麗美について | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所
今夜は、彼女のこと、あの頃のこと、若宮と彼女について、語らせてください。

自分が麗美という音楽に初めて触れたのは、おそらく1984年の1月。中学生の時でした。
当時ラジオ少年で毎日ラジオを聴いてたという話は、過去日記に何度か書いたのですが、そのラジオからある日綺麗な声が聴こえてきました。
それが、彼女のデビュー曲「愛にDESPERATE」でした。

どんな人なんだろう。
未だ見ぬ声の主。後にその曲のB面に収録されていたと知る、「君の友達でいたいから」がCMソングとして流れると、もうますます気になる存在に。
そして、おそらくその年の9月に発売されたセカンドアルバム「"R"」が出た前後に彼女がFMのラジオ番組に出演され、その時に、話し声とどのような人物なのかをようやく知ることができました。
アルバム収録の名曲「星のクライマー」の作曲を担当したけど、なかなかOKが出ずに何度も苦心して作りなおした話などをラジオで語ってくださったのを、今も憶えています。

麗美こと堀川麗美さんは沖縄県出身の音楽家で、あの松任谷正隆・由実夫妻に見いだされ、おふたりの指導のもと19歳でデビュー。姉は、やはり音楽家で元クラリオンガールでもある堀川まゆみ。
これはだいぶ後で知ったのですが、スペイン系フィリピン人の父と日本人の母とのハーフ。米國統治下の1965年生。

夫妻は麗美さんを可愛がっておられたのでしょう。日本語の漢字が苦手で、歌詞を覚えるのに難儀していた彼女を見かねて由実さんがローマ字でルビを書いていくと、そりゃ甘やかせすぎだと正隆さんに突っ込まれたという話を聞いたことがあります。
真っ黒い長い髪。黒目がちな瞳。エキゾチックでアジアンな雰囲気。ラジオ出演時知った気さくでそして努力家な一面。このブログで何度か紹介した、タイナカ彩智さんにも比肩する超ソプラノな可愛い声。モロ好み。彼女を好きになりました。

しかし彼女を追いかけたのは翌年まで。
86年に所属レコード会社がコロムビアからsixtyに変わると、アイドルみたいな売り出し方をされてるような、中途半端な感じで不満を抱き、新曲がラジオで流れても聴かなくなってしまいました。
89年に初めてCDプレーヤーを買い、その時ファーストアルバムの「REIMY」と「"R"」のCDは買ったのですが、sixtyから更にファンハウスに移籍されていた当時の彼女にはもう興味がなく、やはり新曲は聴きませんでした。
「REIMY」と「"R"」だけは、青春の思い出のようなものとして時々再生していました。


月日は流れ、自分は2000年9月10日に持ち物以外の全てを失いました。ショックでした。
呆然として、なんとなくCDを買いに出かけました。
当時行きつけの古書店で、懐かしい名前を目にし、ジャケットを手に取ってみました。「夢はおいてませんか?(1991年発売)」と書かれていました。
再会した麗美。すっかり立派な音楽家になられていた彼女のうた声は心を直撃しました。

9月10日以降2週間くらい、ほとんど何もせずぼんやりと過ごしたのを憶えています。そして、何となくまたCDを買いに。
次は「FRIENDSHIP WITHOUT WORDS(言葉のない友情、1989年発売)」。
ブランクを埋めるように彼女のCDを、あの一度は拒絶したsixty時代も含め買い漁っていきました。

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この人生で最も苦しかったあの頃、盛んに聴いてた6人の音楽家たち。

大塚利恵。

松倉サオリ。

大城光恵。

イノトモ。

岡崎律子。

そして、麗美。

しかし、再会した麗美さんは音楽活動をもうされていないようでした。
彼女に何があったのか?
とにかく、トレードマークの長い髪をばっさりと切ってすっきりしたジャケット写真が印象深いアルバム「Magic Reilway(1992年発売)」と、シングルの「ワンダーガール」以降、もう作品は発表されていないようでした。
翌2001年にパソコンを購入してネットに繋ぎ、検索しても、公式なホームページもはっきりとした情報も得られませんでした。

mixiを始めた2006、7年頃。麗美さんがREMEDIOSと名義を変え、いくつかの映画音楽を制作。サントラCDも出ていると分かりました。
でも、ボーカル曲はなさそうだと思い、ずっと買わずにいました。
その後の調べで、英詞のボーカル曲も収録されていると分かり、購入しました。

REMEDIOSと名義を変えた麗美さん。意図的に、お顔の露出を拒んでいるのが見てとれます。
彼女に何があったのか?それは分かりません。

「NOMAD」というCDがあります。
彼女が1995年にインディーズレーベルでひっそりと、ほんとうにひっそりと出したセルフカバーアルバムで、ジャケットのどこにも、麗美、REMEDIOSと書いていません。
ライナーには歌詞もなく、右下隅にとてもちいさく「Reimy」と書いてあります。
CDを聴いてみて、音楽を届ける気満々というのは理解できました。
何故「麗美」名義を使わないのか?何故メディアへの露出が一切無くなったのか?名乗れない理由があるのか?

「カードキャプターさくら」のCVで知られる、声優の丹下桜さん。
「丹下桜」は本名ですが、彼女は所属事務所を離れたときにモメたらしく、本名を名乗っての活動ができなくなって、一時期「ANGEL」名義で活動されてたと、掲示板か何かで読んだ記憶があります。
麗美さんも同じ目に遭ったのか。だから「REMEDIOS」?
ちなみにREMEDIOSは、アルバム「夢はおいてませんか」に出てくる架空の國です。ジャケットに國旗の写真、「レメディオス国歌・平和との出会い」というタイトルの國歌も収録されています。
これは自分の全くの推測ですが、名乗りたくても名乗れない理由があるのではないかと考えてしまいます。

しかしはっきりと分かるのは、彼女が今も人間的魅力を放つ美しい人だということ。
サントラCDでの仕事ぶりを聴けば、顔が見えなくても分かります。

これからも彼女の作品を探し集めていきたいと思います。

麗美は若宮の青春。
夜明けの女神。
これからも、どうぞお元気で。


※このブログは、以前mixi日記に書いたものに加筆して転載しました。