『闘志、燃ゆる』。 | 趣味部屋

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~ファンタシースターポータブル2(PSPo2)~

学園とはほぼ無関係。

Keiz視点。



今日は魔法協会の会議の為、招集された。
しかし、会議にはまだ時間があり、到着していない者も多い。
…いえ、私が早過ぎただけでもある。

何か暇潰しの実験が出来ないかと思ってここ…多目的部屋でもある大広間に来たのだけれど…。

「…あら。」

先客がいた。
猫耳で綺麗に波がかかった長い髪。

「にゃ!来たわね、『魔女』!」

『幼火』…ワーン。
ビーストの女性で魔法協会の中では私よりも先輩になるのだけれど、実年齢は一番近い。

彼女の映像はよく目にする。
絶世の美女、と言って過言ではない美貌と体型を誇り、彼女に憧れを抱いている女性も多い。
また、フォースの為の服も手掛けており、若いフォースの女の子達からも圧倒的な信頼を得ている。

「今日もまた一段と美しいですね?」
「そう?一応今日の為に新しい服作ってきたんだけど…似合ってる?」
「えぇ、とても。」

私から見ても彼女は美しいと思う。
でも、美しいだけではない。
彼女は魔法協会の中でも上位の実力者。
こと、威力に関しては右に出る者はいないかもしれない。

「あ、これ見て。あなた用のも考えてきたの。」

そう言って、一枚の紙を取り出し、私に手渡した。
紙に描かれていたの一枚の絵。
人物…なのはわかるのだけれど、これってもしかして…?

「私、ですか?」
「うん。可愛いでしょう?」

漫画調に描かれた私。
確かにこう描かれれば可愛いのでしょうけれど…。

でも、そちらはおまけ。
メインは服の方。

「…流石ですね。」

その一言しか出なかった。
その一言しか出ないぐらい素晴らしい服。

派手なものは苦手…彼女もそれはわかっていたみたい。
私好みな服であり、それでもってデザインが素晴らしい。
いえ、デザインが素晴らしいだけであればその手のデザイナーは多くいる。
飽くまでもフォースの為の服。
いかにフォースの者が戦い易いくなるかも計算に入れてデザインされている。

「気に入った?なら、今度作ってプレゼントしてあげる。」

…怪しい。

「下心はありなのでしょう?」

そう言いつつ、紙を返す。
…彼女自身が書いた服の原画は高値で取引されているという噂もあるけれど嫌な噂よね。
彼女は大切にしてくれると思って書いたのだろうけれど、それを無碍にして競売にかけるなんて。

「まぁね。大丈夫、単純なことだよ。モデルになってくれればいいから。ついでに取材もする?」

案の定だった。
悪い予感程当たるものね。

「…写真だけなら構いません。」

現在は絵だけにしろ、折角描いてもらったものを蔑ろにするもの勿体無い。
わざわざ私の為に忙しいのに自分の時間を割いてくれた…そう思うと尚更。

「じゃあ、交渉成立だね?作ったら連絡するよ。」
「…あなたも忙しいのでしょう?」
「何とかなるよ。毎日仕事ってわけじゃないんだし。…それよりも…。」

ワーンは自作ロッドを取り出し、私に向かって炎を放った。
大きな炎弾。
私は咄嗟に横に移動して躱す。

この部屋には非常に強力な…学園に施されているのものとは比較にならない程に強固な防御魔法が施されている。
無論、大倉庫にかけてある私の魔法陣よりも。
それなのに…私が回避した炎は壁の魔法壁に衝突し、大きく罅割れを起こした。
修復も遅い。
それだけでもその並み外れた破壊力がわかる。

「突然ですね。」
「突然でもしないと、戦う気になってくれないでしょう?…一つ聞くけど、誰にも負けてないよね?ワーン以外に負けたら許さないんだから!」

そんな彼女と私は過去に戦い、勝利した。
それ以来逆恨みされている。

「負けていませんよ。」
「ならいいの。あなたを倒すのは…そう、このワーン。今日こそは戦ってもらうよ!せこいの無しの、実力勝負を!」

ロッドの先を突き付けられる。
可愛らしく装飾された杖。
とても戦う為の杖には見えないけれど、彼女にとってこれが最強のロッドでもある。

「では、聞きます。あなたが言う実力勝負と言うのは何なのでしょうか?」
「勿論、正々堂々とした一対一の真剣勝負。使い魔とか魔法陣とはせこいと思わないの?誇りは無いわけ?」

…全力勝負だった。
そして、私の圧勝だった。

「残念ながら、私の戦い方と言うのはそういうものなのです。文句を言われる筋合いはありません。」

真っ向から戦えば彼女には全く太刀打ち出来ない。
威力が違い過ぎるから。
私の防御魔法程度では紙の代わりにもなりはしない。

「言い訳なんて聞きたくない。」
「…では、こちらからも言わせてください。仮にその条件で戦うとしましょう。弱い者虐めをして、その結果勝利したとしても誇れるのですか?」
「よ、弱い者虐め…!?あなた、そんなに弱くはないでしょう!?」
「買い被り過ぎです。単純な破壊力に関してはあなたの足下にも及びません。」

自覚しているのかはわからないけれど、彼女の魔法は異常とも言える威力。
勝負の方法を決めれば彼女に勝てる者はいないと思う。

「でも、何でもありだったら負けるもん。また負けるのなんて嫌。」
「私相手では相性が悪いでしょうからね。ですが、戦いというのはそういうものでしょう?相手の能力など関係無く勝利しなければならない。」
「尤もらしいけれど…『魔女』の言葉には惑わされないよ。あなたも負けたくないからって自分が有利になるように持っていこうとしているのがばればれ。」

…ただ単純に正論を言ったつもりなのだけれども…。
ここまで迷い無く言い切られると言い返せないね。

「こちらにはあなたの提案に従う理由がありません。」
「卑怯者!」
「では、卑怯者で結構です。…その卑怯者でよければ相手になりますよ。」

私も『魔女の短剣』を取り出し、構える。
彼女は戦う、を選択するに違いない。

「うぅ~…。」

相当悩んでいるみたい。
弱い者虐めで勝利したとしても自分の誇りが傷付く。
かと言って負けるのも同じ。

「どうしますか?戦わないという選択肢もありますが…。」
「それは嫌。負けっ放しは嫌だもん。」
「変わらず我が儘ですね。あなたらしいですけれど。」
「…仕方無い。何でもありで戦ってあげる!感謝してよね!」

恩着せがましいですが…今回は気にしないでおこう。

「では、行くよ!」
「わかりました。」

互いに詠唱を開始する。
詠唱と言えど、そんなに時間は…。

「あらあら、楽しそうなことをしているのね?」

第三者の声。
それと同時に私達の各々の足下に魔法陣が展開され、身動きが出来なくなる。
拘束系の魔法陣。
この術式は…。

「だ、誰!?」
「…御姉様ですね?」

私は魔法陣を解析して解除し、ワーンは力づくで破壊した。
そして、声がした方を見る。

「簡易だったから簡単に解除されちゃったね。それでも結構頑丈に作ったつもりだったんだけど。」

笑顔のままこちらに歩み寄る御姉様。

「し、『式神』…!?」

御姉様の姿を見るなり慌てて私の背後に来ると、怯えながら隙間から御姉様を覗いている。
ワーンはどうやら昔から御姉様が苦手なのらしい。

「御相手なら私がしてあげてもいいのよ?」
「絶対に嫌!」

この怯えよう…過去に何があったのだろう…?
聞いても話してくれないし…。

なお、戦わなくても勝敗は目に見えている。
私達二人が組んで挑んだところで敵わない。
勝てない…と言うよりはそもそも勝負にならないと言った方が正しいのかもしれない。
相性的な意味でも。

「…どうしてここに?」
「『幼火』に暴れられて建物を崩壊させられたら困るもの。その相手が『魔女』ともあらば、『幼火』が手加減するとも思えないから。だから、私が止めに来たの。」

ワーンを止められる人物など魔法協会内でも限られている。

「じゃあ、私は行くね。会議には遅れないように。」
「わかっています。」

手を振りながら去る御姉様。
ワーンは相変わらず隠れたまま。

「…行った?」
「行きましたよ。あなたも自覚してください。『幼火』は今や有名な名なのですから。その名に傷が付くようなことは避けるべきです。」
「そんなこと恐れてたらしたいことも出来なくなっちゃうよ。堅苦しいのはつまらない…でしょう?」

彼女は自由でいいよね。
自分の想いに正直なところは見習わなくてはいけないのかもしれない。

「…まだ早いかもしれませんが、会議の準備を…。」
「あ、夜は空いてる?」
「…予定はありません。」
「なら、飲み会ね。忘れずに!」

それだけ言うととっとと走り去ってしまった。
強制的な決定事項なのらしい。

…さて、私も支度をしないと。
発表しなくてはならない研究成果もあるので。





『闘志、燃ゆる』・終わり






後書き
何となく仲良さげなのを書いてみたく…(笑)

ワーンは実は負けず嫌いというわけでもなく、ただ単に自分が認めた相手に構ってもらいたいだけなのですよね。
百合っぽくも見えるぐらいにかなり人懐っこい性格なのですが、格下の相手にはあまり興味を示さない性格でもあったり。
Keizを気に入っているのは数少ない全力で戦える相手だから。
お酒に弱いのにお酒好き。
酒癖は悪い。





ワーンの特殊アビリティ『ブレイズダンサー』

効果
永久フォバース。

条件
常時発動。


ワーンの特殊アビリティ『幼火』

効果
威力五倍。
対象が炎属性の時、対象を無属性とする。
相手のジャストガードは通常ガードとなる。
炎属性以外のテクニックを装備出来ない。
テクニックの性質が変わる。

フォイエ
ヒット時、爆発をする(ヒット個所:3、ヒット数:1)。
フォバースのそれぞれの炎からも通常のフォイエを同時に発射する。
燃焼:Lv.5。

ラ・フォイエ
ヒット個所:二倍、ヒット数:+1、広範囲化。
燃焼:Lv.5。

ギ・フォイエ
ヒット個所:二倍、ヒット数:+1、広範囲化。
燃焼:Lv.5。

ダム・フォイエ
広範囲化、ダメージ頻度が速くなる。
燃焼:Lv.5。

シフタ
攻撃法撃上昇:Lv.5。

ジェルン
攻撃命中法撃低下:Lv.5。

フォバース
五個。

条件
炎属性テクニック発動時。