数学の神様 8 聞いて欲しいこと | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


「うそ!」


「ほんと」


「数学の神様の誕生日⁇」


「神様じゃねーよっ」


「神センでしたねっ」


「そのネーミングもどうかと思うけどな」


「うそ!めちゃくちゃ嬉しいです!先生、私、受かる気がする!」


「ハハッ。単純だな」


「今日来てよかったです」


「ああ」


「先生、ありがとうございましたっ!頑張ってきます!」


「よし」


「あの…もし合格できたら、合格の報告と一緒に…」


「ん?」


声が小さくなった私の方に体を傾ける。



「あの…///」


私の告白聞いてくれますか?


「なに?」


って片眉を上げる。


「合格したら…」


「うん」


って耳を貸す。

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先生の形のいい耳。くっきりした二重瞼の横顔。ほくろ。全部が近くて、ドキドキする。


「先生に…聞いて欲しいことがあります…///」


「なに?」


って後を促す。


「だ、だから、合格したらっ!///」


「ああ、今じゃないの?」


「い、今じゃありません」


「ふぅん。なんだろ…」


って顎をさする。


…。


全然、勘付いてないのかなぁ?

先生のことだから、きっと生徒に告白された経験もたくさんあると思うけど…。





「あの、それじゃ…」


私は鞄を抱いて数歩後ずさった。


「ああ。頑張ってこい」



「はい。ありがとうございました。失礼します」


ってお辞儀をして背中を向けたら、先生が、


「楽しみにしてる」


って呟いた。


……。



それは、合格の報告のこと?


それとも…告白に勘付いてるの?やっぱり。

いや、勘付いているとしたら、それを楽しみにしてるってのは変だから、やっぱり合格の報告を楽しみにしてくれてるってことだろう。



振り向くと、ドアにもたれて腕組みした先生が穏やかに笑ってこっちを見ていた。


そんな先生に大人の余裕を感じて…


きっと先生は、私に告白されたって全くドキドキしたり照れたりしないんだろうな。


先生にとっては、私はまだ子供だし、生徒だし…。



だけど、だからってこの想いが幼いわけでも軽いわけでもない。


どれだけ真剣に先生のことを想っているか…。



「先生、楽しみにしててください!」



私は力強くそう言うと、くるりと先生に背中を向けて、学校を後にした。