8月は漫画を含め33冊読みました。
7月よりは多く読みましたが、夫と息子在宅している日が多く、
時間を見つけてのコマ切れ読書だったので、
しっかり読書した気がしない月でした。
俺ではない炎上 浅倉秋成
住吉初羽馬は、サークルの友人のTwitterに載っていた
公園のトイレと思われる場所で腹部から血を流した倒れている女性の画像を見て
本物だと思いリツイートする。
すぐさま拡散され、
アカウント名の「たいすけ@taisuke0701」から投稿者の特定が始まる。
一方、客先から戻った山縣泰介は支社長に呼ばれ、見せられたタブレットで、
自分が死体の写真を載せた人物として特定されていると知らされる。
身に覚えのないことで、突然日本中から追い回されることになった泰介。
果たして…。
自分が同じような立場になったらどうするのか…など、
色々と考えさせられる作品でした。
違和感を感じる部分が多々あって、なんでだろうと思いつつ読み進めましたが、
最後にはそういうことかと納得。
分かった上で再読しましたが、
犯人探しのある部分だけはどうしてもすっきりせず、
ミスリードをするために辻褄が合わないものを入れたと感じました。
トリックのためには仕方ないのかもしれませんが、
もう少しなんとかならなかったのかと思いました。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
ざんねんな兵器図鑑 世界兵器史研究会
おならをした犯人捜しで仲間割れを狙ったアメリカのオナラ爆弾、
銃口が4つあるものの正面に弾が飛ばないダックフットピストルなど、
変な兵器が沢山載っています。
実際に作られたものから、計画段階でとん挫したものなど様々。
私の卒業した高校で、
戦時中に作られていた風船爆弾がざんねんな兵器として載っていました。
文化祭の時には毎年、再現したものが展示され、
アメリカで6人が死亡したと聞いていましたが、
この本では山火事が起きただけとなっていました。
どちらが正しいのか気になりましたが、
たまたまテレビで6人死亡とやっていたのですっきりしました。
本、訂正して欲しいな。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
魔女の薬草箱 西村佑子
かつてヨーロッパで「魔女」、
または「賢い女」と言われた女性たちが摘んでいた薬草について書かれた本。
摘む曜日や時間が決まっている薬草や、
空想上のものではないかと言われている薬草など、
イラストと共に薬効成分や考察がなされています。
魔女裁判の暗く辛い歴史にも触れられており、とても勉強になった一冊でした。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
居酒屋ぼったくり 2 秋川滝美
居酒屋ぼったくり第2弾。
資格取得をするために便宜を図った後輩に出世の階段で追い越され、
会社を辞めると騒ぐアキ。
生のトマトが苦手な男性客たち。
客たちの好みや思い出の料理などを提供しつつ、
風邪を引いた妹・馨の代わりに、恋人の元へサンドイッチを届ける美音。
思わぬところで思わぬ人と出くわしたりして、
居酒屋ぼったくりを外から眺めている気持ちになりました。
ただ、餃子の手作りを簡単と言ってしまったり、
コラムの「計量スプーンかない時」で小さじを10ccと書いていたりするので、
実は作者はあまり料理が出来ず、何かの受け売りなのではないかと思ってしまいました。
お勧め度:★★★★☆ 3.5
ライト式建築 井上祐一
フランク・ロイド・ライトの設計した旧帝国ホテル、山邑左衛門別邸、
自由学園をはじめ、ライトの弟子たちの設計した名建物をまとめた一冊。
遠藤新の作品が多かったですが、
内部の細かい部分までフルカラーで載っていて、見ているだけでも楽しい一冊でした。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
ジャパネスクアンコール! 氷室冴子
再読。
なんて素敵にジャパネスクシリーズの第3弾。
宮中で起こった謀反未遂事件から数カ月が経ち、
静養のため吉野に籠っている瑠璃姫に贈る絵巻物を用意していた高彬。
しかし瑠璃姫との結婚を阻止しようと
母や高彬の側近の守弥が横やりを入れて来る。
気晴らし外出した高彬は、奇妙な噂を耳にする。
一方、守弥は瑠璃姫と高彬を別れさせるべく、ある計略を思いつくのだった。
高彬の視点から描かれた「高彬のジャパネスク・ミステリーの巻」と
守弥の視点で描かれた「ジャパネスク・スクランブルの巻」の
2編が収録されています。
スピンオフ作品ではありますが、
今後の本編にも関わってくるお話なので、
読み返すたびに、よく出来ているなと思います。
何年経ってもワクワクする平安コメディです。
お勧め度:★★★★★ 5.0
京都の洋館 石川祐一
京都の洋館が沢山紹介されている一冊。
外観だけでなく、内部の写真も多く、見ごたえがありました。
また現存しない洋館も紹介されていたので、
データとしても価値のある一冊だと思いました。
お勧め度:★★★★★ 5.0
北朝鮮・拉致問題の深層 当事者たちの証言で追う 鈴木拓也
帰国した拉致被害者の皆さんや、
拉致問題で日朝交渉に尽力した方などに取材し、拉致された後の生活や、
水面下での交渉なども分かりやすくまとめられていました。
政権が変わる度に翻弄される拉致被害者のご家族たち。
同僚に拉致被害者のご家族がいたので、他人事とは思えず、
とは言えどうなっているのか聞くことも憚られ、
今更ながら拉致問題のルポルタージュを読んでみました。
一日も早く、この問題が解決し、
拉致された人々とご家族が再開することを願ってやみません。
お勧め度:★★★★★ 5.0
限界集落株式会社 黒野伸一
起業のためにIT企業を辞めた多岐川優は、
骨休めをするために父親の故郷である止村へとやって来た。
祖父が亡くなってから放置されている多岐川家の耕作地も荒れ放題。
過疎化が進み、郵便局は無くなり、
バス路線も廃止された村で生きる老人たちの村を離れたくないという思いを聞き、
農業をベースにした複合的なビジネスを提案するのだった。
都会から農業研修に来ているという3人や、その指導員の正登、娘の美穂など、
個性的かつ意見の違う人々と、
都会からきたインテリとのぶつかり合いもよく描けていると思いました。
実際にはこのお話のようにはいかないと思いますが、
日本各地にある過疎化が進む地域や農業について考えるきっかけになるお話でした。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
毒図鑑 生きていくには毒が必要でした。 丸山貴史
いわゆる毒から、人によっては毒になるアレルゲンまで網羅されています。
爬虫類・両生類、魚類、植物などに分類されて紹介されており、
どうして毒を持つようになったのか、毒の使い方や及ぼす影響など、
短い文章の中にしっかり書かれていました。
またうなぎやはちみつなど、
普段人が口にする身近な毒についてまで書かれていて面白かったです。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
月曜日の抹茶カフェ 青山美智子
寒い中、温まろうと目指していたマーブル・カフェが見えるところまで来て、
定休日だったことを思い出した私。
引き返そうとした時、
カフェから出てきた女性に休みではないと教えてもらい行ってみると、
一日だけ限定の抹茶カフェになっていた。
表題の「月曜日の抹茶カフェ」を皮切りに、ひと月ずつのお話が進んでいきます。
青山さんお得意の登場人物が数珠繋ぎになる連作で、
前のお話に出てきた人が次のお話の主人公になったり、モブとして登場します。
どれもほっこりする優しいお話が良かったです。
「木曜日にはココアを」の続編のようですが、
私はこちらから先に読んでしまいました。
「木曜日にはココア」も読んでみようと思います。
お勧め度:★★★★☆ 4.0
今日も嫌がらせ弁当 反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲 ttkk
反抗期を迎えた次女に嫌がらせするために初めたキャラ弁。
嫌がらせと言いつつ、お嬢さんに対する愛情が伝わってきました。
定番のおかずの材料を少し変えて変化を付けたりしていて、
素晴らしいと思いました。
このクオリティのお弁当を作り続けるのは大変だったと思いますが、
楽しんでいる様子も伺え、
私も息子のお弁当作りをもう少し楽しめば良かったと思いました。
お勧め度:★★★★★ 4.5
続ジャパネスクアンコール! 氷室冴子
再読。なんて素敵にジャパネスクシリーズの第4弾。
こちらは3編が収録されています。
守弥の視点で描かれた「守弥のジャパネスク・ダンディの巻」は、
高彬の側近の守弥が、吉野にいる瑠璃姫に帰京を勧める使者を引き受けた。
しかし守弥の思惑は、瑠璃姫の逢引きの証拠押さえ、
高彬と別れさせようとするものの、瑠璃姫の身辺を探ろうと山道を歩いていた時、
崖から転落し、記憶を無くしてしまうのだった。
「小萩のジャパネスク日記の巻」は、
瑠璃姫のお付女房の小萩の生い立ちや瑠璃姫との出会いが描かれています。
「瑠璃姫にアンコール!の巻」は書き下ろしで、
瑠璃姫が吉野から京に密かに戻る途中で小萩が体調を崩し、
助けを求めた牛車の中に偶然いた高彬と再会。
感動の再会かと思いきや、高彬は意外な行動に出るのだった。
いずれも面白く、
特に小萩の話は今後の展開に関係しない本当のスピンオフなので、
瑠璃姫の幼い頃の意外な話が読めるのでお気に入り。
氷室先生には、
ジャパネスクのほかの登場人物のスピンオフ作品も書いて頂きたかったです。