松尾一彦ライブレポート | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

郵便受けに投函されていた1枚の葉書が、また、「あの頃」の熱い記憶を呼び覚ませる。

 

GW直前の4月28日。
夕方の訪問介護の仕事を代わってもらい、松尾一彦さんのライブを観に出かけました。
酒飲むので地下鉄で会場へ。

 

会場は、昨年11月の遊佐未森さんのライブをはじめ、多くのライブを観に来た博多区中洲のGate's7。12月に鈴木康博さんがライブを演ったS.O.Raと同じフロアーにあるライブハウスです。
2年ぶりの福岡入り。2年前はもっとちいさなハコだったのが昇格しましたね。

 

18時半開場ですが、この前後で個人的衝撃事実が2件発生。

 

1件目。
会場におられた女性が、明日鈴木康博さんのライブがあります!フリーライブです、と急に呼びかけました。ちょくちょくホームページを見てるけど気がつかなかった。翌日は登山の予定でしたけど、ヤスさんを観に出かけることに決めました。
2件目。
ゲイツ7の4月のライブスケジュールが貼ってあったのですが、4月8日遊佐未森と書いてあり、どうも気づかぬうちに福岡入りされてたようなのです。これも見落としてました残念。どうも未森さんとはタイミングが合わない。

 

 

 

 

 

松尾一彦 Live Cruising 2017
※前半セットリスト
Smile
Tenderly
ドライヴ
神様がくれた恋 第1章
神様がくれた恋~第2章~
それぞれの黄昏
all my loving(The Beatlesのカバー)
Ob-La-Di, Ob-La-Da(The Beatlesのカバー)

 

開演です。いつものように?のっそりとステージに現れる松尾さん。
今回もグランドピアノのサポートの竹田元(はじめ)さんと、おふたりでのステージです。

 

1曲目は、確か初めて聴く「Smile」。歌詞が英語ですが、カバー曲でしょうか。
続いて「Tenderly」。
オフコース解散後の1990年に発売されたミニアルバム収録曲で、当時このアコースティックアレンジに衝撃を受けました。
今でもアコースティック調のライブや楽曲を好んで聴いているのは、このアルバムと、同じ頃出された鈴木康博さんの作品の影響です。

 

MCは、以前はよく竹ヤンに突っ込まれていたのが、初めてこのライブハウスでお会いした頃と比べ、グダグダ感が少なくなってきました。
それで竹田さんが口を挾む場面が少なく、でも竹田さんとのボケツッコミみたいな進行だった頃が懐かしい感じもします。

福岡公演は2年ぶり、そしてこの前日行われた熊本は、オフコース解散後で初だったと話します。


本当は毎年来たいけど、北海道もそうだけど九州はなかなか難しい。
福岡は特別お好きな場所のようで、福岡の魅力を話し、ライブ中何度か、また来年もと話してました。
今回は飛行機で来られたようですが、飛行機は苦手のようで、できれば竹ヤンの車でとも話してました。自分は新幹線や深夜バス等の車の長距離行が苦手なので(あっという間に着く飛行機や目的地にジリジリ向かう感じがするローカル列車、フェリー、自転車が好き)、真逆ですね。

 

以前のライブで、「電車での別れは陸続きだから後ろ髪惹かれるけど、飛行機は飛んで行ってしまうのできっぱりと別れられる。」と彼が話していたのを、飛行機苦手という話を聞いていてなんとなく、自分は思い出していました。

 

「神様がくれた恋」は、ライブならではの1章2章続けて演奏。
途中の竹田さんのピアノソロがカッコイイ。
いつも思うのですが、このライブハウスはPA(音響)が良く、松尾さんのアコースティックギターも艶やか。ギターの絃を松尾さんの指が滑ってキュッと鳴る、フィンガーノイズもきれいに聴こえます。

 

前半ラストはポールマッカートニー氏の来日に触れ、別に対抗しなくてもいゝんですがと、ビートルズ時代のポールの楽曲のカバーを2曲。
そして、この間は撮影OKにしますと話します。
大慌てでちょっと待ってとスマートホンを取り出す観客。

 

オブラディオブラダが懐かしい。
むかし、NHKの「青春のポップス」という音楽番組にABCとして出演されてた時にこの曲を演奏されてましたね。
あの番組、録画しておけばよかったな。もう一度見てみたい。

 

 

 

 

後半が始まりました。
あれ?なんか聞いたことがある旋律。
オフコースの「たそがれ」です。小田和正さんの楽曲ですが、まさかこれをカバーとは。
これも途中のピアノソロが素敵で、終盤の歌詞は、原曲ではコーラスにあたる英詞(Night after night hide from the night...)でうたいました。
1985年発売。懐かしいなぁ。当時高校生でした。
この曲について、レコーディング当時良い曲だと思ったけど、それを小田さんに言わなかったことを後悔している。思ったことはすぐに伝えないと、と話します。

 

続いて「ガラスの破片」。そして「哀しき街」と、懐かしい楽曲が次々に。
むかしは高い声が出たけど、今はキーを大幅に下げている(カラオケでいうと5目盛分は下げていると竹田さんは話してました)。
小田さんが書いてくれた詞は海の曲が多い。これは、彼が海辺の街出身だからかなと話してました。

 

この他、オフコースの裏話。
当時ツアー中の宿泊はひとり一部屋ではなく、ふたりで一部屋だったそうで、間が持たなくて困ったという話し。※ある時ヤスさんは奥様と相部屋になり、これは健全な相部屋だとか話してました。
それで、竹ヤンと廻っている昨今のツアーでも必ず相部屋は避けているそうです。

 

最近はこんな曲もうたってるんですよと「夏の日」。
たそがれもですが、まさか松尾さんのボーカルで夏の日が聴けるとは。
明るい曲調で手拍子も巻き起こり、盛り上がりました。
でも本当は、当時人気のあったこの曲のB面の「君の倖せを祈れない」を聴いてみたいです。
キーが高い曲なので難しいのかな。

 

こゝで新たに発売された「My Harp Life」について。
松尾さんが過去にハーモニカ奏者として参加した楽曲が収められた異色のベストアルバムで、1枚目はオフコースの楽曲、2枚目はそれ以外の音楽家になっています。
当初、自身のレーベルで出そうとしたそうですが、版権を持っている方を探し出すのが大変だったそうで断念し、オフコースの音源の権利を持っているユニバーサルミュージックに頼んだところ、即断でトントン拍子に話が進み、音源もすぐに探し出してもらえたそうです。

 

しっとりと水でハーモニカを濡らして、このアルバムの中からまさかの「Chili's Song」。
当時(70年代後期頃)、オフコースのライブ「ちいさな部屋」での演奏用に作ってよと小田さんに依頼されて制作した曲だそうで、オフコースのアルバム「LIVE」に文字どおりライブ音源が収録されていますが、まさか生演奏を聴く日が来るとは。

 

続いて「言葉にできない」。
これも初めて聴いた時は衝撃でしたが、それにしてもこのハーモニカは絶妙ですね。

 

そしてハーモニカのラストは「さよなら」。
私が初めて買ったLPレコード「NEXTサウンドトラック」に収録のハーモニカ演奏です。
懐かしすぎて(泣!)。あの頃、オフコースがすべてだったな。

 

住所が分かる人にいつも案内葉書を出しておられるのですが(※これを竹田さんが脅迫状だと話してました)、また福岡に来たいとあらためて。
そして最後の曲ですが、もう1曲増やそうかなと2曲演奏。
盛大な手拍子とともにバンドABCのアルバムから2曲演奏し、ステージを後にしました。
自分はさよならから涙が止まりませんでした。

 

※後半セットリスト
たそがれ
ガラスの破片
哀しき街
夏の日
Chili's Song
言葉にできない
さよなら
Bye Bye Baby
恋は不思議なもの

 

※アンコール
君を待つ渚
忘れ得ぬ人

 


アンコールです。
これも懐かしい、オフコース時代にライブでのみ演奏された「君を待つ渚」。
2013年にこの場所で観た、宮城伸一郎さんとのジョイントライブでもアンコールで演奏されましたね。あの晩のことを懐かしく、思い出します。
今度はアコースティックギターとピアノで演奏。バンドとはまた違う魅力を放っていました。

 

2曲目は竹田さんがステージ奥に帰り、松尾さんもギターを置いて、オケを流して「忘れ得ぬ人」。

 

  もう一度
  話ができたら
  何を言おう

 

亡くなられた人。音楽を辞めた人。この曲は、聴くと今までに出会ってきたいろいろな音楽家のことを思い出します。

 

 

 

 


終演後、サイン会になりました。
松尾さん自身やオフコースメンバーのインタビューを通じて、松尾一彦の半生を綴るDVD「I'll see you when I see you」を先日購入していたので、それを持参しサインを入れてもらいました。ツーショット写真も。

 

8年前。初めて彼のライブを観に行く前まで、彼は神様みたいなものだと思っていたのが、今やツーショット写真です。信じられません。

 

もう一度話ができたら、あれを話そう、これを話そう。
そう思っていたけど、やっぱり何も話せなかった。(憶えてない)
竹田さんとも話をし、ゲイツを後にしました。
また近いうちに「脅迫状」が投函されることを願って。

 

 

次は、翌日の鈴木康博さんのライブレポートを書きます。