数学の神様 14 告白 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

ブレザーを脱いでブラウスだけになると、


「…ん」


って先生がジャケットを肩にかけてくれる。


ブレザーよりもしなやかであったかくて、先生は小柄だけど、やっぱり男の人の服は大きくて…


すっぽりと先生の匂いのするジャケットに包まれて、前を合わせた。


「おっきい…」


って呟くと、先生が少し微笑んで、シートにもたれた。


黒いズボンに収まってる白いシャツ。先生の腰の細さが際立つ革のベルト。雨を弾く磨かれた黒い革靴。



ネクタイを緩めて、手を頭にやって…


私の腹痛が治まるまで、付き合ってくれるみたい。



「先生って、優しいですよね…?」



って呟くと、それには答えずに、


「腹、どう?」


って心配そうに私を見る。



「マシになりました」


でも、だからって、すぐに降りろとか、じゃあ行こうとかは言わずに、黙って私の様子を見守ってくれている。


先生は、優しい。


しみじみとそう思うと、ふたりきりでいる緊張感よりも、先生と会えなくなる寂しさの方が募ってきて…。


「先生…」


楽しかった先生の授業。

銀のチョークホルダー。

カッコいい横顔。お茶目な笑顔。

この間御守りを探してくれたときの、先生の背中。

ハンドルを握る先生の後ろ姿。

ルームミラーで目が合ったときのドキドキ。

優しい声。

楽しそうな笑い声。


今、目の前で黙って私の言葉を待っていてくれる先生の気配。


何もかもが愛し過ぎて…



「先生…私…先生のこと…」



言葉を切って、先生を見ると、先生も振り向いて、私を見た。




肩が触れそうなほどそばにいる先生。

先生のジャケットに包まれてる私。


じっと私を見る先生の黒い艶やかな瞳。



雨の音が聞こえる。



想いが、溢れる。



「…好きです」



まっすぐ先生の目を見て、言えた。