数学の神様 10 神様の愛 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


「へ?」


「受験の御守りが欲しいって言うからさ」


「え?誰に?」


「吉富。知ってる?」


「吉富?いや、知ってるけどさぁ…なんで?なんで俺の鉛筆が欲しかったの?あいつ理系だろ?」


「W大の理工」


「バリバリ理系じゃねーかよっ!古典とか絶対受験科目じゃねーだろっ!俺の鉛筆役に立たないでしょ」


「古典だと役に立つの?」


「いや…まあ、それは、気持ちの問題?」


「だよな。健の鉛筆使って教えてやってたの。だから、あいつ、俺の鉛筆だと思ってさ…」


「ふぅん」


「ま、気持ちの問題だからいいでしょう」


「いいよ。別に。俺の高級おフランス製のオシャな鉛筆で、是非合格を勝ち取っていただきましょう」


って言うと、条が苦笑した。



「高級おフランス製ってなんだよ」


「事実を言ったまでだよ」


「フランス製なの?」


「そうだよ?」


「へーぇ」


って眉間に皺を寄せて鉛筆を見る。



「解けてっかなぁ…」



条の口からポロリと出た呟き。


俺は思わず頰を緩めて、条を見た。条はじっと鉛筆を見たまま俺の視線に気づかない。


こんなふうに、条が生徒を思っているときの表情が好きだ。


ほんとに生徒のことが好きなんだな、と思う。条には、生徒たちへの愛がある。どんな生徒に対しても。


それを感じるのが嬉しい。


「きっとうまくいってるよ」


って言うと、条が振り向いた。


俺は


「だって、数学の神様の愛があるからさ」



って微笑んだ。


すると、条は、は?ふざけんなよって、照れてプイッと向こうを向いた。