数学の神様 9 オレンジの鉛筆 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

試験開始の合図とともに、問題用紙を開けた。


ざっと問題に目を通す。


肝心の大問3を見た瞬間、ドクン…ッと心臓が跳ねた。


嘘…⁈


ドキドキが止まらない。


先生…!



驚いたことに、大問3は、先生が私のノートに書いてくれた図形の問題に酷似していた。



解ける…!



私は震える手で先生にもらったオレンジの鉛筆を握りしめ、思考の足跡を答案用紙に書き残した。










条がオレンジの鉛筆をクルクル回しながら、ソファに寝そべって数学雑誌の問題を解いている。


「違うな…」


って鉛筆をひっくり返して、後ろについてる黒い消しゴムで消す。


「あ!ちょっと…!」


「あ?」


「後ろの消しゴムはさ、あんま使うなって言ってるだろ?」



って俺は机の上の消しゴムを取って、条に投げた。

パシッと受け取って、


「細かい男だな」


って呟きつつ、言うことを聞いて投げてやった消しゴムで消し始める。


「じゃ、何のためについてんだよ。この消しゴムは。飾り?」


「いざって時のためだよ。他に消しゴムがないときに、使うの」


そう言って俺は再び自分の机に向かう。学年末考査の問題を考えてる最中だった。


「あ。間違えちゃった。条、消しゴム!」


「めんどくせーな。いちいち」


って条がさっきの消しゴムを投げ返す。



俺の机のペン立てには、このオレンジの鉛筆が何本か刺さっている。オシャレで機能的な俺のお気に入りの鉛筆。


条も気に入ってよく勝手に使ってる。それは全然構わない。いや、むしろ、条が俺の物を好んで使うと、へっへーそうだろ?いいだろ?って得意になっちゃう。


「あ。そういえばさぁ…」


って問題が解けたのか、条が雑誌をポンとテーブルに投げ出して、


「お前の鉛筆さぁ…こないだ三年の子にあげちゃったの」


ってソファの背に腕を載せてこっちを見た。