数学の神様 18 お前の物は俺の物 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「あ。条。教科会?」


「ああ。国語は?」


「今終わった。俺、今からコンビニ行くけど、なんかいる?」


「別にいいよ」


「あ、そ。じゃ…、っと…あれ?」


健が傘立てを見て、


「俺の置き傘知らない?」


「あ…?」


「ビニール傘。確かあったと思うんだけどなぁ」


「……」


ここじゃなかったっけなぁ…持って帰っちゃったんだっけ?って、何本かささってる傘をちょっと引き抜いて探している。



「あれ、健のだったの?」


「うん」


「ずーっと置いてあるからさ、生徒の忘れもんだと思ってた」


学校には、忘れ物の傘がいつのまにか溜まって毎年処分することになる。

何本かあったうちの比較的きれいなビニール傘を選んで、吉富にやった。


「そりゃ、あるよ。置き傘だから」


「健卍って書いとけよ」


「なんでだよ。使ったの?」


「つか、あげちゃったよ」


「は?誰に?」


「いや、傘持ってない子がいたからさ」


「そうなの⁇なんだよ。まあ、いいけど別に…ビニール傘だし」


「…俺の傘使っていいよ」


「ああ、ありがとう。じゃ、借りるよ?」


「どうぞ」


「条の物は俺の物、俺の物は俺の物」


って健がニヤリと笑って傘を回した。


「は?」


「だってそうじゃん。お前の多肉植物ちゃんたち、俺の物みたいになってない?条、最近ちゃんと世話してる?」


「してるよ」



「ほんとに?最近いつ水やった?」


「ついさっき」


「嘘だよ」


「ほんとほんと。たーっぷりやった」


植物と生徒は一緒。

腹痛が治って、泣き笑いしてた吉富の顔を思い出す。



「また適当なこと言っちゃって」


健があーだこーだ言いかけるのを遮って、


「会議、会議」


って部屋を出て行こうとしたら、


「条!植物も生徒と一緒だからな。ツンツンツン、デレ、ツンツンツン、デレ、くらいでたまには水やれよ」



「その割合が絶妙なんだって。だから、ちゃんと育ってんだろ?」


って首を伸ばして、健の向こうの多肉植物たちを見る。


「ばか。俺がたまに世話してやってるから拗ねずに育ってんだよッ」


「あ、そ」



「気がつけばカラッカラになってるとき、あんだから」


「そりゃどうも」


今度こそ出て行こうとすると、健がいきなり俺の肩を抱いてニヤリと笑って髪をかきあげた。


「なぁ、条」


「なんだよ。急いでんだけど」


「今思ったんだけどさぁ…」


「…なに?」


「俺たちってさぁ…」


ってニタニタする。



「生徒育てんのもー、植物育てんのもー、二人三脚だなッ」


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「…そうか?」



「そうだよ」