数学の神様 2 ふたりきり | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

くっきり浮き出た喉仏。

セクシーな唇。


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気のせいかしら。目の前の条先生から甘い香りが…。


違う。


条件部屋が、チョコの甘い香りに包まれてるんだ。


「なに?休みの日に。自習室に勉強しに来たの?」


「あ。はい」


条先生には一年生のときに数Ⅰを習っただけだった。先生は、翌年にはひとつ下の学年主任になっちゃったから、私たちの学年を担当することはなくて…。


だけど、先生会いたさに3年になっても、私はよく条先生に質問に来ていた。


条先生が、ドアを開けたまま、背中を向けて部屋の中に戻っていく。


私が立ち尽くしていると、振り向いて、



「入っていいよ。質問だろ?」



「え?いいんですか?」


条件部屋は生徒立ち入り禁止だから、これまでは、いつも空き教室で教えてもらっていたのに…いいのかな?



「いいよ」


って言って、ガスコンロに向かう。



「失礼しまぁ…す」


けんちゃん先生や宝先生は、いなかった。


白い琺瑯のミルクパンを持って、


「ちょうどココア飲もうとしてたんだよ」


ってスプーンでミルクパンの中を混ぜる。甘いチョコの香りのもとは、これだったんだ。


自分がここでココアを飲みたいから、私を部屋に入れてくれたのかしら。



曇った窓ガラスには、銀色に光る雨粒がたくさんついてる。




窓の手前には、けんちゃん先生の盆栽と、多肉植物(こっちは条先生のかな?)が並べられていた。




濃い緑やシルバーグリーンの植物の隣で、紺のセーターを腕まくりしてココアを練る条先生の後ろ姿。



シトシトと降り続く雨。

カシャカシャと、スプーンが鍋に当たる音…。

甘く、ほろ苦いカカオの香り。



ミルクパンを火にかけて、少しずつミルクを注ぎ足しながら、


「あ。ドア開けといて」


って背中を向けたまま言う。


まさに今、ドアを閉めようとしていたところだった。


背中にも目がついてるのかな。


「あ、はい」



そっか。…二人きりになっちゃうから?


「座れよ」


「は、はい」


なんか休日に先生の部屋に遊びに来たみたい…///