2023年6月の読書記録 その2 | ゆるゆるな毎日

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水曜どうでしょうやマンホール、キリスト看板などの趣味に走りすぎた日々を綴っています。

2023年6月の読書記録の続きです。

 

 

京都寺町三条のホームズ 望月麻衣

京都寺町三条にある骨董品店「蔵」に訪れた高校2年生の真白葵。

 

悩んだ末に入店し、寺町三条のホームズと呼ばれている家頭清隆と出会う。

 

名前の通り、様々なことをパッと言い当ててしまう清隆に、

 

店を訪れた目的を見破られてしまい、なぜかバイトをすることになった葵。

 

清隆と共に、店に持ち込まれる依頼を解決するために奮闘する。

 

謎解きもののライトノベルで、アニメ化もされた作品です。

 

アニメはあまり面白くなくてチラッと見た程度ですが、

 

原作を読んでみたくなったので手に取りました。

 

京都の名所も出てくるので、京都気分も味わえて面白かったです。

 

また原作のカバーイラストの絵の方が、アニメの絵よりも好みでした。

 

この絵でアニメ化してくれたら良かったのに。

 

そしてアニメより原作の方が良かったです。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

82年生まれ、キム・ジヨン チョ・ナムジュ

出産を機に広告代理店を辞めたキム・ジヨン氏が、

 

突然別人のような話し方をし出し、驚く夫のデヒョン氏。

 

一度だけではなく、別人の名前を名乗ったりするため、

 

憑依されたのか、心の問題かと精神科を訪ねる。

 

冒頭は2015年のキム・ジヨン氏の現状で、そこから遡り、

 

キム・ジヨン氏の成長に合わせて起こった出来事や、

 

彼女の祖母、母、姉弟の話などにも触れられています。

 

フィクションですが、世代ごとに味わう性差別の問題が描かれています。

 

私とは育った国や世代は違いますが、

 

私もそういうことあったなと思いつつ読みました。

 

今の私は専業主婦なので、安倍政権時代は

 

専業主婦は害悪だと思わせるような政策を推し進めようとしていたため、

 

色々言われたり感じていたこともあり、作品に出てきた「ママ虫」

 

(育児をろくにせず遊び回る害虫のような母親という意味)と言われて泣いた

 

キム・ジヨン氏の気持ちが痛いほどわかりました。

 

韓国も日本も、そして世界中の国の女性が性差別を受けずに

 

自分の意志で選んだ生活ができるようになるといいなと思いました。

 

フェミニズム小説ですが、男性にも是非読んで頂けたら、

 

何気ない言動が女性にはどう思われているのかを

 

分かってもらえるのではないかと思いました。

 

お勧め度:★★★★ 3.5

 

 

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた 高野秀行

世界各地で、びっくりするようなものを食べ歩いた紀行文。

 

現地の人が実際に食べているものから、

 

今は既に食べられていないものを頼んで作ってもらったり、

 

覚醒ドリンクなどのヤバいものを楽しんだりもしています。

 

食材の様子や調理の仕方だけでなく、

 

実際に食べた時の触感や味など、細かい描写があるので分かりやすい一方、

 

食事の中にはいわゆるゲテモノもあり、

 

ここまで詳細に描写しなくても良いのにと思うこともありました。

 

とても興味深く、面白い本ではあったのですが、

 

食事の前後や調理前には読みたくない本なので、あまりお勧めしません。

 

著者の方、すみません!

 

お勧め度:☆☆☆☆ 1.0

 

 

少年と犬 馳星周

東日本大震災から半年後の仙台。

 

震災の影響で務め先が倒産し、知り合いから配達の仕事を中垣和正は、

 

「多聞」と書かれたタグのある首輪を付けた

 

シェパードの血を引ていると思われる野犬に会い、一緒に住み始める。

 

物語が進むと、多聞と関わった別の人物との話が展開されていく連作小説です。

 

馳さんの本は久しぶりに読みましたが、

 

この作品はバイオンレスと性描写があまりなかったので良かったです。

 

ただ、美羽の書いた手紙がどうなったのかが気になりました。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

徳川おてんば姫 井手久美子

江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜公の孫・久美子さんの自伝。

 

少女時代を過ごした東京市小石川区小日向第六天町の徳川邸での生活や、

 

結婚、戦争、そして平成へと、時代ごとに綴られています。

 

お姉さまは高円宮妃なので、両殿下や昭和天皇との思い出話など、

 

家族の中でも特殊な環境やお立場で見聞きしたことも綴られてます。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

京都寺町三条のホームズ 2 ~真贋事件簿~ 望月麻衣

京都寺町三条にある骨董品店「蔵」に持ち込まれる鑑定にまつわる出来事を、

 

アルバイトをしている真白葵の目線で描かれたシリーズ2作目。

 

店主の息子の家頭清貴のほか、家頭家の人々、

 

1作目で登場した梶原秋人も出てきます。

 

この巻には秋人の目線で書かれたお話も収録されています。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

高田馬場アンダーグラウンド 本橋信宏

ノンフィクション作家の東京の異界シリーズ第5弾という本作。

 

私の馴染みのある高田馬場について、街の歴史や成り立ちなど、

 

普通に生活していたら知らないことが書いてあるか…と期待して読みました。

 

しかし歴史などについては高田馬場の地名の由来や軍都だったことくらいで、

 

私も知っていることのみ。

 

全編に渡って書かれているのは著者と高田馬場との関りや生い立ち、

 

挙句の果てに両親の若かりし頃の話から馴れ初めなど、どうでも良い話ばかり。

 

高田馬場にゆかりのあった手塚治虫や江戸川乱歩などについても

 

多少書かれていましたが、

 

あとは著者が取材したり交流があった芸能関係者や

 

風俗関係者などの半生について書かれていました。

 

本文中に「つまらない小説っていうのはあるけど、

 

つまらない個人史っていうのはないと思っているんです」という

 

著者が対談で話した言葉が出てきますが、

 

興味のない人間の個人史なんて、

 

つまらない以外の言葉がないということを勉強しました。

 

そしてつまらない本を読み切る辛さを久しぶりに体験しました。

 

ほぼ著者の個人史なので、この作家さんがお好きな人は是非。

 

お勧め度:☆☆☆☆☆ 0.0

 

 

駅に泊まろう! コテージひらふの早春物語 豊田巧

比羅夫駅のホームにあるコテージひらふのオーナーとなって半年経った桜岡美月。

 

宿泊客が少なくなる3月になり、

 

コックを務める従業員の亮と交代で正月休みを取る事に。

 

亮不在の中、料理があまり得意でない美月は、上手に乗り切れるのか。

 

シリーズ2作目なので、面白いことが分かっているので安心して読めました。

 

この巻も色々な人物が登場し、物語が更に膨らみ、躍動しているように感じました。

 

巻末の美月の北海道マップが、

 

お話に合わせて広がっているの楽しくなり、この巻でも、旅情気分を味わえました。

 

お勧め度:★★★★ 4.0

 

 

海の見える理髪店 荻原浩

有名俳優や政財界の大物が通っていたという理容師に髪を切ってもらおうと、

 

初めて海辺の理容店を訪れた客と

 

伝説の理容師の心情や会話が交互に綴られてる「海の見える理髪店」。

 

16年ぶりに母親の元を訪れた娘と母の再会の様子を綴った「いつか来た道」など、

 

家族をテーマにして6編の短編集。

 

1編がサッと読める長さで、切なく感じたり、クスッとできたりと、

 

様々な読後感が味わえました。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

うちの子が結婚しないので 垣谷美雨

友人から娘が結婚するという手紙をもらい、

 

28歳になる自分の娘のことが心配になる千賀子。

 

中国の親同士による代理お見合いの様子をテレビで見て、

 

日本でも同じような親婚活があると知り、夫や娘と話し合い、

 

家族で親婚活を開始する。

 

私も息子がいるので、人事ではないなと思いつつ、

 

ちょっと引いた目で読み進めました。

 

読みつつ、もしも実際に自分が千賀子のようにできるのかと考えると、

 

やりたくないな、なんて思いました。

 

そして、親婚活がどうなっていくか、

 

千賀子の周囲の人々の変化や親婚活で次にどんな人と出会うのかと、

 

先を読むのが楽しかった一冊。

 

お勧め度:★★★★☆ 3.5

 

 

京都寺町三条のホームズ3 ~浮世に秘めた想い~ 望月麻衣

京都寺町三条にある骨董品店「蔵」に持ち込まれる鑑定にまつわる出来事を、

 

アルバイトをしている真白葵の目線で描かれたシリーズ3作目。

 

2作目までに登場したお馴染みのキャラクターに加え、新キャラクターも登場。

 

謎解きはそれほど凝っていませんが、八社寺詣りやをけら詣りなど、

 

私の知らない京都の文化も盛り込まれていて、とても興味深かったです。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

子育てはもう卒業します 垣谷美雨

修英大学を卒業した淳子、明美、紫の3人の視点で

 

高校や大学の頃の話や子育て話や、それぞれの子供の視点からの話が、

 

「一九九七年秋 五十川淳子・三十九歳」という章になって

 

年代ごとに紡がれています。

 

子供のお受験や進路、自分の実家や夫の実家との関係など、

 

結婚して家庭や子供を持った人が

 

考えたり感じたりするような要素がちりばめられていました。

 

面白くはあったのですが、お話がぶつ切りに感じる部分もあり、

 

垣谷さんの作品の中では珍しくあまりハマれない作品でした。

 

お勧め度:★★★☆☆ 2.5

 

 

東京ロンダリング 原田ひ香

事故物件に決めらたれ期間住むことで

 

日当をもらう不動産ロンダリングをしているりさ子。

 

彼女がロンダリングで住んでいる部屋のドアが、真夜中に突然叩かれる。

 

続編の「失踪.com 東京ロンダリング」を読んだ後に

 

最初の作品を読むというアホな読み方をしましたが、とても面白かったです。

 

個人的には1作目のこちらの方がお勧めです。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

教誨師 堀川恵子

50年もの間、教誨師を続けた渡邊普相さんを取材し、

 

死刑囚との教誨面接から死刑執行の現状、

 

引き取り手の無い死刑囚の遺骨に関してなど、

 

関係者の体験が綴られたルポルタージュ。

 

渡邊さんの生い立ちや、

 

教誨師として活動していた当時の思いなども綴られています。

 

教誨に関しては具体的なことを知らなかったので、

 

読んでいて驚くことが多かったです。

 

中でも教誨師は宗教の違いだけでなく、再審請求を求め、

 

後に無罪となった元死刑囚に対しても

 

「前世の因果」や「反省しないと地獄に落ちる」などと

 

脅すような事を言う人がいると知り、驚きました。

 

重い内容の本だと分かった手に取りましたが、読んでみて良かったです。

 

ただ、想像以上に重かったので、かなり辛かったです。

 

読了後も死刑執行に関して渡邊さんが語った

 

「ことをスムーズに進めないと、本人も回りもみんなか辛いから、

 

しょうがないから……。みんなで人殺しをしてるんですからねぇ、ええ……」

 

という言葉が、頭から離れません。

 

また「行き詰る」と書くべきところを

 

「煮詰まる」と誤用している点だけ気になりました。

 

お勧め度:★★★★ 4.0