声でそう言われて、私は昌のワックスも何もつけてない、柔らかな髪を撫でる。


「…ごめん。今度、ちゃんとデートしよう」


「いいわよ…。こういうの…好き」


「こういうのって?」


「何もしないでいるの」


「…ほんとに?せっかくの休みなのに」


「休みだからよ」


「え?」


「他の人となら、間が持たないし退屈だけど、昌となら、いくらだってこうしていられる」



「……」


「お休みなんだもん。…ゆっくりしましょうよ」


すると、昌が顔を上げて私を見た。


あら…?


眠そうだった目に生気が宿って…さっきの雑誌の表紙みたいに少し挑発的な瞳になってるのは、どうして?


やだ。ドキドキするじゃない。



「眠かったんじゃ…ないの?」