カミセンのランバダ 2 巻き込まれました | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

俺は向かいのソファに腰を下ろして、コーヒーを飲みながら、譜面を広げた。


健くんがいないと、条件部屋は恐ろしく静かだ。



条くんとそれぞれ違うことをして、お互い空気みたいになる、こんな時間が好きだ。

集中できるし、落ち着く。ひとりで音楽準備室にいるときよりも。


やがて、6限終わりのチャイムが鳴った。


条くんが、バッとソファから起き上がった。


「さってと…終礼行くか」


「今日の連絡、明日の時間割変更だけでよかったっけ?」


「と、模試の案内」


と言いながらジャケットを羽織る。


「あ、そっか。いつだっけ?」


条くんが模試の日時と申し込みの締め切り日を教えてくれたので、メモを取った。


「明日の時間割は…っと…」


手帳を広げて確認しようとすると、条くんがジャケットの襟を正しながら、


「水の56、金の345、6限生徒総会。宝のクラスは現文、数Ⅱ、A選、世界史、コミュ」


ってチラッと俺を見た。



条くんときたら、よそのクラスの時間割までスラスラと出てくるんだもんな。


そして終礼には手ぶらで行くみたいだ。両手をポケットに突っ込んでドアに向かう。連絡事項は全部頭に入ってるってこと。



前にその記憶力の秘密を聞いたら、「メモを取らないこと」って言われた。全く参考にならない。


そこへ、袴姿の健くんがバタバタと授業から戻って来て、


「終礼終礼!何か連絡あったっけ?条」


「無い」


「あ、そ。じゃ掃除だけ…」


「あるあるある!」

って俺は慌ててさっき条くんから聞いたことを健くんに伝えた。


条くんはニヤリと笑って部屋を出て行こうとする。


人を使うのが上手いんだから。うちの学年主任は。いや、単に健くんをからかいたいだけか。


「ちょっと待った!条!」


って健くんが呼び止める。


「なに」


「終礼さっさと済ませて第2体育館集合な」


「何時?」


「終礼終わり次第すぐ」


「でもおまえ、着替えんだろ?袴じゃ踊れねー。どうせ終礼も健の方が遅いし」


「え?踊る?」


初耳だった。


「宝もだからな」


って健くんが言った。


「え?なに?なんも聞いてないんだけど」


「え?条、言ってないの?」


「言ってない」


「なんでだよ⁇」


って呆れた顔して、


「新年会のスペシャル企画!」


って健くんが俺を見てニヤッと笑った。



「カミセンでランバダ踊るの」



「ランバダ⁇」


確か、去年、忘年会の二次会で酔った条くんと健くんが即興でランバダを踊り出して、すげーウケてたけど…。


「お、俺も踊るの⁇」


「大丈夫」


って健くんがパシッと俺の肩を抱いて、


「俺と条が手とり腰とり教えてやるから」


「足とりだろっ?///」


テヘヘって健くんが笑う。


「マジで?勘弁しろよ〜」


俺は両手で顔を覆った。


まったく…このふたりといると、ろくなことに巻き込まれないんだから…。