天の羽衣 22 青い衣 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「その方が…楽だろう。お前がそんな暗い顔をしているのは俺たちだって見るに忍びない。さぁ…忘れてしまえ。みんな…」


しかし、弟は紫の光を発する兄の手をパシッと掴みました。


そして、まっすぐ兄の目を見てこう言いました。


「ありがとう。兄さんの気持ちは嬉しいけど…どんなに辛くても、忘れたくはない。

俺とあの娘に残されたものは、思い出しかないから…。

俺との思い出をよすがに、あの娘は生きると言ってくれたんだ。…どうして俺がその思い出を捨てられる?」



「そうか…」


兄は、弟の肩を抱き寄せ、黙ってその肩を優しく叩きました。









翌朝早く、新王のもとに1番上の兄が訪ねてきました。


「やあ、おめでとう。いよいよ今日だな」


「ありがとう」


「あまり嬉しそうじゃないが…」


「いや…そんなことは…」


「ハハ。嘘のつけない男だ。全部顔に出てる」


新王は恥ずかしくなって俯きました。


すると兄が、


「実は…」


と急に声をひそめ、キョロキョロと辺りを見回しました。



「お前に見せたいもんがある」



「何?」


兄は弟に目配せすると、自分が着ている青い薄布の衣の胸元に指を入れ、そっと引っ張って浮かせました。


中を覗けと言うのです。


弟は、戸惑いながらも、チラッと兄の裸の胸を覗きました。



そして、あっ!と息を呑みました。


目を丸くしている弟を見て、兄がニヤリと笑いました。


「キスマークじゃねーぞ?」


「ど…どうして…?どういうこと⁈」


兄は澄ました顔をして、


「つまり…」


と親指で自分の胸を指差しました。



「お前の次の王が俺だってこと」