再生医療により頚損・脊損は元の身体に戻るのか?
結論は2パターンあると考えます。
① 急性期での治療
急性期での治療は未知数です。もしかしたら,元に戻る可能性もあるか
もしれません。
ただ,神経の損傷の程度によるかと思います。
完全損傷の方でもかなり改善(私は客観的データはないですが、約70%
と推測?)する可能性があるかもしれません。
② 慢性期(3カ月以上)での治療
多くのリハビリ職は完全麻痺の方が不全麻痺になるだろうと考えています。
ただ,簡単に歩けるとは思っていません。例え歩けたとしても実用的な歩行は若年者か、不全損傷でもともと歩く訓練をしていたが実用的には歩くことが困難であった方が歩ける可能性が高くなるということと考えます。
これは,神経はシステムだからです。臓器や血管などとは異なり,生まれてから発達し,複雑に相互関係しています。
一本の切れた線を単につなぐと,元に戻るということでは決してありません。
また,感覚がなかったのに戻るということは,痛みやしびれ,痙縮といったネガティブな因子も必ず生み出します。ポジティブな反応だけといった綺麗ごとでもありません。光と影は一体化しているのです。
ある実験で慢性期の神経で瘢痕化があっても,問題なく元に戻るという論文があるようですが,安易に信ずることはできません。
そもそもラットの歩行評価で使用しているスケールは、主観が入るようなものを採用しているのです。
また、再生医療だけをしても実際に動くようにはなりません。これは再生医療には必ず言われているものです。では,どんなリハビリが必要なのでしょう・・。
これは,誰も実践していないので正確にはわかりません。個人的にはどうやったら改善するかは推測できます。
iPSは夢の医療ですが,慢性期の頚損・脊損の方が恩恵を受けられるのは10年以上先の話だと思います。
関係者は大いに期待しながらも,今を大切にして生活していくのが現実でしょう。
夢を描いていた方がいらっしゃったら,申し訳ありません。
しかし,現実は現実として受け止めてもらい,次のステップへ進むことを願っています。
15年後の将来を予想するのは困難です。私の予測もきっと外れるでし
ょう。
ES細胞の時に盛り上がって15年経過した今、あの頃を知っている当事
者が今、どのように感じているのか、聞いてみたくなります。
こちらも参考にしてください。
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