天の羽衣 14 羽衣と娘 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

娘が羽衣を探して、川沿いを歩いているとき、近くで子供の声がしました。

見ると、雪が降っているというのに、数人の子どもたちが雪玉をぶつけ合いながら、追いかけっこをしているのです。


「まあ…!」


娘はつい自分のお腹に手をやりました。


そして、


「お前たち、風邪をひくよ!ほら、お家へお帰り!」


と、声をかけました。


すると、木の陰からもうひとり、子どもが出てきました。


娘は、あっ!と叫びました。



なんと、その子どもは黄色い天の羽衣をふわふわと風になびかせて走っているのです。


「お待ちっ!」


子どもは、叱られると思ったのでしょう。

他の子たちについて一目散に駆け出しました。


「その羽衣を返しておくれ!」


そう言って追いかけると、子どもはパッと天の羽衣を手放しました。

雪が舞い散る中、黄色い羽衣がふぅわりと空に浮かびました。


「ああ!…待って!」


娘は手を伸ばして羽衣を追いかけました。


雪を蹴散らし、必死に走りました。


羽衣はふわふわと風に煽られて、川まで飛んで行くと、川の中ほどの岩の上に落ちました。


「ああっ!」


娘は、躊躇うことなく、冷たい冬の川にザブザブと入って行きました。