疑い 5 ウェルカム | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「はぁい♡昌さん」

店のドアが開いて、聡美さんが手を振りながら階段を降りてくる。

俺は笑って、ため息をつく。

また来たな…。


「いらっしゃい」

まだ店を開けたばかりで、他に客はいなかった。

聡美さんのコートを預かってハンガーにかける。


「雨、けっこう降ってました?」


雨で湿ったコートを軽く拭きながら聞く。


「そうね。春雨みたいに細かい雨」

「もう三月ですからね」

「早いわね。あっというま」


カウンター越しに向き合う。


「春らしいカクテルお作りしましょうか」


「素敵」


聡美さんがシェーカーを振る俺の手元を頬杖をついて眺める。


いつもながら、色っぽい人だと思う。


宝先生の彼女じゃなかったら…という気がしないでもない。

淡いピンク色のカクテルをグラスに注ぎ、蘭の花をグラスの縁に添える。



「ホテルのウェルカムドリンクみたいね」


って聡美さんがグラスの脚を持って一口飲む。


「うん。美味しい。ふふ…」

なぜか笑うので、俺も微笑む。



「全然、ウェルカムじゃないのにね?」

って悪戯っぽく笑う。


「ウェルカムですよ」


「うそ」


「本当ですよ」


「また来たな、と思ってるでしょ?」


「思ってませんよ」



「…じゃ、話して」



俺は笑顔のまま黙ってつまみを用意する。



「昌さんなら、きっとたくさん女の子をひっかけられたでしょうね」



「……」



「どんなふうに女の子をスカウトしたの?何人の女の子を店に送ったの?」