鈴木康博LIVE2023~十里の九里・シーズンII~ | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

10月21日に観た鈴木康博さんのライブレポート。
ツアー中ですので以下ネタバレにご注意ください。


会場は福岡市の公演ではおなじみの、博多区中洲にあるS.O.Ra. Fukuoka。15時半開場。
ウイルス禍でライブが中止となり、ネット配信は見ていましたが、彼のステージをハコで観るの2019年末以来およそ4年ぶりです。
実は確か昨年も福岡公演あったのですが、それは颱風で中止。そして今年の三月にその振替公演がやはりこのハコであったのですが、こちらは日曜で仕事があり、観られませんでした。
だから楽しみにしてました。
福岡公演はもう一度、十二月に北九州市でも開催されるようです。

※前半セットリスト
フォークソングバー
心の言葉
のがすなチャンスを
雨よ激しく
ロンド
潮の香り
一億の夜を越えて
いくつもの星の下で
映画

開演時間になりました。満員のちいさなハコの後方からヤスさん登場。
あいさつもそこそこに、おなじみの?(笑)まずはチューニングから始まります。
颱風で福岡公演が中止になったことに触れ、あの日は小田のライブも飛んだと話して沸かせます。
公演が短い時間に感じられるようがんばりますので、などと話して最初の曲はCDではアコースティックバージョンが印象深い「フォークソングバー」。
演奏後のMCで、音楽を50年も演り続けてこれたのは皆さんのおかげと謝意を伝えます。

続いて我々ファンへの感謝の気持ちを詞に込めた「心の言葉」。
これほどの音楽家でさえ、
♪見習うべき人は数えきれない 僕など小さな存在さ
とうたう。
聴き入っていると、
♪人はそれぞれの道を行く……
のあと1秒くらいの間が。会場の笑いとともに再開。
年取るとコードが飛んだり歌詞が飛んだり、などと話します。

次からオフコース時代の曲が6曲続きます。先ずは「のがすなチャンスを」!
手拍子とともに盛り上がります。終盤の拳を突き上げるのも会場の皆んなで。
オフコース時代の曲は拍手が大きい。それ以外の曲も同じくらいの拍手を、などと話して沸かせます。

「雨よ激しく」。
これはあのファルセットもきれいですが、間奏のギターソロが絶品でした。

ソロになられてからのライブではおなじみの「ロンド」。「ひまわりの家」というテレビドラマの主題歌。
オフコース時代はふたりとも(小田和正、鈴木康博)ひねくれていた。テレビで流れた曲だから売れたと思われたくないと思い、オフコース時代のライブでは敢えて演奏しなかったそうです。

「潮の香り」。
こちらは会場にエレピのオケを流してギターとともに演奏。
懐かしい曲。10代後半か20代序盤くらい、ヤスさんも含め音楽をあまり聴かなくなっていた頃に偶然テレビ出演されてこの曲をうたう彼を見、再度引き込まれてまた盛んに音楽を聴くようになっていった切っ掛けの曲の一。

ブレイクに10年掛かった。オフコースも変わろうという意識になり、「愛を止めないで」が完成。
アコギからエレキに持ち替え、会場も大きな場所に。そして客層も、アコギ時代とエレキ時代に分かれた。
そんな頃の曲をと「一億の夜を越えて」。

オフコース特集のお終いは「いくつもの星の下で」。
ライブではおなじみの間奏の口笛。今回も絶品。口笛って楽器なんだと思い知らされる。

前半最後の曲は「映画」。この曲に出てくるエピソードは実話でした。
まずはアコースティックギター。
70年に「群衆の中で」でデビューしたけど売れない。「オフコース」としての仕事は年数回しか無く、バイトしてた。
カラオケの伴奏と話してたかな?うろ憶えですが、演奏のバイトをされており、そのバイトのバンド仲間にバンジョー奏者の先輩がいて、ギターのスリーフィンガーを教えてもらった。これがなかったら今はない。
この時、チューリップの「魔法の黄色い靴」の冒頭部分を弾いて会場をまた沸かせます。
続いてエレキギター。
私はギターを弾けないので分からなかったのですが、アコギとエレキは別物だそうで、最初エレキを持った時分からなかったと話します。
年下の友人が教えてくれた「ホテルカリフォルニア」の冒頭部分を何度も練習した。エレキが弾けるのは彼のおかげ。
「さよなら」の間奏のギターソロはこの曲そっくりと話します。あとで聴いてみよう。
最後はボーカル。
ライブカフェで弾き語りのバイトしてた頃、対バンの、本業が俳優の方が歌うまかった。
こいつに勝たなきゃという思いでボーカルの腕も磨いた。ボーカルも彼のおかげ。
こうして詞にまつわるエピソードが語られて演奏。前半は終わりました。


※後半セットリスト
現実ってヤツは
花を愛でるように
対(ペアー)
自由といっても
だから歩け歩け
孤独
夢キッスR70
挽歌
昨日への手紙

※アンコール
燃ゆる心あるかぎり
でもももう花はいらない

やはりチューニングからはじまり、後半です。
最初の曲は林家木久蔵氏の作詞「現実ってヤツは」。

ハーモニカを取り出すヤスさん。次は「花を愛でるように」。
75歳。後期高齢者になりましたと話し、役所はこちらから問い合わせないと教えてくれないのにこういうことだけすぐに知らせてくる。などと自虐も交えて話します。

「対(ペアー)」です。
ウイルス禍で声を出せないなか、皆で一緒に遊べる曲をと制作したらリハビリのような曲になった。
♪上下右左前後表裏東西南北地面と空、と歌詞に合わせて指を動かしていくという趣向の楽曲です。東西南北は指を立てて回します。
一昨年見たネット配信で演ってて印象深かった曲。今回は会場の皆んなとできました。

「自由といっても」の前のMC。
ソロで音楽を続けていくなか、メジャーレーベルが契約してくれなくなった。
2000年発売のアルバム「Knockin' On Your Heart」以後はインディーズレーベル。続けられるのかと思ったと、この歌詞に込めた思いを話します。
♪目覚めた朝の鏡の前の自分をもっと信じてやれよ
以前にこの歌詞のことを知り、これほどの音楽家でも迷いがあるのだと衝撃だったのを憶えています。

九里まで来たけどまだあと半分と話し、「だから歩け歩け」。

次は「孤独」。
ワールドカップに破れて日本へ帰って来た城選手が一勝もできずに戻ってきて水をかけられた場面を見、曲にしようと完成したもの。
自分は2000年の失業中に詞の内容からトラウマのようになり、この曲が収録されている「Anyone」はあまり聴かなかった(聴けなかった)。

手拍子が巻き起こった次は「夢キッスR70」。

そして再度ハーモニカを取り出して「挽歌」。
♪風の模様に人生をなぞらえて
 人は皆、それが見果てぬ夢だと知る日が遠かれと祈る
「孤独」、そして「挽歌」。2000年頃のことが思い出されます。

後半最後の曲ですと再びオフコース時代の名曲「昨日への手紙」。

アンコールはすぐに巻き起こりました。このまゝアンコールに應えるヤスさん。
曲はやはり「燃ゆる心あるかぎり」。
40代で制作され、♪男40この青春の日々を……の歌詞を、男50、60とうたい続け、今は男70!
あと5年で80歳。あと5回此処へくればと、来年も再来年も福岡公演演る気まんまんのご様子。私もまた来ます。会える人には会えるうちに会っておこう。

こんなに永くうたい続けられる曲とは思わなかったと、アンコール最後の曲は「でももう花はいらない」。
最後にこれが聴けてよかった。

以前行われていたライブ後のサイン会は、インフルも流行しているということで中止。
でもステージを去っていくヤスさんとグータッチできました。




ライブを終え、この後映画のレイトショーを観に出かけました。
映画の話はまた書きます。