【幻想物語 第1章 第3話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

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これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

こんばんわ!!


久しぶりの小説更新です!!



コメント、もらえたら嬉しいなぁ・・・・・・





幻想物語


第1章 第3話



その日、ライナが帰宅すると、玄関には珍しく革靴があった。


ライナの父親であり、魔法学者でもある、ハリス・ウェルドのものに間違いなかった。



「父さん、珍しく早いな」と小声で呟きながら靴を脱ぎ、自分の部屋がある2階への階段をのぼるために、リビングを通ろうとすると、ソファーに座っていた父が突然、


「ライナ、右手、見せてみろ」と言ってきた。


一瞬、何を言っているのかわからず、たじろいだが、すぐに理解し、小さく溜め息をつきながら制服を脱いだ。


制服の下に着ているYシャツの袖をまくりあげたところで、父親が突然怒鳴りつけてきた。


「ライナ!またやったのか!?」


「っせーな、父さんにはカンケーねーだろ」と悪態をついた。


「第一、見た目は何ともねーし、痛くもねーんだからいいじゃんかよ、別に。」


「そういう問題じゃない!わかるよな?俺がなんで早くに帰ってきたのか。」


誰かが父、ないしは母に密告したのだ。その謎の人物に腹を立て、開いていた手を握り締めた。



「ライナ、わかってるだろうがな、お前の年齢(とし)で『暗黒槍・獄ノ型(ヴェロッディア・ランツィ)』を使いこなすのは無理だ。腕の細胞を痛めることに繋がるし、こんなことを続けていたら、右腕が使い物にならなくなるぞ。それにな、ライナ、俺はお前が闇の属性(エレメント)に適合したのには今だに納得できない。確かに、魔力発生器官の収縮と拡張は人間にはコントロールできる代物じゃないがな、我がウェルド家は代々、風の魔力(ディーガ)を操ることに長けた一族なんだぞ?それを・・・・・闇などに適合するとはな・・・・・・」


それを言い終えた父の顔は明らかに息子に対する怒りの表情が浮かんでいた。


父の話の内容からすると、密告したのは間違いなく、レナだ。



「そーだ、父さんに聞きたいことがあったんだ。」自分に対する態度に腹を立てたのか、口調が嫌味ったらしくなっていた。



その台詞を聞いても尚、父は目を合わせようとはしない。


そんな父の態度をよそに、ライナは淡々と喋り出した。


「俺は確かに闇が得意だぜ。それも異常など程な。中学生で使いこなせるレベルが『深淵』までいってる奴なんてそうそういなからな。まぁ、そのせいで他校の生徒に絡まれることが増えたんだけどな。そこはもう割り切ってるんだ、しょうがない、ってな。

けどよ、俺にはなんでも(闇の魔法以外)教えてくれた父さんがさ、俺の右腕に刻まれた契約印についてはなんも教えてくんないのはなんでさ?この契約印、俺の『スイッチ』が入ったときに出てくるもんでさ、どこのサイトにも、どんな書物にも載ってないんだよねぇ・・・・・・。これ、何?

契約印だから、何かを俺の体に契約、ないしは封印してるものだよね?教えてよ。」


綺麗な右腕を突き出し、父親に詰め寄る。


最初のうちは綺麗だった腕に、突如として謎の紋様(契約印)が浮かびあがってきた。


『スイッチ』が入ったのだ。


その契約印を見た瞬間、父は怯えた表情を見せ、飛びのき、息子に向かって魔法をかけた。


  ディーガ・ルシルド

「魔力ノ封印!!」


ライナの体が弛緩し、倒れる。

この魔法、「魔力ノ封印(ディーガ・ルシルド)」は体内にある、魔力発生器官の働きを鈍らせ、魔力の発生量を激減させる、一種の封印魔法だ。


「こ・・の・・クソ親父!!教えろよ!!何なんだよ、これ!?おい、待てよ!!答えろよ!!」


ライナの叫びを無視し、父親は自分の部屋にスタスタと歩いていった。



体の弛緩が解けたのか、勢いよく立ちあがり、壁を思いっきり殴りつけた。




腹の虫が納まらぬまま、自分の部屋に入り、そのままベッドに寝転んだ。




自分の左手を見つめ、次に右手を見つめた。

『なんなんだよ、これ・・・・・・。俺の体の中に何がいるってんだ!!』自問したが、結局答えは得られないままだった。



幼いころから何不自由なく、恵まれた環境で育ち、こんなに大きな部屋まで与えてもらった。

ただ、たまに父親がよく分からなくなる。


研究会だ、と言って家を出たまま何日も帰らなかったり、自分の研究室に閉じこもり、1週間近く出てこなかったこともある。


それでいて、3人いる子供達には基本的に笑顔で接し、欲しがるものは何でも与えてくれる。

一般的に見れば立派な<変人>なのだ。




そんな中、突然部屋のドアをノックする音がライナの耳に飛び込んできた。


驚いてベッドから飛び起き、「誰?」と低い声で尋ねた。


「ライナ・・・・・母さんよ。」


その声を聞き、ふぅ、と大きな溜め息をついた。



「なんだ、母さんかよ・・・・。何?」



母はドア越しにこう言った。

「父さんがあんな態度をとったのは理由(わけ)があるのよ。ゴメンね、アンタの契約印については今は教えてあげることができないの。時期(とき)がきたら、父さんもきっと話してくれると思うの。だから、待ってあげて。」


その声に対して、ライナは答えることができなかった。

ただただ、父親に対する不信と不満が募るばかりだった。


いろんな知識は教えてくれるくせに、肝心なところははぐらかす。父母揃って、そこだけはそっくりだった。



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『家に居てもヒマだし、コンビニでも行くか』、そう思い、財布をひっつかんでドアノブに手をかけた。


すると、ライナがドアを開く前に突然ドアが開き、ライナの3つ上の兄、ディナ・ウェルドが部屋に入ってきた。


「ちょっ、兄貴!何勝手に入ってきてんだよ!!」


「おぉ、スマンスマン( ̄▽+ ̄*)ノックすんの忘れてたわ。」

ライナの大声に対し、兄は呆れるほどのんきに答えた。



「父さんもお前も、声デケーな。俺の部屋まで聞こえてきたぜ。あの様子だと、そうとうご立腹だな。」兄はニヤニヤ笑っていた。


「っせーな。あっ、言っとくけどな、悪いのはゼーンブ、父さんだかんな!!」びしっと指をさし、きっぱりとそう言った。


「わかったわかった!!」

詰め寄ってきた弟に対し、兄は両手をだして制止した。



「しっかし、お前もわっかんねえな。何でそこまでその契約印のこと気にする?別にいいじゃねーか。お洒落だと思えヨ(^O^)/」


「んなの――」と言いかけたライナの言葉を遮り、兄は続けた。

「それにさ、父さん、基本的にはいい親だと思うぜ。こんなデケー部屋くれるしさ、小遣いだって月2万くらいはくれるしо(ж>▽<)y ☆



「確かに、基本的には『いい親』を絵に描いたような人だけど・・・・・。」


「だけど?」


「たまーにさ、父さんが分からないんだよね。」


「俺はお前の言ってる意味がわからねー┐( ̄ヘ ̄)┌」


「父さんって人がさ、分からなくなるときがあるんだよね。」


「へ~、そういうモンかねぇ・・・・。俺にはよくわかんねーけどよ、今そんなこと気にしたってしゃーねーだろ?時期が来たら全部わかるんだろーし。あれこれ悩んでる場合じゃねーだろ(*^o^*)/

んじゃ、俺はそろそろ退散するぜ(^-^)ノ~~」



ドアを開けた兄は去り際にボソリと魔法を唱えた。


「空中浮遊(ディオ・スペース)」


その対象は・・・・・・・ライナの財布。


財布が宙を舞い、兄の部屋めがけて一直線に飛んで行った。



「おい!!クソ兄貴!てめっ、財布返せ!!」


自分の部屋のドアを少し開け、兄が満面の笑みを返してきた。


「悪ぃ!明日、彼女とデートなのに金がねーんだ!頼む!!貸してくれm(_ _ )m」


「頼む前に持っていってんじゃねえか!!」



その後、ディナ・ウェルドが弟にボコボコにされたのは・・・・・・言うまでもない。




第1章 第3話   完




どーでしたか!?前半のダークな話とは違い、後半はちょっと面白おかしくしてみました!!!



さてさて、どんどんと新キャラがでてきていますが、次回の小説更新では、意外な展開が待っているかも!?


乞うご期待!!!!



ではγ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞ



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